さよなら、テディ⑦
最終章: 星屑の誓い
星の門の秘密
長い冒険を経て、テディはついに「星の門」の開け方を見つけ出した。その方法は、伝説や神話の中で語られ、多くの者が追い求めてきたが、誰一人として成功した者はいなかったという、究極の試練だった。そしてその秘密を知ったテディは、驚愕と同時に深い静寂に包まれた。門を開けるためには、ただの力や知恵では足りなかった。最も重要なのは「命を捧げること」――すなわち、自分の命を犠牲にすることで、初めて扉が開かれるというのだ。その選択は、あまりにも過酷で、まるで全てを投げ出す覚悟を問うようだった。
テディはその知識を受け入れた瞬間、思わずその場で立ち尽くしてしまった。どんなに長い旅路を経て、この答えに辿り着けたことに喜びを感じていた一方で、その先に待つ試練が自分にとってあまりにも大きなものだったからだ。命を捧げることでしか扉を開けられないという事実に、テディは心底驚かされ、そして自分の進むべき道に対する不安が湧き上がった。
「命を捧げることで…リナに会えるのか?」テディは呟き、思わずその言葉を漏らした。その声は、確信に満ちているようでありながら、どこかで少しの不安を隠しきれなかった。もし、この選択が誤りで、万が一失敗してしまったならば、リナに二度と会えなくなるのではないかという恐れが、彼の胸を締め付けた。だが、その不安はすぐに消え去り、胸の中でリナの笑顔が浮かぶのを感じた。彼女の温かな眼差しと、これまで交わした約束が、確かに彼を支えているのだと感じた。
「必ず、戻ってこよう…君のもとに。」テディは再び心の中で誓った。その誓いが、彼の迷いを一掃し、静かな決意が彼の胸に満ちていった。リナとの再会、そしてその先に待つ未来が、どれほど大切で、どれほど価値のあるものであるかを心の中で確認した瞬間、テディは前に進む覚悟を固めた。
テディは、これまで共に旅をしてきた仲間たちに別れを告げることを決めた。それは、ただの別れではなかった。言葉で表現することのできないほど重く、心に残る選択だった。ギア、ミラ、ラル、そして他の仲間たちとの絆は、今までの旅の中で深く結ばれていた。しかし、ここでの選択はテディ一人のものであり、仲間たちにはその理解を求めるしかなかった。彼は、少しのためらいもなくその決断を下した。
「俺は、行かなきゃいけない。」テディはその言葉だけを告げ、仲間たちの顔を見つめた。言葉では足りなかった。彼の目には涙はなかったが、その瞳の奥に宿っていたのは、深い覚悟と、無言の感謝の気持ちだった。彼はその目で、これまで共に過ごしてきた仲間たちにすべてを伝えようとした。
仲間たちの目には、理解と共に悲しみが交じっていた。ミラが一歩前に出て、静かに言った。「君が行くべき場所は、私たちが支えてきた道だ。私たちも君を信じているよ。だから、行ってこい。」その言葉が、テディの心に重く響き、彼の中で心が温かくなった。仲間たちと交わした言葉、共に過ごした時間、そして数々の試練を乗り越えた絆は、今ここで再確認された。
テディは、仲間たちに見守られながら、静かに歩みを進めた。そしてついに、「星の門」の前に立つ。門は漆黒の闇の中に浮かび上がり、その周囲には不思議な光が差し込み、まるで別の世界への入り口のように感じられた。その光が、彼に運命が待ち受けていることを告げるかのように、神秘的に輝いていた。
「これで、全てが終わる。」テディは静かに呟き、心の中で決意を新たにした。過去の思い出、仲間たちとの絆、そしてリナとの約束――すべてが今、彼の中で一つの形となって収束していた。しかし、それでも、命を捧げることで本当にリナに会えるのか、そして再び戻ることができるのかという疑問が、彼の胸に渦巻いていた。それでも、今はその問いを置いて進むしかないのだ。後戻りできる場所は、もうどこにもなかった。
テディは深く息を吸い込み、目を閉じた。心の中でリナの名を呼びながら、ゆっくりと歩を進める。足音が響くたびに、彼の心は運命に向かって近づいていくのを感じ、確信を持って一歩一歩進んでいった。
「リナ、待っていてくれ。」テディは心の中で叫び、最後の一歩を踏み出す。その瞬間、彼の体はまばゆい光に包まれ、彼の存在は星屑のように消えていった。彼が命を捧げることで、「星の門」が開き、無数の光が夜空を照らしながら、リナの元へと続く道が明らかにされていった。
テディの光は、どこか遠くで待つリナへと届くために、命をかけて運命の扉を開けたのだった。
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