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冷蔵庫の扉、消えた世界①
あらすじ
東京郊外に住む佐藤亮太は、仕事帰りに楽しみにしていたバニラアイスが冷蔵庫から消えていることに気づく。不思議に思いつつも、隣人の美咲に相談すると、彼女も同じ現象に見舞われていた。さらに話を聞くと、田中夫婦も似たような経験をしており、冷蔵庫の中の物がただ消えるだけでなく、異質なものが戻ってくるという奇妙な事態が広がっていた。
冷蔵庫を調べるうちに、亮太と美咲は冷蔵庫がただの家電ではなく、異次元と繋がる扉であり、地球のエネルギーを吸い取る装置だと気づく。消えた食材や人々の存在が異次元へと吸い込まれ、次第に地球が崩壊に向かっていることが判明する。
異次元の力を止めるために、二人は冷蔵庫のコアを破壊する決断を下すが、それは地球を救うと同時に未知の危険をもたらすものだった。冷蔵庫を壊し、異次元との繋がりを絶つことで、地球は再び安定を取り戻す。しかしその代償として、消えた人々が戻ることはなかった。
冷蔵庫に残った一筋の光が、新たな希望と再生の象徴となり、二人は未来への一歩を踏み出す。崩壊と再生を見届けた彼らは、光が照らす新しい世界で再び歩み始めるのだった。
第1章:消えたデザート
佐藤亮太は、仕事を終えた帰り道、遅くなった夕食を取るべく、東京郊外の小さなマンションへと足を運んだ。外は冷たい風が吹き、冬の気配を感じさせていた。ドアを開けると、薄暗い部屋の中にひと気もなく、静かな空気が広がっている。照明をつけ、まずは手を洗ってから冷蔵庫に向かった。
冷蔵庫の扉を開けると、ひんやりとした空気とともに、いつもの食材たちが顔を出す。冷蔵庫の中に並べられた鮮やかな野菜や肉、そして何より亮太が楽しみにしているのは、冷凍庫の中に隠れているバニラアイスだった。
仕事のストレスが溜まる中で、冷たいアイスクリームを一口食べることだけが彼の小さな楽しみだった。だからこそ、冷蔵庫を開けたとき、彼は一瞬、自分の目を疑った。
アイスクリームのパックが、きれいに消えていたのだ。確かに、昨日買ったばかりだった。そのはずなのに、冷蔵庫の最前列にあったはずのアイスの箱は、まるで誰かが食べ尽くしたかのように消えてしまっていた。
「…まさか、賞味期限が切れていたから捨てたのか?」
呟きながら、亮太は冷蔵庫の中をもう一度確認した。彼が購入したのは、他でもないバニラアイスで、冷凍庫の最も目立つ場所に並べておいた記憶がある。だが、今そこにあったのは、ただの空っぽのスペースだけだった。
ふと、誰かが食べてしまったのだろうかと考える。だが、部屋には誰もいない。彼は一人暮らしのマンションで、どこか不安な気配を感じながら冷蔵庫を再度見渡す。いつもの食材、並べられたものすべては変わらずそこにあった。消えているのはアイスクリームだけだ。
違和感を覚えつつも、亮太は仕方なくそのまま冷蔵庫の扉を閉じた。だが、その夜、気がかりな気持ちは晴れなかった。
次の日の朝、隣の部屋に住む美咲と顔を合わせたとき、亮太はついその話を切り出した。
「変な話なんだけど、昨日冷蔵庫の中のアイスが消えてたんだ。」
美咲はしばらく黙って、何かを考えるように彼を見つめた。その様子に、亮太は少しばかりの不安を覚える。だが、しばらくして、美咲が口を開いた。
「それ、私も同じことがあったんです。」
彼女の声はどこか遠くから響いてくるような、不安げなものだった。亮太は驚き、無意識に息を呑んだ。
「本当に?」
「ええ。私も…アイスが消えたんです。食べた覚えもないのに、なくなっていた。最初は気のせいかと思ったけれど…何度も続いて。」
亮太は彼女の言葉に引き込まれるように聞き入った。美咲の目には、どこか見えない恐怖が宿っているようだった。
「でも、それだけじゃないんです。消えた物は、絶対に戻らない。例えば、食材が無くなったとしても、しばらくすると…まるで何もなかったかのように元に戻るんです。でも、戻ったものは、何かが違うんです。」
「戻ったもの? 何が違うんだ?」
亮太は急に背筋を伸ばして、思わず尋ねた。
美咲はゆっくりと、しかし確信を込めて言った。「まるで、何かに吸い取られたみたいに。戻ってきても、何かが…違う。」
亮太は言葉を失い、無意識に自分の冷蔵庫を思い浮かべた。あのアイスが消えていたのも、もしかしたら彼女の言う通り「吸い取られた」からなのだろうか。頭の中で疑念が膨らんでいく。彼は急に、冷蔵庫がただの家電ではないような気がしてきた。
美咲は静かに言葉を続けた。「もしかしたら、これ、私たちが思っている以上に変なことが起こっているのかもしれません。」
その言葉に、亮太の胸がドキンと音を立てて跳ねた。何か大きな、恐ろしい秘密がこの小さなマンションの中に潜んでいるような気がしてならなかった。
「吸い取られる?」亮太は心の中で繰り返した。何かが、確実におかしい。
その瞬間、彼の目の前の冷蔵庫の扉が微かに揺れるように感じた。冷たい風が少しだけ流れ込み、背筋に一筋の冷や汗が流れ落ちた。
第2章:隣人の秘密
亮太と美咲は、冷蔵庫の中で起きた異常な現象を解明するため、隣の部屋に住む田中夫婦を訪ねることに決めた。田中夫妻は、このマンションで長年暮らしているため、何か知っているかもしれないと考えたからだ。
夜が深くなり、薄暗い廊下の灯りの下で、二人は田中夫婦の扉をノックした。少し沈黙が流れた後、扉が開き、田中夫人が顔を出した。彼女はにこやかな表情を浮かべていたが、どこか硬さが感じられた。
「どうしたの、二人とも? こんな遅くに。」
美咲が軽く頭を下げ、話を切り出した。「実は、ちょっとお聞きしたいことがあって…最近、冷蔵庫の中で変なことが起きていませんか?」
田中夫人の目が一瞬、わずかに動揺した。それを見逃さなかった亮太は、心の中で何かが引っかかるのを感じた。夫人は一度深く息をつき、少し間をおいた後、ようやく口を開いた。
「それが、最近ちょっと変なことが続いているのよ。最初は小さなことだと思っていたんだけど、今じゃ、もう無視できないくらいおかしくなってきたの。」
亮太と美咲は、お互いに顔を見合わせた。さらに話を聞こうと、身を乗り出す。
「どういうことですか?」
田中夫人は少し躊躇いながらも、口を開いた。「実はね、冷蔵庫の中の食材が、時々戻ってくることがあるの。消えたはずの食材が、また冷蔵庫に戻っているのよ。でも…それが、なんだか変なんです。」
亮太の心臓が一瞬、高鳴った。「変?」
「そう。」田中夫人は真剣な顔つきで続けた。「戻った食材が、前と少し違うんです。見た目は一緒でも、触った感じが違ったり、冷たさが足りない感じがしたり…。最初は、気のせいかと思ったんだけど、何度もそうなっているうちに、だんだん怖くなってきた。」
美咲は目を大きく見開いていた。「それって、具体的にどういうことですか? 食材が消えて、また戻る…それだけでは、意味が分からないんです。」
田中夫人は少し沈黙し、その後、ひと呼吸おいて、低い声で言った。「最初に気づいたのは、ある晩、冷蔵庫を開けたときよ。チーズとヨーグルトがなくなっていたんです。でも翌朝、冷蔵庫を開けたら、どこからともなくそれらの食材が戻っていた。それだけならまだしも、ヨーグルトの蓋が開いていて、中身が少しだけ漏れていた。あれは本当に気味が悪かった。」
「漏れていた?」亮太は声をひそめた。
田中夫人は頷いた。「ああ。まるで、誰かがそれを開けて、食べたような感じがした。でも…誰もいなかったのよ、もちろん。」
その時、田中夫人の目がわずかに揺れた。亮太はその微妙な変化を見逃さなかった。彼女が何かを隠している、何か重大なことを話すのをためらっているのではないかという感覚が、彼の胸に広がった。
「それから?」美咲が続きを促すと、田中夫人は小さくため息をついてから続けた。
「それが…最近はもっとおかしくなってきたの。食材が戻るだけじゃなくて、時々、冷蔵庫の中の物が…温かくなっていることがあるんです。普通なら冷蔵庫に入れておけば、絶対に冷たいはずなのに。そうなると、もう何かがここに…違う世界から来ているような気がして…」
田中夫人はそこで言葉を切り、しばらく黙っていた。その間に、亮太と美咲の間に重い沈黙が流れる。何かがおかしい。全身がざわつき、何か重大な秘密が隠されていると感じた。
「…それ、旦那さんは何か言ってませんか?」亮太は慎重に尋ねた。
田中夫人は答えなかった。彼女の目が一瞬、何かを思い出すかのように遠くを見つめ、深い沈黙が続いた。そして、ようやく彼女は小さな声で言った。
「実は、主人も…少しおかしなことに気づいているみたいなの。でも、あんまり詳しくは話してくれないの。最近、冷蔵庫の扉を開けると、まるで誰かに見られているような気がするって言って、冷蔵庫の近くに近づかないようになったの。」
亮太と美咲は、お互いに目を見合わせ、思わずその場に立ち尽くした。冷蔵庫が、ただの家電ではない。何か、もっと恐ろしいものがそこに潜んでいるのだと、二人は確信し始めた。彼らの中で、疑念が現実のものとなり、さらなる危機感が募っていった。
「もう、何かを調べなければならない。」亮太が、意を決したように呟いた。
田中夫人は静かに頷いた。「気をつけてください。冷蔵庫の中には、もうただの食材だけじゃないものがあるかもしれません。」
その言葉に、二人は恐怖を感じつつも、真実を探る決意を新たにした。冷蔵庫が、何か別のものと繋がっている…それが、世界の崩壊に繋がる何かである可能性を感じ始めていた。
第3章:異常な現象の兆し
その夜、東京の空は異常をきたしていた。まるで天候が狂ってしまったかのように、空は不自然に赤く染まり、まるで炎が燃えているかのような色合いを帯びていた。周囲の街並みは、いつもなら昼間のように明るく見えるはずの街灯も、どこか青白く冷たい光を放っていた。
強い風が街を吹き荒れ、幾度となく窓を叩くような音が響き渡る。空気が湿り、そしてどこかひんやりとしていた。無数の木々が揺れ、空気中に塵や小さなゴミが舞い上がっていた。異様な雰囲気が漂う中、遠くから雷のような音が鳴り響き、何度も何度も衝撃が街を揺らした。地震が頻発し、いくつかの建物の崩壊が報じられた。
「これは…一体、何だ?」美咲は、テレビ画面に映る災害報道を見ながら呟いた。ニュースキャスターは何度も言葉を詰まらせ、被害状況を伝えようとするが、次々と発生する異常な現象に、何を言っていいのか分からない様子だった。
「異常だ。あの天気も、ただの自然現象とは思えない…」亮太は、画面をじっと見つめながら言った。彼はすでに、この一連の異常気象が冷蔵庫の中で起きている奇妙な出来事と何か関係があると感じ始めていた。冷蔵庫の中で消えた食材、そして美咲が言った「吸い取られるような現象」…。あの瞬間から、何かがおかしいと感じていた。
美咲もまた、冷蔵庫の異常がこれらの天変地異に関連しているのではないかと考えていた。ふと、冷蔵庫の「扉」が異次元への入り口であり、今、何かがそれを通じて東京に影響を与えているのではないかという、直感的な疑いが湧き上がる。
「私、何かを見逃しているのかもしれない…」美咲は呟いた。その言葉は、亮太の心にも響いた。二人は同時に、冷蔵庫の中で何かが起きていることを強く感じ始めていた。
その晩、亮太はいつも通り冷蔵庫を開けた。目の前に現れたのは、彼の記憶にない食材や物体だった。昨日消えていたはずの食材が、なぜかまた戻っている。だが、それらは以前とはまるで異なるものだった。
並べられた食材の中に、明らかに違和感を覚えるものがあった。それは、もはや食材とは呼べない代物だった。輝くような光を放つ、不明な物質が冷蔵庫の棚に並べられていた。亮太はその光景に息を呑んだ。
それは、肉でも野菜でもなく、まるで異次元から来た物体のようだった。光を放ち、形が不規則で、触れることに抵抗を感じるような存在だった。見るからに、現実のものとは思えなかった。
「これは…何だ?」亮太は手を伸ばし、そっとその物質に触れてみた。瞬間、彼の体がビクッと震え、背筋に冷たい電気が走るような感覚が広がった。触れたその瞬間、異世界から流れ込んできたエネルギーが体内を駆け巡るのを感じた。彼の体はそのエネルギーを受け入れる準備ができていなかったのか、全身が震え、足元がふらつくような錯覚に陥った。
「うわ…!なんだ、これ…」
その瞬間、冷蔵庫内の温度が急激に下がったように感じた。亮太は震えながらその物体をじっと見つめる。まるで冷蔵庫の中に、異次元から流れ込んだエネルギーが蓄積されているかのようだった。彼の指先から、異世界のエネルギーが流れ込む感覚が強くなり、彼は今、何か恐ろしいものに触れていることを理解した。
その異次元から来たような物体の光は、次第に不気味な色合いに変化していった。それはまるで、存在しない物質が現れる瞬間のように、形を変え、うねりながら亮太を包み込んでいった。彼の心臓が速く打ち、体温が急激に上がったような錯覚を覚える。
その瞬間、冷蔵庫の扉が急に閉まり、亮太は飛び退いた。体が力を抜き、足元がふらつく中、彼は冷蔵庫の前で立ち尽くした。その後ろで、何かが動いたような気がした。
「美咲!」亮太は声を上げた。振り返ると、美咲が震えながら部屋の入口に立っていた。
「亮太…何が起きているの? 私、なんだか…怖い。」美咲の目は、今まで見たことのないほど真剣で、不安と恐怖に満ちていた。
亮太は、冷蔵庫の中のその物体が、もはやただの食材ではないことを確信した。冷蔵庫が、次元を超えた扉であり、その向こう側から何かが侵入しているのだと。それが、異常気象や地震、街の崩壊を引き起こしている原因だと、彼は思わず理解した。
「美咲、これ、ただの偶然じゃない。何か大きなことが起きているんだ。」亮太は声を絞り出すように言った。
その時、冷蔵庫の扉が再び微かに揺れ、何かがその中で蠢いているような音が響いた。それは、もはや単なる食材の消失や再生を超えた、恐るべき何かが待機している証拠だった。
第4章:冷蔵庫の中の秘密
美咲と亮太は、冷蔵庫の中に何かが隠されていることを確信していた。異次元からのエネルギーが流れ込み、地球のエネルギーを吸い取っている。あの不気味な物質が示す通り、冷蔵庫は単なる家電ではなく、まるで異世界と繋がっている扉のような存在だった。
「こんなこと、誰も信じないだろうな…でも、これが真実だとしたら、今すぐにでも調べる必要がある。」亮太は、冷蔵庫の扉をもう一度じっと見つめながら言った。美咲も頷き、彼の横に立つ。
二人は冷蔵庫を分解する決意を固めた。異次元の力が宿る装置が隠されているとすれば、それを解明しなければならない。冷蔵庫を開けると、異様な空気が漂うような気がした。何かが待ち受けている、そんな予感がした。
作業を進める中、冷蔵庫の背面に異常な突起を見つけた。普通の冷蔵庫では見慣れない、奇妙な装置のようなものだ。亮太は慎重にそれを取り外し、美咲がその周りを確認する。やがて、彼らはその装置を分解することに成功した。
そして、驚くべき発見が待っていた。
冷蔵庫の内部から、古びた書類が現れた。それは湿気を吸ったような、黄色く変色した紙で、何度も折りたたまれていた。書類に触れると、ほんのりと冷たい感触が手のひらに伝わった。それは、ただの書類ではなく、どこか異次元の力が染み込んでいるような感覚があった。
「これ…何だ?」美咲が声を上げた。亮太はその書類を慎重に広げ、目を凝らして中身を読み始めた。
内容は信じられないものであった。それは、異次元への扉を開ける装置の設計図であり、冷蔵庫がその装置の一部であることを示していた。設計図には、冷蔵庫内部に仕込まれた精密な機構が詳細に描かれており、各パーツがどのように動作するか、どのように異次元のエネルギーを引き寄せ、地球のエネルギーを吸い取るかが説明されていた。
「この冷蔵庫…ただの家電じゃなかった。」亮太は息を呑んだ。設計図に記されていた内容は、科学的な常識を超えたものだった。冷蔵庫の内部には、超高精度のエネルギー転送装置が仕込まれており、それが異次元のエネルギーを引き寄せているというのだ。さらに驚くべきことに、この装置は、数十年前に作られたものであり、その目的は「地球のエネルギーを吸い取ること」だと記されていた。
「これが、私たちの世界に異常を引き起こしている原因だったのか…」美咲は呆然としながら、設計図を見つめていた。彼女の目には恐怖と理解が交錯しているのが見て取れた。冷蔵庫は、ただの食材を保存するためのものではなく、異次元の力を操る装置だった。そして、それが長年にわたって地球のエネルギーを吸い取り続けていたのだ。
設計図にはさらに恐ろしい一文が加えられていた。
「地球のエネルギーの吸引は、冷蔵庫の使用者の精神状態に依存する。使用者が冷蔵庫を開ける度に、異次元の力が強化され、エネルギーの吸引量が増大する。」
亮太はその文を読み、言葉を失った。冷蔵庫を使う度に、無意識のうちに異次元のエネルギーを引き寄せ、地球のエネルギーを吸い取っていたというのだ。そのエネルギーは、もちろん冷蔵庫だけでなく、周囲の環境や人々にも影響を与え始めていた。
「つまり…私たちが知らず知らずのうちに、地球のエネルギーを奪っていたってことか?」美咲は震える声で尋ねた。彼女の目には恐怖が浮かんでいたが、それと同時に深い悲しみも感じられた。
「そうだ。」亮太は深く頷き、設計図を見つめ直した。「この冷蔵庫は、ただの家電じゃない。数十年前から、異次元の力を呼び寄せて、地球を蝕んでいたんだ。あの異常気象も、地震も、すべてはこの装置が引き起こしていた。」
二人はしばらく黙っていた。その瞬間、部屋の空気がさらに重く感じられた。冷蔵庫は、単なる食材を保存する道具ではなく、地球のエネルギーを吸い取る装置として、数十年もの間、静かに機能していた。そして今、その力はますます強くなり、異次元の力が地球に浸透しつつあるのだ。
「どうすれば…」美咲はようやく口を開いた。「これを止める方法があるのか?」
亮太はその問いに答えることができなかった。設計図に書かれている内容はあまりにも複雑で、どうすればこの装置を無効化できるのか、彼らには全く分からなかった。しかし、二人にはもう時間がないことだけは確かだった。異常はすでに広がり、地球がこのままでは持たないという危機感が迫っていた。
「何とかしなきゃ…」亮太は決意を新たにした。その時、冷蔵庫の中からまたもや奇妙な音が響いてきた。それは、何かが動いている音のようだった。異次元から流れ込んでいるエネルギーが、さらに強くなりつつあることを示唆していた。
冷蔵庫の中に隠された秘密は、地球の存亡に関わるものだった。そして、二人はその秘密を解き明かし、止めるために、何か手を打たなければならなかった。
――続く――