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ゆるっと成功!だらだら人生の極意②

社会人時代: ゆるく働いてちゃっかり昇進

社会人になった大輔のだらだらスタイルは、新人研修の段階から炸裂する。

新人研修のミラクル影薄男
新人研修の初日から、大輔は完全に「影薄男」状態だった。研修中はひたすらうなずくだけで、質問を一切しない。その姿を見た同期たちは、次第に「田中って、いるのかいないのかわかんないよな…」という印象を持ち始める。それはおそらく、大輔が「存在感ゼロ」の領域に達していたからだ。

しかし、最初の数週間が過ぎた頃、そんな彼の本領が発揮される瞬間が訪れる。研修最後に課せられたレポート。多くの同期が資料を一生懸命読んで、悩んでいる中、大輔は教科書と資料をざっと流し読みしただけ。彼のレポートは、全ての要点を簡潔に押さえた「シンプルで効果的な提案書」だった。これを提出したとき、上司から思わず感嘆の声が漏れる。

「田中くん、この資料…君が作ったのか?誰かに手伝ってもらったんじゃないのか?」
「いや、自分でやりました。まあ、必要最低限だけですけど。」
「最低限でこのレベルか…君、なかなか面白いね。」

その一言で、大輔は「影が薄いけどやたら仕事ができる男」として、瞬く間に上司の目に留まることになる。周囲はその「シンプルさ」の裏に隠された知識や洞察力に驚き、大輔の評判はいつの間にか広がっていた。

無茶振りへのちゃっかり反撃
配属先でも、大輔の「要領の良さ」は次々と証明されていく。上司からの無茶振りに、彼は動じるどころか逆に効率化して返すのだ。

「田中、この資料、今日中に作ってクライアントに送ってくれ!」
「了解です。で、最速で済ませる方法、これでいいですか?」
「…え、それでいいのか?あ、なるほど、確かに。」

こうした返答が繰り返されるうちに、彼の「無駄を省いて効率を重視する方法」は、チーム内でお手本のように取り入れられるようになる。それだけでなく、無茶振りの多い環境にもかかわらず、大輔は常に冷静に、時間をかけずに答えを出し続けた。

同僚たちが午後の遅い時間まで残業し、必死に仕事をこなしている中、大輔は定時を少し過ぎると、さっさと退社してしまう。「おい田中、お前だけなんでそんなに早く帰れるんだよ!」と驚かれることもしばしば。

「いや、みんなもポイントだけ押さえれば早く終わるよ?」「…お前の“ポイント”ってどこだよ!」

と、周囲をやきもきさせつつ、大輔は自然とその要領の良さでチームの中でも一目置かれる存在になっていった。仕事を素早く終わらせるだけではなく、彼の方法は、無駄な部分を削ぎ落とし、時間を効率よく使う術を周りに伝えていったのだ。それでも、彼はあくまで「余計なことをしない」というスタンスを貫いていた。

ちゃっかりプロポーズと結婚生活
プライベートでも、大輔のだらだらスタイルは変わらない。優菜との交際は順調そのもので、週末は映画を見たり、カフェでのんびりと過ごす。そんなゆるい日々の中で、ある日、大輔が突然口を開く。

「なあ、そろそろ結婚しない?」
「…え?なんで急に?」
「いや、なんかそろそろいい感じかなって思って。」
「いい感じって何よ。」

優菜は少し驚きながらも、その言葉に違和感を感じることなく、むしろ「大輔らしいわね」と笑って答える。大輔にとって、結婚という大きな決断も、ただ「そろそろいいかな」と思っただけの自然な流れだった。そして、優菜もその調子に乗って、結婚の決意を固める。

プロポーズも指輪も、豪華な演出などは一切なし。ただ、二人らしいシンプルで素朴なやり取りがあっただけだ。大輔らしい「効率化プロポーズ」は、特に何も準備をしなくてもその場の雰囲気で「これでいいんじゃないか?」と決まってしまった。それでも、二人にとっては最良の形だった。

家庭でも発揮される「効率化サボり術」
結婚後も、大輔のだらだらスタイルは変わることなく、家庭の中でも「効率的サボり術」を発揮し続ける。家事の分担では、いかに手抜きできるかを常に考えている。

「ねえ、大輔、洗濯物は畳んでおいてって言ったでしょ?」
「畳むのって無駄じゃない?そのまま引き出しに突っ込んじゃえばいいじゃん。」
「…は?それ、ただの手抜きだから!」

ゴミ捨ても一苦労だ。毎回、「まとめて出した方が効率的だ」と言い張り、数日分のゴミをため込む始末。

「なんで毎回そんなにギリギリまで出さないのよ?」
「いや、まとめて運んだほうが効率的だからさ。」
「効率的すぎて匂いが効きすぎてるわ!」

それでも、優菜は「それでも何とかなるからまあいっか」と心の中で納得し、大きなトラブルにはならない。結局、大輔が家庭でも最小限の労力で全てをこなすことで、二人はなんとかうまくやりくりしている。

ちゃっかり昇進、でもスタイルは変わらず
職場では、大輔の「だらだらだけど結果を出す」スタイルが高く評価され、入社3年目にはリーダーに抜擢される。

「田中くん、次のプロジェクトは君が仕切ってくれ。」
「え、俺ですか?まあ、やるからには最短で終わらせますよ。」

リーダーになっても、大輔のやり方は変わらない。どんな状況でも、周囲を巻き込みながら「ポイントだけ押さえる」効率的な方法を貫いている。部下たちは、「なんでこの人が昇進したんだろう」と疑問に思いながらも、「意外と頼れる人」として慕うようになった。大輔が無駄を省く方法に、次第に周りも感心して、最終的にはその方法がスタンダードとして浸透していく。

ちゃっかり幸せな家庭
家庭では、子どもも生まれ、さらに賑やかな日常が広がる。それでも、大輔のスタイルは全く変わらない。

「パパ、これ手伝って!」
「おっ、宿題か。わかった、必要なところだけ教えるね。」
「いや、全部教えてよ!」

優菜はそんな大輔を「だらしないけど頼りになる夫」と評価し、家族全員でゴロゴロ過ごす日曜日が定番となる。休日の午後、ソファで家族全員が寝転がって、特に何もせずに過ごすのが最高の幸せだ。

ちゃっかり生きる幸福論
大輔の社会人生活は「全力を出さず、効率を追求する」ことをモットーに進んでいく。それでも、家庭も仕事も順調そのもの。彼の哲学は、今後の人生でも揺らぐことなく、幸せな未来を作り続ける。大輔にとって、無理せずに最小限の努力で最高の結果を出すことが、何よりも大切だった。

その後: ちゃっかり幸せな結末

40歳を迎えた大輔は、会社でも家庭でもその「だらだらだけど頼りになる男」というスタイルを貫き通していた。仕事では部下たちから「優しいけど、仕事をうまく進める男」として一目置かれ、会議では「いかに効率的に問題を解決するか」を考え、無駄な議論を省く。

「田中さん、これどうしましょうか?」
「うーん、それだったらこれとこれを組み合わせて、一番早い方法でいこうか。」

部下たちは「田中さんの方法は簡単で早いけど、どうしてそんなに楽にやるんだろう?」と疑問に思いながらも、そのスムーズさに感心している。

ある日の会議では、上司からこんな質問を受ける。

「田中、君はどうしていつもこんなに効率的なんだ?」
「いや、シンプルに無駄が嫌いなんですよね。」
「…ほんとうに君は、こだわりがないというか、すごいね。」

大輔はちょっと笑って答える。

「こだわりすぎると疲れちゃうじゃないですか。適当にやるのが一番楽です。」

その言葉に、部下たちも苦笑しながら納得する。それが大輔流の生き方であり、彼が築いた幸せな人生そのものであった。

家庭では「だらだらの天才」
家庭でも、大輔のだらだらスタイルは変わらない。子どもたちは、パパがどんなに怠けているように見えても、どうしても「すべてをうまく回している」と感じていることに気づいていた。子どもたちは、何気ない日常の中で、大輔が自分なりに家族を支えていることを自然に理解しているのだ。

「パパ、今日は何するの?」
「今日は…うーん、テレビ観て、寝転んで、気分次第かな。」
「やっぱり、だらだらしてるね。でも、すごいよ、パパは。」
「え、ほんと?でも、うまくいっちゃってるでしょ?」

大輔は、子どもたちの反応を見てニコニコと笑う。それに対して、優菜もすっかり彼のペースに慣れ切っていた。

「本当に、何も無理せずここまで来たわよね。」
「俺、これ才能だと思うんだよね。人生舐めてるって言われるけど、なんかうまくいっちゃうし。」
「それ、本当に才能かな?無理してないだけで、結構周りが支えてるからじゃないの?」
「まあ、結局みんな、俺のことを頼りにしてくれてるんじゃん?だってさ、俺がいなかったら、家の中も会社も回らないし。」
「…まあ、そうね。」

優菜は、あきれながらもその言葉にうなずき、長年一緒に過ごしてきた彼の「だらだら」と「頼りがい」が絶妙に噛み合っていることに、改めて気づいている。大輔のスタイルは、周りをうまく巻き込み、自然と「頼りにされる存在」を作り出していた。

休日の平和な時間
家族での休日、リビングに集まり、子どもたちとゲームをしながら過ごす時間は、大輔にとって何よりの癒しだ。日曜日の昼下がり、家族みんなでソファに並んで座り、ゲームのコントローラーを握りしめる。どこか抜けた笑顔を浮かべながら、大輔はふと思い出したかのように呟く。

「俺、何も無理せずここまで来たな…。これ、才能じゃね?」
優菜は、苦笑しながらも目を合わせる。「本当に、人生舐めてるのよね。でも、まあいいけど。」
子どもたちは、そんなパパを見て、楽しげに笑顔を浮かべる。

「パパ、なんかすごいね!だらだらしてるのに、すごくかっこいいよ!」
「ありがとう、でも俺はただ、効率的にやってるだけだよ。」
「うん、でもうまくいくんだね、すごいね、パパ!」

大輔はそんな子どもたちの言葉に照れながらも、内心では「これでいいんだ」と再確認する。家族が何気なく過ごす時間こそが、大輔にとっては最高の幸せであり、彼の「だらだら」の魅力が最大限に発揮される瞬間だ。

だらだらでも、うまくいく人生
大輔は、40年の人生を振り返りながら、いつも通りの「だらだら」なスタイルを楽しんでいた。周りが真面目に必死にやっていることでも、大輔は自分なりに工夫して、効率よくこなす術を身に着けてきた。それは、「無駄を省く」ことで結果的に時間も労力も節約し、余裕を持って生きることができるという考え方を貫くからだ。

「頑張らないこと」が大切だというわけではない。大輔の成功の秘訣は、「自分が楽にできる方法を見つけること」だった。周りがどう思おうと、彼にはその生き方がぴったり合っていた。人生に無駄を省き、最小限の力で最大の結果を出すこと。それこそが、大輔流の「成功」だった。

これから先も、大輔の人生はきっと、ゆるく、ちゃっかり、幸せに続いていく
これからも、大輔のスタイルは変わらないだろう。仕事でも家庭でも、彼は「無理しないこと」を第一に、効率的にやるべきことをこなしていく。その結果として、すべてがうまく回り、周りの人々を幸せにしていくのだ。

大輔にとっては、「だらだら」とした日々こそが本当に大切な時間であり、それを大切にすることで、まわりの人々との絆が強まっていくことを知っている。今後も、彼は「だらだらの天才」として、家族と共に、何気ない日常の中で幸せを築き上げていくのであった。

終わり

大輔は、何も無理をせず、力を入れず、時には「だらだら」しながらも、人生の重要な場面でちゃっかり成功を掴んでいく。彼の生き様を見ていると、「力を抜くことの大切さ」って、意外と重要かもしれないと、ふと気づかされる瞬間が多かった。

力を抜く=成功?
ある日、上司から重大なプロジェクトのリーダーに任命されたとき、大輔は心の中で「これも流れに任せるか」と思いながらも、表面上はちょっとだけ真剣な顔をする。

「田中君、君にプロジェクトをお願いするよ。期限もタイトだから、少し大変だろうけど…」
大輔はその言葉を聞いて一瞬、上司の顔を見つめる。だが、目の前にある膨大な資料をちらっと見て、すぐに自分のやり方を考えつく。

「了解しました!とりあえず、まずはリソースを最適化して、どうしても無理な部分は効率化できる方法を考えます。」と、さらっと答える大輔。実際、彼の「効率化」方法はシンプルで、無駄な会議を省き、会議後に決まったアクションアイテムをその場でメンバーに渡して即実行。問題が発生しても、すぐに「最短距離で解決法を見つける」だけ。彼は、少しの工夫と直感を駆使して、現場でのストレスや無駄をできるだけ排除していった。

最終的にそのプロジェクトは、他のチームが数ヶ月かかっても完了しなかったタスクを、彼のチームがわずか1ヶ月で片付ける結果となり、上司や同僚は大輔の効率的なやり方を高く評価することに。もちろん、大輔はほとんど疲れることなく、余暇も存分に楽しみながら成功を収めた。周囲の驚きと賛辞を受けても、大輔は「これが僕のスタイルなんです」と、あくまで自然体を貫いていた。

「大輔くん、君って本当に要領がいいな。何か秘訣でもあるのか?」
「いや、特に…無駄なことをしないだけっすね。疲れるだけだし。」
「それができるのがすごいよ。」
「ありがとうございます。でも、無理しなくてもこういう結果になるってことが分かると、結構楽ですよ。」

家庭でも効率化?
家に帰れば、家事を優菜に任せて、子どもたちとテレビを観ることが大輔の夜の楽しみ。もちろん、家事の分担は「最小限」で、掃除機をかけるのも、料理を手伝うのも、超効率的にこなす。例えば、洗濯物を畳む時には、「これ、一番早く終わる方法知ってる?」と、なぜか家族に驚かれる方法を提案する。

「パパ、また効率化してるんでしょ?」
「まあ、効率化って言うか…こうしたほうが楽じゃん?大切なのは、楽にやって楽しく終わらせること。」
「…でも、パパ、もう少し頑張らないとダメだよ。」
「頑張らないからこそ、疲れないで楽しめるんだよ。」

家では、優菜がしっかり管理しているのを横目に、大輔はその日も「だらだらの達人」として家族の愛を受けながら過ごしている。家事の効率化も、彼のこだわりの一つであり、無理せずに「楽」を追求することで、家族全員が心地よく過ごせる環境を作り上げている。逆に優菜は、彼のやり方にちょっとした感心を抱きながらも、彼のペースに合わせて調和していた。

振り返ると、なんだかうまくいっている人生
振り返ると、大輔の人生はどこを切り取っても「無理してないのにうまくいった」連続だった。もちろん、彼なりに考えて、最適な方法を選んでいたのかもしれないが、彼はいつも自然体で、流れに身を任せていた。大輔の人生の最大の特徴は、やはり「無理をしない」ことだった。どんなに厳しい状況でも、自分のペースで流れに身を任せ、無駄な力を使わずに解決する方法を見つけていた。

「大輔、人生を舐めてるって言われるけど、俺的には、頑張らないことで逆にうまくいくんだよね。焦らないのが一番だ。」

優菜はしばらく黙って彼を見つめ、やがて少し笑って言った。「そうね、でも…たまには力を抜きすぎないように気をつけて。」

大輔はうなずきながら、心の中で思った。「力を抜くって、どんなことでも大切だよな。だって、無理してないからこそ、楽しみも増えていくし、結果的にうまくいくんだから。」

彼の「だらだら人生」はこれからも、何も無理せず続いていくだろう。

結局、成功や幸せというものは、全力で頑張らなくても、自然体で流れに身を任せていれば、どこかでつかめるものなのだと、大輔はそれを証明してきた。彼の人生はそのまま続いていき、周囲の人々も次第にその魅力を理解していく。そして彼は、今日もまた、無理せずに過ごすのであった。

――完――

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