![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/166493031/rectangle_large_type_2_c7da0db3159e42299d93b4880e7f923e.png?width=1200)
パラレルワールドの扉
あらすじ
退屈な日常を送る高校生・青木真一は、ある放課後、いつもの帰り道を外れて古びた小道に足を踏み入れる。そこで見つけた年季の入った異質な扉に引き寄せられ、思わず開けると、目の前に広がったのは未知の世界。
未来的な都市と空飛ぶ車、無機質な人々が行き交うその世界に、真一は驚きと興奮を覚える。しかし同時に、静寂と機械的な生活に違和感を抱く。彼はこの世界の秘密を解き明かすために、一歩を踏み出す決意を固める。ここから、真一の異世界を巡る冒険が始まる。
第1章:未知の扉
青木真一は、普通の高校生だった。毎日、何の変哲もない生活を送っていた。勉強に部活、そして友達との時間。それが彼にとっての全てであり、特別なことがない日々に、少し退屈さを感じていた。家に帰っても、テレビを見たり、スマホをいじったりするだけの繰り返し。どこか物足りなさを感じていたが、それがどこから来るのか、よく分からなかった。
そんなある日の放課後、真一はいつもの帰り道を外れて、小道に差し掛かっていた。目の前に広がるその小道は、普段通ることのない道だった。周囲の景色は、どこか静かで、まるで時間が止まったような雰囲気を感じさせる。日差しが斜めに差し込み、長い影が地面に伸びている。その先には、小さな木々と古びた建物が立ち並び、普段の賑やかな街並みとは対照的に、静けさと寂しさが漂っていた。
真一は歩きながら、ふと足を止めた。視界の隅に、異様なものを感じたのだ。それは、小道の先、ひっそりと立つ扉だった。周囲の景色とはまるで異質な存在で、まるで誰かがここに建てたかのように、他のどの建物にも似ていなかった。その扉は、年季が入っていて、木の表面は少し擦り減り、縁がわずかに歪んでいる。しかし、何故かその扉はとても強い存在感を放っていた。どこか懐かしいような、不思議な気配を感じさせた。
真一はその扉に引き寄せられるように、足を踏み出した。小道は静かで、人影もなく、周囲の音がほとんど聞こえない。まるで、この世界が一瞬止まったかのようだった。気づけば、真一は扉の前に立っていた。普段なら無視して通り過ぎるところだが、なぜかその時は足が止まった。心の中で何かが囁くように、「開けてみろ」と言われているような気がした。
その扉の取っ手に手をかけると、少し冷たさを感じた。それでも、真一は迷うことなく扉を開けた。ギギギッと音を立てて、扉がゆっくりと開く。と、その瞬間、目の前の景色が一変した。
真一は驚きのあまり、目を見開いた。目の前に広がっていたのは、彼が知っている世界とはまるで異なる景色だった。空は淡い紫色に染まり、雲はまるで油絵のように幻想的な形をしていた。街並みは、未来的なビルが立ち並び、どこを見ても空飛ぶ車が行き交っている。街の道路も、地面に直接触れていない浮遊する道がいくつも交差していて、人々は無重力のような感覚で歩いているように見えた。
街の音はまったく聞こえなかったが、どこからか静かな音楽が流れてきて、街全体が穏やかなリズムで包まれているようだった。異次元の世界に足を踏み入れたかのような感覚が、真一の体を包み込んだ。辺りの人々は、どこか無機質でありながらも、精巧に作られたロボットのように機械的に動き続けていた。誰もが忙しそうに歩きながら、どこか心の中に余裕を欠いているように感じられた。
真一はその景色に圧倒されながらも、思わず一歩を踏み出した。彼の心の中で、これまで感じたことのない興奮と興味が湧き上がってきた。まるで、未知の世界が自分を呼んでいるかのような、そんな不思議な感覚を覚えた。
「これは、夢なのか?」
そう呟いたが、すぐにその言葉は真一の心から消えた。目の前の世界があまりにもリアルで、現実のものだと信じるしかなかった。自分がどこにいるのかも分からないが、この世界の秘密を解き明かしたくてたまらない気持ちが湧き上がってきた。
その時、ふと周囲に目を向けると、目の前に高層ビルがそびえ立っていた。そのビルの上からは、まるで巨大なスクリーンのように、様々な情報が流れ続けている。道端に立つ人々も、何かしらのデバイスを使って情報を見たり、会話をしている。まるで、時間すらもデジタル化され、管理されているかのようだった。
真一は、自分が立ちすくむ中で、どこからか微かに聞こえてくる足音に気づいた。振り返ると、誰かがこちらに近づいてくる。
ここから先は
¥ 300
この記事が気に入ったらチップで応援してみませんか?