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バレンタイン大戦争 〜奪われたチョコを取り戻せ!~①
あらすじ
2024年2月14日、世界からカカオが消えた!
バレンタインデー直前、突如としてすべてのチョコレートが姿を消し、世界は大混乱に陥る。
調査を進めた高校生・水瀬ユイは、驚くべき真実を知る——
「カカオは宇宙人に奪われた!?」
地球のカカオを収穫したのは、**「カカオニウム帝国」**という異星文明だった。
彼らは地球産カカオを「宇宙最強のエネルギー源」として独占し、銀河の覇権を握ろうとしていたのだ。
カカオを取り戻すため、日本政府は極秘作戦**「オペレーション・バレンタイン」を発動!
ユイは、宇宙戦艦「アマツミカボシ」**に乗り込み、仲間たちとともに銀河へと旅立つ。
天才ハッカー・ナオ(敵のシステムをハッキング)
エースパイロット・カズマ(宇宙戦闘機でドッグファイト)
カカオ研究者・アヤネ博士(帝国のエネルギーの秘密を解明)
彼らは帝国の母星**「ショコラ・プライム」に潜入し、かつて伝説のショコラティエだった「カカオ神官」ヴァローナ**と出会う。
彼の言葉が、ユイたちの決意を固めた——
「カカオを取り戻したいなら、帝国の心臓部『カカオニウム・コア』を破壊するしかない」
しかし、彼らの前に立ちはだかるのは、皇帝ガトー・ダルク。
カカオの力を極限まで高めた彼は、超人的な戦闘力でユイを追い詰める。
激闘の末、ユイはついにダルクを打ち倒し、最終兵器**「カカオ・ゼロ・ブラスター」でカカオニウム・コアを破壊!**
帝国の支配は崩壊し、地球のカカオは還元された。
そして、1年後のバレンタイン——
ユイはついに、レンに手作りチョコを渡す。
「……これが、私のリベンジ・バレンタイン」
こうして、人類はカカオ戦争に勝利した。
だが、宇宙では新たな陰謀が動き始めていた……
「ホワイトデーの逆襲」が、今始まる——!
プロローグ:カカオの消失と世界の崩壊
2024年2月14日 午前0時
その異変は、静かに、しかし決定的に世界を襲った。
誰もがいつもと変わらぬ夜を過ごしていたはずだった。
バレンタイン前夜、製菓工場はフル稼働し、パティスリーのショーケースには色とりどりのチョコレートが並び、恋人たちは甘い期待に胸を膨らませていた。
だが——それはほんの数時間前までの話だ。
カカオの消失
午前0時を迎えた瞬間、世界中のカカオが一粒残らず消滅した。
西アフリカのガーナ、ブラジル、エクアドル、インドネシア——カカオ農園では収穫間近のカカオの実がすべて跡形もなく消え、農家たちは呆然と立ち尽くした。
チョコレート工場の貯蔵庫は空になり、従業員たちは何が起きたのか理解できず、何度も倉庫を確認した。しかし、どこを探しても、カカオ豆も、カカオパウダーも、カカオバターも、すべてが消え失せていた。
「こんなことが……あり得るのか?」
誰もが現実を疑ったが、事態は容赦なく進行していく。
日本でも、スーパーやコンビニ、百貨店のチョコレート売り場から商品が忽然と消えた。まるで元から存在しなかったかのように。
コンビニの店員は、慌てて監視カメラを確認したが、そこには誰も映っていない。商品棚は、ほんの数秒の間に自然に消失していたのだ。
異変に気づいた人々が次々と駆け込むも、どの店でもチョコレートは影も形もない。
「どういうこと!? さっきまで売ってたのに!」
「チョコレートが……どこにもない!?」
ざわめきは、すぐにパニックへと変わった。
バレンタインの崩壊
午前6時。
ニュース速報が流れる。
「世界規模でチョコレートが消失! カカオ供給が完全停止!」
各国のメディアがこぞって報道を始める。
世界的な製菓会社のCEOが青ざめた表情で会見を開き、「原因は不明」と繰り返す。
SNSは大騒ぎとなり、**「#カカオ消失」「#チョコレートのないバレンタイン」**といったハッシュタグがトレンド入りした。
チョコレート業界は一瞬にして混乱に陥り、カカオを主要資源とする企業の株価は大暴落。バレンタイン商戦を狙って投資していた企業の経営者たちは顔面蒼白となり、各国政府は緊急会議を開く事態となった。
混乱は一般市民にも広がる。
コンビニではチョコの代わりに売られていたキャラメルやマシュマロ、クッキーまで買い占められ、一部の店では小競り合いが発生。チョコレートを使うカフェチェーンは、メニューの大半が提供できなくなり、開店休業状態となる。
「こんなバレンタイン、あり得ない……!」
世界中の恋人たちが絶望し、製菓店のパティシエたちは頭を抱えた。
ユイの絶望
そして、日本。
高校生の水瀬ユイは、キッチンの前で呆然と立ち尽くしていた。
オーブンの隣に広げた調理器具。ボウルの中に残る、湯煎して溶かしたはずのチョコレートの名残。
たしかに、数時間前まではそこにあった。
それが、目を離した隙に、消えてしまったのだ。
「……嘘でしょ?」
信じられなかった。
夜遅くまでかけて、何度も試作を繰り返した。
レンのために、完璧なチョコを作るために。
自分の気持ちを、少しでも伝えるために。
それが、跡形もなく消えた。
手のひらに残る、ほんのわずかなチョコレートの香りが、彼女の努力が夢ではなかったことを証明していた。
「そんな……」
ユイは拳を握りしめ、崩れ落ちそうになる。
だが、テレビから流れるニュースの声が、彼女の耳に飛び込んできた。
「現在、カカオ消失の原因は不明ですが、科学者の間では“人為的な何か”が関与している可能性も指摘されています——」
「……人為的?」
ユイの中で、微かな疑念が芽生えた。
チョコレートが消えたのは、自分のミスなんかじゃない。
それどころか、これは偶然の出来事ではないのかもしれない——。
運命の幕開け
それから数時間後、ユイの疑念は確信へと変わることになる。
政府の発表——「カカオ消失現象は、異星からの電磁波によるものと判明」。
世界が知ることになる。
カカオは「消えた」のではなく、「奪われた」のだと。
この瞬間、彼女の運命は決まった。
ユイはまだ知らない。
このバレンタインの悲劇が、やがて人類と宇宙の覇権を巡る壮大な戦争へと発展することを。
そして、自分自身が、その戦いの中心人物となることを――。
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