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爆食バトル! 目指せ最強フードキング①
あらすじ
大学生・**佐藤悠斗(さとう ゆうと)は、驚異的な食べる才能を持ちながらも、大食いを「本気で極めるべきか」迷っていた。そんな中、日本最大の大食い大会「フードキング・チャンピオンシップ」の開催が決定。幼馴染でフードファイターの橘玲奈(たちばな れいな)や、過去の王者天野隼人(あまの はやと)**との出会いを経て、悠斗は出場を決意する。
大会では、冷酷無慈悲なライバル城崎颯真(しろさき そうま)が立ちはだかる。第一戦の「超特盛ラーメンバトル」では玲奈と再会し、僅差で敗北。しかし、次の「激辛カレー地獄」では隼人のアドバイスを受けて辛さを克服し、勝ち抜く。準決勝の「特盛スイーツ30品」では玲奈が城崎の心理戦に翻弄され、決勝進出を逃す。悔し涙を流す玲奈に、悠斗は「玲奈の分まで俺が戦う」と誓う。その瞬間、玲奈は自分の中に芽生えた悠斗への恋心に気づく。
そして迎えた決勝戦、競技は**「伝説の超巨大ステーキ5kg」。城崎は機械のように食べ続けるが、悠斗は「食べる楽しさ」を武器に戦う。「食べることは楽しいんだ!」**——その想いを力に変え、ついに城崎を逆転し、優勝を果たす。玲奈は涙を流しながら悠斗を祝福し、城崎は初めて人間らしい笑みを浮かべ、「次こそは勝つ」と言い残して去っていった。
大会後、悠斗はプロのフードファイターとして新たな道を歩み、玲奈は再挑戦を決意。隼人も復帰を目指し、城崎は悠斗との再戦を誓う。そして、悠斗と玲奈は次の約束を交わした——
「今度デートしない?」
「……大食いじゃなくて?」
「たまには普通の食事もいいでしょ?」
大食いが繋いだ友情、恋、ライバルとの熱き戦い。物語は、まだまだ続いていく——
第一章:大食いの運命
1. 佐藤悠斗、天才的な食べる才能を持つが将来に迷う
「また、食べすぎた……」
佐藤悠斗(さとう ゆうと)は、大学の学食で空になったどんぶりの山を見つめながらため息をついた。友人たちは笑いながら言う。
「お前、やっぱり異常だよ。普通、ラーメン5杯にカレー大盛り2皿なんて食えねぇって」
「マジで大食い大会に出ろよ。絶対優勝できるって!」
悠斗は苦笑いしながら首を振る。
「いや、俺は別に……趣味で食ってるだけだから」
悠斗には幼い頃から驚異的な食べる才能があった。小学生の頃、給食のおかわり競争で全校記録を叩き出し、中学生の時には近所のラーメン屋の大食いチャレンジで店主を驚かせた。しかし、彼自身はそれを「特技」だとは思っていても、「人生をかけるもの」とは考えられなかった。
「食べるのは楽しい。でも、それだけで人生を決めちゃっていいのか?」
周囲からの期待とは裏腹に、悠斗の心は迷いの中にあった。
2. 幼馴染の橘玲奈、フードファイターとしての覚悟
「悠斗、また食べすぎ?」
そんな悠斗の前に現れたのは、幼馴染の橘玲奈(たちばな れいな)だった。長い黒髪をポニーテールにまとめ、スポーティな服装がよく似合う。
「玲奈……お前こそ、またジム帰りか?」
玲奈は大食いの世界で戦うことを決めた女性だった。子供の頃から食べることが大好きで、いつも悠斗と競い合っていた。しかし、彼女は本気でその道を極める覚悟を持っていた。
「大食いって、ただ食べるだけじゃないんだよ。体力も必要だし、胃の拡張トレーニングも欠かせない。私は本気でこの世界でトップを目指してる」
悠斗は玲奈の真剣な眼差しを見て、少しだけ羨ましく思った。彼女には明確な目標がある。でも、自分は——?
「悠斗も才能あるんだから、ちゃんと考えたら?」
「……考えるだけならな」
玲奈はため息をつきながら、「ま、悠斗は悠斗だし」と言って立ち去った。
3. 「フードキング・チャンピオンシップ」開催決定!
数日後、日本最大の大食い大会「フードキング・チャンピオンシップ」の開催が発表された。
「優勝賞金1000万円! そして優勝者には"フードキング"の称号が与えられる!」
テレビの画面で司会者が興奮気味に告知している。ネットでも話題になり、SNSには「今年の出場者は誰だ?」と予想合戦が繰り広げられていた。
玲奈は当然のように申し込みを済ませていた。しかし、悠斗は画面を眺めながら迷い続けていた。
「……俺が出たら、勝てるのか?」
その時、彼の背後から豪快な笑い声が響いた。
4. 悠斗、隼人との出会いで出場を決意
「おいおい、迷ってる場合じゃねぇぞ!」
振り向くと、そこに立っていたのは屈強な男——天野隼人(あまの はやと)。
「天野隼人……? もしかして、あの"炎のフードファイター"の?」
天野隼人は、かつて「フードキング・チャンピオンシップ」で優勝経験を持つ伝説のフードファイターだった。しかし、数年前の大会で敗北し、それ以来、姿を消していた。
「よく知ってんな。でも、今の俺はただの大食い好きなおっさんだよ」
隼人は悠斗の食べ方をじっと観察し、ニヤリと笑った。
「お前、食べる才能は本物だな。でも、まだ本気になれてねぇ。もったいねぇよ」
悠斗は驚いた顔で聞き返す。
「本気になるって……?」
「お前、食べることが好きなんだろ? だったら迷うな。好きなことに全力を注ぐ。それが本気ってもんだ」
悠斗の胸に、何か熱いものがこみ上げた。
「俺が本気になれば……勝てるのか?」
隼人は力強く頷いた。
「勝てるさ。ただし、覚悟を決めろよ。これは"食べる"だけの大会じゃねぇ。"戦い"だ」
悠斗は深呼吸し、スマホを取り出した。
「……だったら、やってみるか」
こうして、悠斗の運命は大きく動き出した——。
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