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ねずみ小僧の大暴露作戦①
あらすじ
華やかなパーティーの裏で繰り広げられる陰謀と策略。豪華ホテルで開かれた「エース大臣」のパーティーに、義賊ウィズと仲間たちが密かに潜入。目的は、政界の不正と腐敗の証拠を暴き出すこと。
進行役のエンゼルが華麗なパフォーマンスで人々の注目を集める一方、ウィズは慎重に管理室に忍び込み、秘密裏に証拠を収集する。しかし、予想外のトラブルが発生し、場は一触即発の緊張感に包まれる。巧妙な策略で危機を乗り越えた彼らは、新たな行動に移り、闇に隠された真実を暴くための戦いを本格化させていく。
第1章:パーティー潜入
ある晩、豪華なホテルのバンケットホールで「エース大臣」の盛大なパーティーが開催されていた。煌びやかなシャンデリアの光が天井から降り注ぎ、あたかも夜空に浮かぶ星々のように輝く。その下では、政治家や企業の大物たちがシャンパンの泡を弾けさせ、華やかな音楽が響き渡る。優雅なドレスを纏った女性たちは、微笑みながらワイングラスを傾け、紳士たちはシガーをくゆらせて談笑していた。高級料理の香りが漂い、場の空気をさらに贅沢に演出している。
だが、この煌びやかな空間の裏側には、ウィズとその仲間たち—通称「ねずみ小僧」—だけが知る、不正と腐敗の闇が潜んでいる。その闇に光を当てるべく、ウィズはこのパーティーに潜入していた。彼の目的は、税金泥棒たちが隠し持っている不正の証拠を掴むことにある。
ウィズの仲間、エンゼルはその夜、パーティーの進行役として登場した。彼女は、まるで舞台のスターのように堂々と現れ、周囲の目を一瞬で引き寄せた。超豪華なドレスは、まるで金色の砂漠を歩くかのように輝き、長い金髪は風に揺れる雲のようにふわりと広がっていた。彼女が歩くたびに、政治家たちがその姿に見とれ、囁き合うのをウィズは小さく笑いながら見ていた。エンゼルは、自己紹介をしながらこう言った。「どんなにしょぼいパーティーでも盛り上げます!」その言葉通り、彼女は政界のトップたちを軽やかに手のひらで転がしていた。
ウィズはその後ろで、目立たないようにシャンパンを一口。軽く酔いが回ってきた彼は、エンゼルに耳打ちをする。「ねぇ、このパーティー、どっから予算出てるんだろうね。使い放題って感じじゃない?」と冗談混じりに言うと、エンゼルはにっこりと微笑み、「そこが面白いのよ。こういう場所で不正を暴くって、まさに私たちの仕事なんだから」と返してきた。
ウィズはシャンパンを軽く傾けながら、会場の隅々まで視線を巡らせた。音楽と人々の笑い声に包まれたその空間で、彼は一歩引いた場所にある管理室へと向かうことを決意した。「さて、いよいよだ」と心の中でつぶやきながら、周囲に気づかれないように慎重に足を進める。
管理室の扉を開けると、予想通り誰もいない静かな空間が広がっていた。ウィズは素早くパソコンの前に座り、キーボードを叩き始める。画面に映し出されたのは、官僚たちが無駄に使った税金や不正な支出のデータ。数字の桁が異常に膨れ上がり、その無駄遣いが明白に見て取れる。「こんな金額、無駄に使ってるんじゃ、国民に還元したらいいのにね~」ウィズは目を細めて笑いながら、さらにスクロールを続ける。ところが、彼の目に飛び込んできたのは、予想外のデータだった。
その瞬間、管理室のドアがカチリと音を立てて開く。ウィズはすぐに画面を隠し、無駄に高級そうな花瓶を手に取った。入ってきたのは、「エース大臣」の秘書だった。彼女はドアを開けた瞬間、目を見開き、ウィズをじっと見つめた。顔には完全に「ヤバいことをしている」というオーラが漂っている。
「な、何をしているんですか?」秘書は声を震わせながら問い詰めた。
ウィズはすかさず、満面の笑顔で言い訳を放った。「あ、いや~、掃除を頼まれてきたんですよ!ここ、空気がピリピリしすぎてて、花瓶でも拭かないとね~」と、無駄に豪華な花瓶を持ち上げ、さりげなくカタカタとキーボードを操作して、秘書のパスワードをこっそり取得した。
「お掃除してるだけなんですよ~」と口にしながら、ウィズは目を画面に戻す。しかし、その時、思わぬハプニングが起こる。
「え?ちょっと待って、これ…」ウィズがディスプレイに目を向けると、画面には大きな赤い文字で「あなたのパスワードがすでに表示されています!」と警告が表示されていた。
「ちょ、ちょっと待って!それ、私のやつじゃない!」秘書は焦りながら、画面に目を向けるが、ウィズはすかさず言い訳をする。「うん、それは、あれだよ。データ確認みたいな感じで、ちょっとしたチェックをしてただけ!」と軽く言い訳し、花瓶をさらに持ち上げる。その瞬間、ウィズの手元が完璧にパスワードをコピーしていたのだ。
秘書は完全に言いくるめられ、ただ困った顔をして後退する。「あ、あの、すみません…」とだけ呟き、部屋を出ていった。その足取りは不自然に重く、どこかで見覚えのあるようなものだとウィズは感じた。
ウィズは肩をすくめ、「これで準備万端」とつぶやきながら、データをさらに集め、パーティーでの大胆な計画がいよいよ動き出すのを感じていた。
第2章:秘密のトンネル
ウィズとその仲間たちは、手に入れた秘密のデータを無事に確保し、さあ逃げる準備を整えていた。しかし、パーティーの喧騒の中、突然気づいたのは、警備が普段よりも厳しくなっていることだった。
「ちょっと、警備が厳しくなったんじゃない?」と、エンゼルが眉をひそめながら、パーティー会場の警備員たちの動きに目を向ける。ウィズも目を細めて、周囲を観察する。「確かに。ここで慌てても仕方ない。計画通り進むだけさ」と、冷静に返す。
ウィズはすぐさま、手元のパソコンを開き、何気なく画面を切り替えると、地下の秘密のトンネルに通じる道を発見する。「おい、これだ。地下道に行けば問題ない」と、ひとりごちる。
「地下道!?おいおい、映画みたいじゃねぇか!」と、仲間の「ピース」が大きな声で反応。彼はいつもの調子で冗談を飛ばす。「でも、こんなチャンス、そうそうないぜ!」
ウィズは笑って「チャンスもなにも、行くしかないだろ。さぁ、行こう」と言い、仲間たちを地下の入り口へ導く。トンネルは薄暗く、地下らしいひんやりとした空気が漂っていた。冷たい空気が肌に触れ、足元に湿り気を感じながらも、ウィズは足を踏み出す。光がほとんど届かないその空間には、何か不気味なものを感じる。
途中で、通路を照らす弱いライトの下で、警備員が2人、まるで風景に溶け込むように立っているのが見えた。彼らは警戒している様子もなく、むしろ雑談をしている。ウィズたちは、足音を立てないように息をひそめながら近づく。
「この辺、なんか…変な匂いがするよね?」と、ピースが鼻をひくひくさせながら言う。彼の表情は明らかに困惑している。
「うーん、それ、私も気づいてました!」と、警備員の一人が言った。ウィズとピースが思わず顔を見合わせる。「え、気づいてたの!?」と、ピースは思わず驚くが、警備員たちは一瞬だけ鼻をひくひくさせ、互いに頷いた。
「なんだこれ、コントか?」と、ウィズが呟く。しかし、警備員たちはそれ以上気にすることもなく、そのまま通り過ぎて行った。ウィズたちは何事もなかったかのように、さらに進んでいく。
「これ、絶対に気づいてないよな…?」とピースが耳打ちするが、ウィズは笑いながら「絶対に気づいてないよ。むしろ、匂いの方が気になってたみたいだな」と言う。エンゼルも、しばらく黙っていたが、にやりと笑って「おかげでスムーズに通れたわね」と言った。
トンネルを進むにつれて、空気が湿っぽく、足元は不安定だった。湿った土の匂いと、何か古びたもののにおいが混じり、胸がざわつく。だが、ウィズは無駄なく先へ進み、仲間たちを引き連れて歩き続ける。途中、何度も左右に曲がる道があったが、ウィズはすべて暗記しており、まるで迷うことなく出口へ向かっていた。
「まるで迷路みたいだな。でも、これで逃げる準備は万端だな」と、ピースがにやりとしながら言う。その言葉にウィズは軽くうなずきながらも、全身の筋肉を緊張させた。まだ油断はできない。このトンネルには出口があるが、それが本当に安全な場所かどうかはわからない。
やがて、トンネルの先に薄明かりが見えてきた。出口が近づいてきたのだ。ウィズは振り返ることなく、仲間たちに合図を送りながら歩き続ける。「ここを抜ければ、あとはスムーズに逃げられるだろう」と確信していた。
出口に近づくにつれて、空気はさらにひんやりとし、ひとしきり深呼吸したウィズは、やっとの思いで光を浴びた。そこは、ホテルの裏手にある小さな倉庫の近くだった。外の世界が広がっている。
「さぁ、後は逃げるだけだ!」ウィズが振り返ると、仲間たちが無事に通り抜け、笑顔を浮かべていた。「これであとはデータを届けるだけだな。完璧だ!」と、エンゼルが言うと、ピースも笑って「まさに映画のような展開だったな!」と声を上げる。
だが、その時、後ろから足音が聞こえた。警備員たちの足音だ。ウィズは顔色を変えることなく、仲間たちに静かに合図を送った。「さっさと行け、急げ!」と、指示を出す。無駄な時間を取らず、ウィズたちは素早く姿を消し、逃走を始めた。足音が近づいてくる中で、ウィズの心拍数が上がる。だが、冷静さを欠かない。
「さぁ、次はネットだ!」ウィズの頭には、次のステップがすでに浮かんでいた。
第3章:ネット上での大暴露
義賊たちは手に入れたデータを片手に、すぐさまネットで生配信を開始した。ウィズはカメラの前に立ち、視聴者に向かって力強く言い放つ。「これが税金泥棒たちの実態だ!」その言葉とともに、画面に次々と映し出されるのは、エース大臣とその仲間たちが行った不正の証拠の数々だ。金額の桁数が異常で、贅沢な生活費、海外旅行、さらには政治献金の不正な流れが明るみに出る。
「これがエース大臣が隠していた政治献金のリストです!」ウィズの声が高鳴り、視聴者のチャット欄は爆発的に盛り上がる。「これ、マジで!?」「さすがねずみ小僧!」「暴露お見事!」と、コメントが次々に流れる。視聴者たちは驚きと興奮でその暴露に釘付けになった。
「こっち見てみろ、こっちにもまだあるぞ!」と、ピースがモニターを指差すと、さらなる証拠が画面に映し出される。隠された裏取引、疑惑の資金の流れ、さらには収賄に関する疑わしいメールが次々に登場し、ウィズとその仲間たちの暴露は予想以上のスピードでネット上で拡散していった。
配信のコメント欄は、すぐに戦場と化す。視聴者の反応はますます加熱し、「政治家の腐敗なんて今に始まったことじゃないけど、こんな証拠まで出されると、もはや逃げられない!」というコメントもあれば、「これが本当なら、大変なことになるぞ!」という不安と期待が入り混じる意見も見受けられた。SNSのタイムラインも、ウィズの暴露を追いかけるかのように次々と更新され、瞬く間にトレンド入りを果たす。
その頃、エース大臣の豪華なオフィスで、彼とボス官僚はテレビの画面に映る自分たちの姿を見て驚愕していた。ボス官僚は目を見開き、パソコンの前でガタガタと手を震わせている。
「な、なんだって!?このデータが!」ボス官僚が叫ぶ。「こんなこと、絶対に許さない!これを消去しないと!」パニックに陥った彼は、コンピュータを前に手を振り回し、急いでキーボードを叩く。しかし、事態はどんどん悪化するばかりだった。
エース大臣は焦りながらも冷静を装い、「データ消去装置を起動!」と指示を出す。しかし、その瞬間、まさかのトラブルが発生した。消去ボタンを押すはずが、何を勘違いしたのか、ボス官僚は勢い余って「公開ボタン」を押してしまったのだ。
「やべぇ!データ消去するはずが、公開ボタン押しちゃった!」と、ボス官僚が顔を青くしながら叫ぶ。エース大臣は瞬時に顔面蒼白になり、「え、公開!?そんな…!」と混乱し、パソコンを見つめるが、それも束の間、画面には彼らの不正行為がまるで生放送のようにリアルタイムで流れ続けている。
「公開しちゃったんだよ!公開しちゃったんだよ!」ボス官僚は声を上げ、足をバタバタさせながらパソコンの前をうろうろする。「こんな大事になるなんて…!」
「最初からやり直すか…」とエース大臣は半泣きでつぶやくが、彼の顔にはすでにネット上で拡散された膨大な情報の数々が目の前に浮かび上がっていた。今や、彼の過去の政治活動、隠していた献金リスト、さらには手を染めてきた汚職までもが、どんどん広がり、拡散されていく。
その瞬間、ウィズは配信中、無邪気な笑顔を浮かべながら、「そして、これがエース大臣の本当の顔!」と、特にショッキングな部分を再度強調。スクリーンに大きく映し出された証拠映像は、まさに彼の終焉を告げるような内容だった。証拠映像には、政府からの不正な補助金が不透明な法人に流れ、その金がエース大臣の個人口座に振り込まれるシーンまでが詳細に記録されており、視聴者たちはそれを目の当たりにして、口をあんぐりと開けていた。
視聴者のコメントはますますヒートアップし、SNSは一時的にアクセス過多となってサーバーがダウンするほどの騒動に発展した。フォロワー数が急上昇し、「#エース大臣終わった」「#ねずみ小僧に感謝」などのハッシュタグがトレンド入りし、ウィズたちの名声は一気に広がった。
「見ろ、エース大臣、あなたのやってきたことが、世界中にバレてるんだよ!」ウィズの声が画面越しに響き、視聴者からは「#エース大臣終わった」「#ねずみ小僧に感謝」といったハッシュタグがトレンド入りし、彼らの名声は一気に広がった。
エース大臣は完全に後手に回り、ボス官僚とともに、パソコンの前で茫然自失になっていた。エース大臣はやっとのことで、「ど、どうすればいいんだ…?」と呆然とつぶやくが、ボス官僚はそれを聞きながら顔を真っ青にして、「こんなことになるなんて…!」と悔しがるしかなかった。
だが、すでに全ては遅すぎた。ネット上に公開された情報は、もはや彼らの手の届かないところに広がっており、政治家たちは次々にコメントを発表し始め、メディアのインタビューが殺到していた。彼らは一切の言い訳をすることなく、すぐに沈黙を強いられ、追い詰められた。
その頃、ウィズたちはすでに次の計画に移行していた。生配信を終えると、ウィズは仲間たちと目を合わせ、にやりと笑った。「次のステップだ。もう、逃げる準備は整った。」
「そうだな、これであの連中は完全に終わりだ!」とピースが意気込んで言い、エンゼルもまた冷静に「次は私たちのターンだね」と微笑んだ。
そして、義賊たちの活躍は、次なる大波乱へと続くのであった。
――続く――