タイムブレイカー：時を超えし者の選択③

第9章 - 逆転の兆し

ユウキと草食恐竜たちの連携が捕食者たちに対して明らかな優位を生み出す中、ティラノサウルスとヴェロキラプトルは次第にその計画の崩壊を感じ始めた。彼らが予想していた通りには事は進まなかった。草食恐竜たちの強固な団結力、そしてユウキの卓越した指導の下での素早い反応が、捕食者たちの動きを封じ込め、彼らを追い詰めていたのだ。

ティラノサウルスはその巨大な体を揺らしながら、激しい息を吐き、周囲を睨みつけていた。彼は、草食恐竜たちの圧倒的な数と、その動きの一貫性に自分の優位性が揺らいでいることを感じていた。かつては自分が支配していた荒野の王者としての自信が、まるで砂のように崩れ落ちる感覚を覚えていた。

ティラノサウルス：「このままではまずい...奴らが予想以上に賢くなっている。」

彼の声には、かすかな動揺が込められていた。巨大な体を持ちながらも、その反応速度や判断力は草食恐竜たちの機敏な連携に敵わなかった。ティラノサウルスは歯を食いしばり、無意識に爪を地面に立てていた。

一方で、ヴェロキラプトルはその冷徹な目で、草食恐竜たちの行動を鋭く観察していた。彼は常に変則的で素早い動きが得意であり、群れの中の隙間を突いて一気に反撃するチャンスを探し続けていた。しかし、草食恐竜たちは一度でも形成した壁を崩されることなく、しっかりと連携し続けていた。

ヴェロキラプトル：「もう少しだ。あいつらの集中力が途切れれば、必ず隙間はできる。その瞬間を突くんだ。」

彼の言葉に、ティラノサウルスはしばし考え込み、やや冷静さを取り戻したように見えた。しかし、次の瞬間には再び自信を失い、草食恐竜たちの姿をじっと見つめ続けていた。彼はその集団がいかにしっかりと組織されているかに気づき、まるで自分一匹の力ではそれを破ることができないと悟っていた。団結した草食恐竜たちが持つ新たな力を、ティラノサウルスはどこかで恐れていた。