星の庭と輝きの種

プロローグ:夜空への憧れ

夜風がそよそよとカーテンを揺らし、静かな星空が窓の外に広がっていた。アミナは大きな目を輝かせながら窓辺に腰掛け、一番星を見つめていた。

「お星さま、どうして君はあんなに遠いの?」
アミナは小さな手を窓の外に伸ばし、星を掴もうとしたが、もちろん手には何も触れなかった。それでも、彼女の目はあきらめることなく星を追い続けた。

その時、母がそっと部屋に入ってきた。「アミナ、もうこんな時間よ。そろそろお休みなさい。」

「でも、お母さん。」アミナは振り返り、小さな声で尋ねた。「星って本当に触れるものなの?どうしてあんなに遠いの?」

母は窓辺に座る娘の隣に腰掛け、柔らかな声で答えた。「星は遠くにあるけれど、心が強く願えば、きっと届く場所があるのよ。大事なのは、触れてみたいって思うその気持ち。星は、そんな心を持つ人を待っているの。」

「待っているの…?」アミナは小さな頭で母の言葉を考えた。

「そう、星は君の勇気と優しさを試しているのかもしれないわね。」母は微笑み、アミナの髪をそっと撫でた。「さあ、おやすみなさい。」

母におでこにキスをされると、アミナはベッドに潜り込んだ。しかし、彼女の目は窓の外に広がる星空から離れなかった。「星が私を待っているなら、きっといつか触れる方法が見つかるはず。」

アミナはそう思いながら、再び小さな手を空に向けて伸ばした。そして、星をつかむ夢を胸に、そのまま眠りについた。

その瞬間、窓の外に輝く一番星が一際強く瞬いた。まるで彼女の思いを感じ取ったかのように、星の光が彼女の部屋の中まで届き、そっとアミナを包み込んだ。

アミナの夢

彼女の眠りが深くなるにつれて、不思議な感覚が広がった。体がふわりと軽くなり、星明かりに引き寄せられるようにしてどこかへ運ばれていく。風の音や、遠くで聞こえる星々のささやきが彼女の耳元をくすぐるようだった。

まぶたの裏に感じる明るい光に、アミナはそっと目を開けた。そこには、彼女がこれまで見たこともない幻想的な世界が広がっていた。空は紫と金色が混じり合い、無数の星屑が宙を漂っている。足元の草原は小さな光の粒でできているように輝き、まるで星の中に迷い込んだかのようだった。

「ここはどこ?」アミナは小さくつぶやいた。

その時、草むらから現れたのは、キラキラと輝くウサギのような小さな生き物だった。「やあ、君はアミナだね?」

「え?」アミナは驚いて立ち上がり、目を丸くした。

「僕はルクス。星の庭の案内役さ。」その小さな生き物は、にっこりと笑いながら答えた。「ここは、星に触れたいと願った人だけが来られる場所なんだよ。」

アミナは息をのんだ。そして、心の中で母の言葉を思い出した。「星が私を待っている…?」

「そうだよ。君がどんな人なのか、この庭が試してくれるんだ。さあ、冒険の始まりだよ!」

ルクスが輝く足跡を残しながら歩き出すと、アミナはその後ろを追いかけた。胸の中で高鳴る鼓動を感じながら、彼女の新たな旅が幕を開けたのだった。

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