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駆け込んできた教授と女子生徒

新宿の京王線と小田急線の間の地下街のとある服屋でバイトをしていた時の事。その日は売上げもあまりあがらず、店は暇であり、店長は出張だった。

居たスタッフは、副店長(26歳)・新人(24歳)・そしてバイトの私(24歳)の3人。

ある日、1組のカップルのお客様が来た。身なりは教授・・の様なシルバーグレーの中年。地味な黒髪の女の子と一緒。所々ゴシックが見え隠れしている、革のチョーカー等。
ヒントに気がつかなかったのは私ら店員の若さ故。

「すみませんがお姉さん方、一番短いスカートはどれですか?」

と教授が言う。
私達は、店内を探し周りマイクロミニのチェックのスカートを渡す。すでに辺りの店は閉まっており、当店も閉まる直前だった。その客が最後だった為、途中までシャッターを閉めて接客を続けた。何着かを試し、赤のチェックのスカートを彼女が穿く。

あら、可愛いじゃない。

教授がおもむろに、こう言った。
「すみませんが、少し協力して貰えないだろうか?」

意図が分からなかった私達、教授の思惑にハマっていることすら気が付かず、
「はい・・・私達に出来ることなら・・・」

と彼に伝える。すると、

「ミナコちゃん、このショーケースの上に座りなさい。短いかどうかを皆さんに見てもらいなさい。」

そして私達の方を向き、
「皆さん、後ろ側に回って、みなこちゃんの後姿を見てもらえないかな?変かどうか?」

私達が、
「このスカートはそこまで短いですかね?」
とぶつぶつ言いながら後ろに回った瞬間、

教授が声を張り上げる。
「ミナコちゃん、四つん這いになりなさい。」

ミナコちゃんに眼をやると、彼女はイヤイヤと首をふっている。続ける。

「ミナコちゃんはきたないんだね。だから皆さんにスカートを穿いている姿をお見せできないのかな?皆さんの時間をこうやって無駄にしているのが分からないのかな?」

その言葉を聞いて、ミナコちゃんは、おずおずとショーケースの上で四つん這いになる。

なんと・・・・
ミナコちゃんは、スカートの下に何も穿いていなかった。剥き出しのミナコちゃんが私たちの目の前にある。脱毛済みだ。目の前の光景が異常すぎた状態に、暫し私達は絶句した。
そして、その沈黙はおかしな形で破られた。

「きれいです!!!!」 

とパニックになった副店長が、目の前にあるむき出しのそれを見つめながら拍手をしだした。

ハッと気がつく。間違った方に。
新人スタッフと私も続いた。

「きれいです!!!!」
「きれいです!!!!」

にんまりと笑った教授が、続ける。
「じゃあ階段を上ってみよう。」

地下のモール街なので、地上に出る為の階段が幾つかある。店の真横の階段を、ミナコちゃんがのぼりはじめた。

私達は下から叫ぶ。

「きれいです!!!!」
「きれいです!!!!」
「きれいです!!!!」

奇跡というのは、起こりえるもので、いつも混んでいる新宿のその地下街は誰一人歩いていなかった。そして、教授とみなこちゃんはチェックのスカートを2枚買って帰っていった。

残された3人。私達。
副店長がハッと我にかえる。

「ああああ!!!私は店長の居ない時に、なんてことを!!!!!!!」

我ら三人は、店長には決して言わないという約束をし、その日店を出た。
未だにミナコの画像は脳内に焼き付いたまま。

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