カスの細道 vol.1
スカ美という女が居る。
私は特にスカ美と仲良い訳では無いので、本名は知らない。とあるセッションで一緒なのだが、常にスカ美は通路の真ん中に座り混み、四六時中化粧をしながら、大声で話し続ける。それはもはや妨害であり、非常に邪魔である。挙げ句の果てには講師に相談される始末。
イエス。気持ちはアウトロー。
そんな彼女の話。
スカ美が目の前で取り巻きのカス共(以下カス巻きと言う)に語り始めた。
「私さあ、もう35なんだけどさぁ、大阪でDJになろうと思って、NYに来たんだよね。この場所に一緒にDJやりたい人がいてさ、一緒に帰って大阪でやろうって思ってここに来たんだけど、その人、DJ辞めちゃったんだよね。」
何か男に騙されてるみたいな結果である。
そもそも、大阪でDJをやる為ニューヨークに来るあたりブレてる感じが堪らない。
「エヴィバディセイホー、DJスカームゥ」などいう為に発音をソレっぽくするアレであろうか?
さてカス巻きの1匹が良い質問を出す。
「大阪??なんで東京じゃないんですか?」
ニューヨークじゃと聞かないところ、カス巻きのせめてもの優しさであろう。
スカ美が続ける。
「東京はさぁ、怖いんだよね。なんか人が親切じゃ無いって言うか。でもさあ一緒にやりたいDJももう居なくなっちゃったし、大阪でDJの専門学校に通ったんだけどスキルを活かせてないっていうかぁ。あー、メキシコ行こっかなあ。やっばー、来週でパスポートの期限切れるんだった〜。大使館行かないとな〜。」
パスポートも無いそんなスカ美がメキシコで何を学ぶのかはさて置き、
大阪には何とDJの専門学校があるようだ。
クラブと提携し、卒業生を斡旋でもするのだろうか?
さて置き、スカ美はカス巻きに語る。
「これ、聴いて。私の師匠のDJ。なんかLAで有名なんだって」
かつての親友を思い出す。マルチにハマった奴だ。彼女も昔言って居た。「私の運命の師匠は相模原に居る」と。
そもそも「、、、っぽい」とか「、、、なんだって」という言葉自体、既に師匠のバリューも、もはやあやしくなって来たのである。
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