【犬、哲学をひろう】 02 / 恋のようなもの
コザにある “オールハンドメイド” のシャルキュトリー専門店・TESIO。店主・嶺井大地さんが沖縄の豚肉からつくりあげるソーセージは、2019年、ドイツ国際コンテストIFFA(ソーセージの本場ドイツで行われる食肉業界最大規模の国際見本市)にて、出品した3アイテムすべてがメダルを受賞する快挙を成し遂げています(2つはGOLD受賞、1つはSILVER受賞)。そして今年に入ってからは、コザという街自体を盛り上げる活動にも精力的に取り組み、4,000人という人々を動かすに至っています。
そんな、どこまでもアライブな人・嶺井さんに「恋するように仕事をすること、生きること」について伺いました。インタビューさせていただいた90分という短い時間に何度もスマホが鳴り、アポなしで色々な方が「こんにちはー」と訪ねてきたことが印象的でした。
哲学者:嶺井大地(TESIO店主)
テーマ:「恋のようなもの」
大人になると、未来を生きる人は多い。けれど、嶺井さんは十分大人になった今でも、今を生きている。
嶺井さんの面白い話に引き込まれるほど、泉のような好奇心と、土壌としての葛藤感が垣間見えました。社会的にどれほど満たされようとも、いつもちょっと空腹で、新たなときめきを求めずにいられない性分。世界が認める一本道を歩いていても、ある時気が向けばさっと横道に入ってしまうだろう真剣な人特有の大胆さ。「もっと沖縄の人になりたい」という願いを、からだとココロを惜しみなく使って手繰り寄せようとする姿は、恋している人のそれとそっくりだな、と感じずにはいられませんでした。
インタビュー終盤、「そういう意味では、TESIOがいつまであるかもわからないね。」と嶺井さんが言った時、なぜTESIOのソーセージが、精肉以上にお肉なのか、ストンとわかった気がしました。「恋」と呼べるほどの変化を日々求めながら今を生きる嶺井さんの放射熱が、TESIOのソーセージを精肉以上にお肉にしている。だから、人に届く。人の心にありがちな退屈を、今という喜びにパキッと、塗り替えながら。
【TESIO】
住所 沖縄県沖縄市中央1丁目10-3
電話 098-953-1131
営業時間 : 11:00~19:00 月曜定休
https://tesio.okinawa/
嶺井大地さんはコラム「コザるを得ない街のつくり方」も連載中。
【中山理恵 プロフィール】
コピーライター、編集者。WELEDAなどグローバルブランドの日本コミュニケーションや、青山フラワーマーケットのコピーワークなど。QANDO所属。第32回繊研流通広告賞準大賞受賞。夫の映画作りのため東京から沖縄へ。男の子がひとり。