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バイバイ楽天モバイル

2024年の 4月末に、楽天モバイルの 5G回線を契約した。

これまでメインで使ってきた mineo のサービス品質にはとても満足していたが、職場では 5G の電波 (5G とは言ってもしょせん、NR に過ぎないけど) が入りづらいこともあり、たまには違うキャリアも試してみるか、という軽い気持ちで契約した。

楽天モバイルは新規で開通。その時点で契約しているのは以下の回線。すべて通話/SMS ありの契約でデータ専用回線の契約は無い。

・mineo 5G au回線。メインで使用。3459
・イオンモバイル 4G docomo回線。ガラスマに入れて通話専用。3000
・povo 5G au回線。ThinkPad用、DAZN契約用。6622
・HISモバイル 5G docomo回線。x3 予備。

いわゆる大手キャリアの契約は無くて、2014年8月に au で 15年以上使っていた契約を mineo に MNP してから回線は入れ替わりつつ、常に契約が続いている。

使用中の回線についてはどれも解約したくない理由があるため、楽天モバイルは新規とした。

楽天モバイルは新規契約の際に、下4ケタを自由に選ぶことができる。契約時に 1,100円のオプション。

povo で使っている回線、090-xxxx-6622 と似たような、070-x999-6622 という番号が選べたのでこれにした。

楽天モバイルは新規顧客の獲得に躍起で、要は設備などに余裕をもった状態と考えられる。また楽天モバイルの財務状況はあまり良い状態ではないが、これは顧客目線で言えば割安のサービスを受けられるという状況である。

本来、サービスを提供する会社の財務状況が悪化していることは望ましいことではないが、楽天モバイルの場合は親会社の楽天が財政的に支えているため、楽天銀行、楽天証券、楽天カードの金融ビジネスからあがってくる収益を楽天モバイルで消費していると考えられるのでユーザ的にはデメリットはない。

アプリを使って発信すると通話料が無料になる、楽天LINK が使える点も魅力を感じた。


申込みから開通まで


2024年4月24日水曜日 22時過ぎにウェブから申し込み。翌25日木曜日 20時過ぎに SIMカード発送のお知らせ。こういう速度感は全キャリアでお願いしたい。

届いた SIMカードはメインで使っている ASUS Zenfone 10 でアクティベート。

5G については au同様、入ったり入らなかったり。通信速度については不満なし。そもそも高速で通信することはほぼ無いので、安定していれば良い。


左から mineo au回線、楽天モバイル、mineo SoftBank回線。


まったく使い物にならない楽天LINK


期待してた楽天LINK、結論から言えばまったく使い物にならない。無料のサービスなので文句を言うのは筋違いかもしれないが、これを目当てに契約するのはまったくオススメできない。

まず専用アプリでしか使えないのはある程度仕方ないが、このアプリがめちゃくちゃ使いづらい。インタフェイスの設計が残念すぎて操作が煩雑だ。余計な広告やらがエンドレスに出てきてユーザ体験の悪さが半端ない。

本家、楽天市場はむかしに比べてこのあたりはだいぶ改善しているように思う (相変わらずのメルマガ攻撃は理解できないが) が、むかしの広告送りつけ体質から抜けられない人たちが作っているのだろう。

そしてメインの評価である通話品質。これはもう良いとか悪いを通り越して、使い物にならない。

まず、発信してもつながらないことが多々ある。すぐに掛け直せばつながる。自分の番号になんどかテスト発信したが、たまに非通知になる。

もし運良く番号を通知して発信できたとしても、通話が成り立たない。音質が悪すぎて相手が何を言っているか聞き取れないし、こちらの声も聞こえてないようだ。たまに声が聞き取れたとしても、月からの通信か?というほどの遅延(体感で 2~3秒あるのでトランシーバでの通信みたいになる)が発生することもある。

現代は通話すること自体が減っていて、そもそも通話をしないといけないような状況は相当の事情があるときだけに限られる。そんなときに、この通話品質ではとても使い物にならない。クレジットカード関連の問い合わせで、なんどか 03 や 044 宛の番号に通話しないといけないことがあって使ったものの、相手の保留音すらまともに再生されないので諦めて別の回線から掛け直した。

さらに、この楽天LINK が超絶ダメなところは、このアプリを入れてあると掛かってきた通話も楽天LINK 経由で着信してしまうところ。

相手がまともな回線 (例えば VoLTE) を使っていても、こちらが楽天LINK なので通話が成立しない。ログアウトしておけば通常の電話アプリで受けられるので、常にログアウトして使うか、楽天LINKアプリはアンインストールする必要がある。

ただし、楽天モバイルに付随する電子メイルサービス、rakumail は楽天LINKアプリでしか使えない。ログアウトしていると通知も来ないので、これも使い物にならない。

せめて、掛かってきた電話を楽天LINK アプリで受けないようにしてくれれば常駐することもやぶさかではないが、この仕様で使っている人が居るとは思えない。(アイフォーンの場合は、楽天LINK では受けられないらしく、通常の通話として着信するらしい)


通話品質の悪さ


楽天LINK については無料のサービスなので使い物にならないなら使わなければいいし、rakumail も個人的には使うこともないので楽天LINK アプリを入れなければふつうの 5G回線のキャリアとして使えるだろう、という目論見はあった。

しかし、半年は使ってみたものの解約に至るどうしても許せない点があった。それが「通話品質の悪さ」だ。

前述の通り、楽天LINK は良い悪いを通り越して、使い物にならなかった。一方の通話品質については、これは単に「悪い」という評価だ。

au などの大手キャリア回線を使って通話しているときに、どちらかが電波の悪いところにいるなどの状況になければ、通常は通話していて品質を気にするようなことはないと思う。


最近の格安MVNO 各社では、通常大手キャリア回線だと 22円/30秒が課金になる通話を使わなくて良いように、中継回線へ迂回して 10~11円/30秒で通話できるサービスを提供している。mineo の場合も、mineoでんわ、というオプション料金無料のオプションを提供している。

むかしは、この中継回線を使うときにはプリフィックスと言って、発信する番号の前に中継業者を識別するための番号(例えば KDDI を使いたければ、頭に 0077 を付ける)を付ける必要があって、一般ユーザが使うには少し敷居が高かった。MVNO各社ではこのあたりを工夫していて、専用のアプリを使うことで自動で付与したり、Android の機能を使って付与したりしていた。

しかし、そのうち自動プリフィックスという機能が出てきて、ユーザ側で特別なほうほうを使って発信をしなくても、キャリア側で自動的に中継業者へ迂回するように手配してくれるようになった。これは便利なので使っているユーザも少なくないと思う。

私も一時期、mineo の mineoでんわを使っていたことがある。しかしこの mineo電話、通話料こそ半額になるが「通話品質が悪い」のだ。要は中継業者というのは、交換機を使わずに IP網だけで構築することでコストを抑えており、通話がすべて VoIP として取り扱われることになる。

それ自体は悪いことではなく、そもそも各社の 4G/5G 回線を使った通話 (VoLTE など) はエンドツーエンドで VoIP になっており、VoIP だから品質が低い、ということではない。

しかし、中継業者の場合はコストを下げることだけを目的に VoIP を使っているため、どうしても品質の低い設定を使わざるを得ない。圧縮率の高いコーデックを使っていたりして、通話していて気になるほどの品質の差がある。

mineo の場合は、mineoでんわを使わず、MNO のキャリアの通話を使うことで回避できていた。

しかし楽天モバイルの場合は楽天モバイルのネイティブな通話がすでにこの中継業者並、もしくは中継業者未満の品質でそれを回避する方法はなく、こちらから発信する場合は イオンモバイル(中身は IIJmio)の docomo回線や mineo の au回線を使えばいいだけのことなんだけど、掛かってくるものは選べず、半年間、ストレスを抱えつつ使うこととなった。

この手の品質に関するものは、その時たまたま、ということもあるので改善されるかもしれないという期待も込めて半年は使ってみたものの、変わる気配もなさそうなので、残念ながら他社に MNP することとした。

これがタイトルにある通り、バイバイ楽天モバイルの直接の原因ではあるもの、もう一つが回線料金がそこまで安くない、ということもある。

余談だが、これらの中継業者を使った通話料の低減については格安系の MVNO を使っていなくても個別に契約すれば利用できる。大手キャリアで契約中の場合でも、例えば G-Call と契約すれば (さらに通話のたびに 0063 を付与してかければ) 8円(非課税)/30秒で通話することができる。非課税というところから推測するに、たぶん交換機との接続で海外 (韓国かフィリピンあたり) を経由して、現地のキャリアの大口割引のような仕組みを使っているのだと思う。

https://g-call.com/phone/phone01/dom_mobile.php


ビミョーに高い月額料金


まず、私は 5G/4G 回線でインターネットはほとんど使わない。(後述するオプションを駆使することで)月に 0.5GB もあれば足りるので、これが 10年前に大手キャリアである au をやめて mineo に乗り換えた大きな理由の一つである。

mineo では通信速度が 32kbps に制約されるがパケット量で課金されない「マイそく」という料金プランがあり、これが月額税込み250円で使える。

もちろん、32kbps しかないので通信が難しく、このままだと実用にならない。外で使う予定があるときは、24時間使い放題の「24時間データ使い放題」オプションが税込み198円/回で追加できるので、これを必要なだけおかわりする。月に 3回使ったとしても、基本料金と合わせて 1,000円を超えない程度で利用できる。(私の場合は DAZN や Jsportsオンデマンドの視聴なので、24時間で 2~3GB 程度のパケットしか通信しない)

これを超えるような通信をする場合は「マイピタ」の料金プランで 1GB までが月額税込み1,298円で使える。これも 1GB まで、という点が気になると思うが、ここで威力を発揮するのが「パケット放題 Plus」というオプションだ。速度が 1.5Mbps までに制限されるものの、この制限中のパケットは課金対象から外される、というあわせ技でオプションを含めて月額1,683円で実質使い放題回線を手に入れることができる。

mineo には「マイそく」で 1.5Mbps プランが用意されており、こちらなら月額税込み990円になるので、こっちでいいじゃないか、という気もするが、「マイそく」には致命的な欠点がある。契約プランにかかわらず、真昼にあたる 12~13時は 32kbps に制約される。

一番、外で使いたい時間帯である 12~13時に制限を掛けられると使いづらい。バーコードを表示する系のアプリ (PayPay) などすらまともに使えない。この制約があるので「マイそく」は 32kbps プラン以外は不要に思う。

楽天モバイルに乗り換えたことで料金プランとしては 3GB まで月額税込み1,078円、3GB を超えて 20GB までが 2,178円になる。

mineo で使えていた 24時間使い放題やパケット放題 Plus などがなくなるため、速度の制約はなくなるものの、月に 5GB ほど使うこともあって 20GB までの 2,178円になることもある。

mineo であれば最大でも 1,683円で使えていたものが、通話品質が下がったうえで 2,178円となるのでこれは私からすればビミョーに値上がりしたと言える。20GB を超えればもっとも上の 3,278円になるので、ここまで来ると料金面でまったく mineo に対抗できず、楽天モバイルを使うメリットがゼロになる。


もうちょっとカンバって


月額料金については、たった 500円程度のことなのでそれを理由に乗り換えるほどのことではないが、「通話品質の悪さ」は耐えられなかった。

楽天モバイルの新規契約特典で、はじめの 5ヶ月は毎月400ポイント (400円相当) の付与があるので、実質は月額料金では差がなかったと言える。

品質については改善の余地があると思うし、楽天LINK の残念さと通話品質以外については概ね使いやすいキャリアだと思うので、今後、もし改善されることがあればまた楽天モバイルに戻ってくるかもしれない。


5G が入るか入らないか、みたいなビミョーな地点で測定した回線速度のテスト。午前中で 12Mbps、特別に遅いとは思わないもののこんなものなんだろうか。

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