【展覧会レポ】ポンペイ展:宮城県美術館
去年の秋、宮城県美術館に「ポンペイ」展を見に行きました。
少し遅きに失した感がありますが、大変おもしろい展覧会だったので、振り返って感想を書いてみます。写真多め。
地元のテレビで結構CM打ってたせいか、かなり混んでました。
でも写真撮影OKだったし点数もかなりあったから、見ごたえ抜群で大満足の展示でした。
(私事ですが:これはそもそも東京でスタートした展示だったのですけど、地元に来るからと鑑賞を先延ばししていた展示だったので、やっと見ることができて感慨もひとしお。)
便利グッズ的日用品
この展示では特に目玉の出品作品として、炭化したパンとモザイク画の黒い犬(猛犬注意)を推してたけど、それ以外にも当時のふつうの人々が使っていた日用品や道具類などがたくさん出品されていました。
普段使いの品々をつらつら眺めていると、実に様々な道具があったことが分かります。豊かなアイテムに囲まれた、快適な生活が想像できました。いまは色あせ、さび付いた品々でも、ポンペイという街の当時の賑わいや活気が目の前に立ち現れてくるように感じました。
永遠の輝き、ジュエリー類
アクセサリー類も充実。
特に淡水真珠のイヤリングは、土台が金だから当時の輝きそのまま。
淡水真珠ってふつうの真珠よりケバくないっていうか凛とした色合いをしていてすきなんですよね。台座の形も華奢でおしゃれでした。
ふつうに欲しい。
みんな大好きヘルマ柱型肖像
生で見たときの破壊力がすごかったです。堂々としている!よっ、大統領!
いまでこそ、おちんが丸見えだとキャー!って感じだけどもしかして古代ローマではおちんが見えるくらいふつうだったのかな…?🙄
バサバサした服(トーガ)だし…あんなに堂々と出ているくらいだからそこまで恥ずかしいものじゃなかったのかもしれないな。
固焼きパン(焼きすぎ)
パンは見事に炭になっていました。不謹慎だけど昔原爆資料館で見た被爆者の遺品の弁当箱とか思い出した。パンの表面の肌目もそのまま残っている。発見した人はびっくりしただろうな…。
それにしてもこのパンは堅かったのかなあ、それともモチモチだったのかなあ。形だけ見ると、モチモチ系っぽいけどいかに。。
猛犬注意!
黒い犬は近づいてみると微妙な陰影ぐあいを几帳面にモザイクで表していた。猛犬なのにちょっと愛嬌がある顔。黒い生き物には赤い首輪が似合う(魔女猫ジジ!)のは古今東西共通なんだね。
ちなみにこの犬のぬいぐるみも売っててちょっと欲しかったな(今更だけど買えば良かった)。
モザイク画の数々
展示の後半にはほかにもたくさんモザイク画を展示していました。どれも精緻で、当時の技術の高さを思わせます。
一番いいなっと思ったのはこれ。海の幸満載。
うろこのざらついた感じや、きらっと光る感じ、背びれのとがったところなど、本当に詳細に表現されていて感動しました。
さいごに
やはり触れずにいられない、こちらの石膏像。
今回展示の主眼は、在りし日のポンペイの豊かな文化や生活なので、火山の噴火にまつわる出品はこれくらいでしたが、これが一番はじめに展示されているところに意義を感じます。
そもそもポンペイ(を含む、当時の地中海世界の都市)のあれこれがこんなにも残ったのは、「ヴェスヴィオ火山の噴火と火砕流により、一瞬にして都市が火山灰に埋もれ沈んだ」からです。この災害により、後世の研究に役立つ大量の資料と情報が残されましたが、それと同時に、たくさんの命が一瞬で奪われたことも事実です。
たった一体の石膏像であり、他の出展作品に比べて地味ですが、この豊かな生活の名残を今日の私たちが見ることができるのも、こうした犠牲の上にあるのだということは、心に留め置かなくてはならないよ、というキュレーターの願いのようなものを感じ取りました(そんな意図があるかどうか、本当のところはわかりませんが)
特に、今回の開催地は宮城県で、鑑賞者の多くは地元の人たちでしたので、より一層感じるところがあったのではないかと思います。わたし自身は福島在住ですが、やはりこの石膏像を見ると、11年前の災害のことを想起せずにはいられませんでした。