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【展覧会レポ】ヴァロットン 黒と白展:三菱一号館美術館
三菱一号館美術館に「ヴァロットン 黒と白」展を見に行きました。
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前にナビ派の展示か何かを見たときに一緒に紹介されていて、以前から好きだったヴァロットン。
いそいそ出掛けてたっぷり堪能した。
三菱一号は順路真ん中あたりの一番大きな展示室が撮影OKなことが多くて、今回も例にもれず。
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静かな画面の中に一瞬の緊張が凝縮されている
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そういえば、ヴァロットンもナビ派らしく浮世絵の収集をしていたらしい(好きな作家にナビ派と印象派が多いせいか、好きな作家が大体浮世絵好きなのだが、わたし自身は不思議とそこまですきじゃない)。
小さな画面にいろんな仕草をしている人物が詰め込まれている感じ、画面コミコミなのに構図にリズム感があるからか、全然狭苦しさを感じない。
むしろ、そっと遠くから対象に向かってファインダを覗いている目線のように冷静だ。
特に彼の作品で好きなのは、「アンティミテ」シリーズ。というかこの日はこれを見るためだけにこの展示に来たと言ってもいい…🙄
アンティミテ=親密。なので、密室で男女が意味ありげに語りあってたり黙ってたりする。黙っているだけの絵で、しかも単純な白黒の陰影だけで表現されているのに、画面の中の人物の感情や、二人の関係までもなんとなく想像できてしまうのはどうしたことだろうか…
沈黙の中にすべてが語られている。
登場人物はお互いのことしか意識しておらず、鑑賞者はちょっと窃視的な欲望も満たすことができる。
そうそう、窃視的…
よく、男性の社交室や喫煙室にかけられるための絵として、裸や薄着の女性を描いたものがある。あれも同じような形容詞が使われるよね。
こっちは相手に気付いているが、相手はこっちに気がついていない、という状況は、圧倒的な優越感を見る者に与える。
わたしはあの手の絵(女性のヌードとか)は特にすきって訳じゃないんだけど、多分その優越感が気持ちよくて、窃視的な絵を愛でてしまうんだと思う。
さて、本作はもともと10枚の連作版画で、セットにして売られていたらしい。本だと思ってたんだけど、一枚ずつが独立した作品。
あとでショップに行ったら、当時の貴重なオリジナルセットを模した茶色い封筒に入ったアンティミテ10枚セットの絵はがきを見つけた!
ホクホクして購入。
特別仕様の黒インクは、いままで絵はがきでは見たことないほど黒々として、紙も手触りがよくってずっと見ていたい感じだったのだが、インクの匂いがいや臭いがすごい!!ツンとするシンナーっぽい臭いがしばらく漂う。公式によれば空気中にさらしているうちに揮発して無くなるとのことだったので、帰宅後、天気の良い日に、ひらいた窓辺に絵はがきを並べてすこし風に当ててみた。
すこしは匂いが飛んだ気がする。
本物のアンティミテももしかしたら刷りたてはこんなキツイ香りを纏ってたのかな…。
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