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アオタケプロジェクト 採択者紹介③ 川村健人さん
アオタケプロジェクトは、青森、秋田、福島地方の若手人材を対象として起業家を発掘・育成しています。採択を終え、現在アイディアを磨き上げている採択者の姿をご紹介します
今回ご紹介するのは…
川村健人さん
八戸工業高等専門学校4年 電気情報学科工学コース
食品ロス削減!全国の小売店割引情報を提供するアプリ開発
>>>まずは事業内容、プロジェクト内容についてお聞きしたいです。食品ロスを減らすために全国の小売店の割引情報をまとめて提供するアプリを開発しているとお聞きしました。そこについて詳しく教えてください。
川村:プロジェクトの内容としては、スーパーや小売店の割引情報を確認できるアプリケーションサービスを開発しています。アプリを通じて、全国各地の小売店の割引情報を一目で確認できるようにし、これにより集客の増加を目指すとともに、現在問題となっている食品ロスの削減も図っています。企業と消費者の双方にメリットがある「WinWin」なサービスを提供していきたいと考えています。
アルバイト経験から生まれた食品ロス削減への想いと挑戦
>>>ありがとうございます。そのテーマに決めたきっかけは何ですか。
川村:現在、僕はコンビニでアルバイトをしています。毎回事務所に入るとかごいっぱいの廃棄商品が山積みになっていて、その光景を見るたびに悲しい気持ちになります。「何とかこの問題を解決できないだろうか」と思ったのが、きっかけのひとつです。
僕の働いているコンビニでは割引シールがたくさん貼られるのですが、シールを貼った瞬間に売れることも多く、割引商品の購入率は高いです。それでも売れ残りが発生してしまう現状があります。そこで、「割引情報がまだ十分に伝わっていないのではないか」と考えました。
より多くの人にこの割引情報を届ける手段が必要だと思い、「割引情報を知らせるアプリがあれば良いのではないか」と考え、このプロジェクトに参加しました。
>>>なるほど。コンビニの割引シールはどんなタイミングで貼るのですか。
川村:割引シールについては、まずいくつかのカテゴリーに分かれています。たとえば、お弁当類は夕方にお客さんが多いため、主に夕方に値引きされることが多いです。段階的に値引きを行い、最初は少額の割引から始まります。これが早めの時間帯で適用され、時間が遅くなるにつれて、2〜3回に分けて徐々に値引きが進み、最終的には半額まで割引される形です。
ホットスナックなどについては、製造された時間から「販売しなければならない期限」が設定されており、その1〜2時間前に値引きが行われることが多いです。また、最近では一部の商品でAIによる値引き管理も導入されています。AIが指定した時間に「この商品を値引きしてください」と提案し、そのデータをもとにシールを印刷して貼る形になっています。
>>>ありがとうございます。コンビニでアルバイトしている人は、廃棄される食品が気になりつつも自分が解決しようと考える人は少ないかと思います。川村さんはなぜそれを自分で解決しようと思うような当事者意識をもっていたのですか。
川村:僕にとってコンビニのアルバイトは初めてのバイトで、飲食店での経験もなかったので、廃棄がこれほど多いとは思っていませんでした。廃棄物があること自体は知っていたものの、いざ現場で目にしたとき、その量に驚きました。まだ食べられるようなパンやお弁当が平然と廃棄されている光景を見て、かなりショックを受けました。
パンも毎日何個も廃棄されますし、お弁当も多い日だと7〜8個くらいが廃棄されます。店長に廃棄される商品の金額を聞いてみたら、1日で2万円を超えることもあると言われ、年間で考えると相当な損失になります。食品ロスの観点でも金銭的な面でも、とても大きな問題だと感じました。
その光景を見て、「何とかしなければならない」と強く思うようになりました。
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アプリ試験運用に向けた準備とヒアリング調査
>>>現在のプロジェクトの進捗具合はいかがでしょうか。
川村:現在はアプリを開発するために、まずデザインの作成を進めている段階です。デザインが完成した後にプログラムと結び付けて開発を進め、さらにヒアリングを多く行い、最終的には試験運用に移るよう進めていきたいと考えています。
また、僕がアルバイトしている店舗にヒアリングを行いましたが、他のスーパーやコンビニについてはこれからです。中間報告前に1社はヒアリングに行ければと考えており、それに合わせて日程を調整しようとしている段階です。
挑戦してみたいという気持ちから参加を決意
>>>次にアオタケプロジェクトに参加した経緯をお伺いしたいです。なぜアオタケプロジェクトを選んだのか、どのような気持ちで挑んだのかをお聞きしたいです。
川村:担任の先生からの紹介がきっかけでした。その頃、漠然と「廃棄をどうにかできないか」と考えていたところでした。
また、4年生で卒業が近いこともあり、「何かやってみたい」「挑戦しておきたい」という気持ちがあって、ちょうどその話をいただいたため、少し抵抗はありましたが、試しに挑戦してみることにしました。
>>>ありがとうございます。参加のハードルは高かったでしょうか。
川村:個人的にはかなりハードルが高かったんじゃないかなと思っています。でも、やらずに「やっておけばよかった」と後悔するより、一度挑戦してみて、失敗したらそのとき考えればいいかなと思いました。普段はこういった活動に積極的に参加するタイプではないのですが、応募することにしました。
初めてのビジネスの経験と新しい土地での気づき
>>>アオタケプロジェクトに参加してから今までの活動の感想を教えてください。
川村:まず最初に思ったのは「すごく大変だな」ということです。僕はビジネスに関してまったくの未経験で、本当に初めてのことばかりが次々と降りかかってきました。また、プロジェクトマネージャーの方からも、東京や名古屋への出張を打診され、行く前までは函館や福島あたりまでしか移動したことがなかったので、とても不安でした。
夏には、東京や名古屋への出張が続き、今までの自分にはないアグレッシブな動きをすることになり、本当に大変ですが、その分やりがいも感じています。大変ではありますが、この経験を通して一つの成果を出せれば、きっと素晴らしい経験になると思います。
>>>東京や名古屋といった初めての土地に行かれたとのことですが、その経験で何を感じましたか?
川村:そうですね、最初は本当に不安で「本当に大丈夫かな?」と思っていましたが、実際に行ってみると、それほど心配することでもなかったなと気付きました。やってみれば意外となんとかなるものだと思い、やはり、変に思い込んでやらないよりも、一度挑戦してみることが大切だと実感しました。
>>>実際に経験してみて、自身の事業に活かせそうな成果を得られましたか。
川村:そうですね、今回の目的として大きく2つありました。1つ目は、ビジネスアプリの開発で質問や相談が必要な際に頼れる方とつながることです。もう1つは、類似のサービスアプリが1つあったので、それを実際に使ってみることでした。八戸では対応しているお店が少なく、東京方面でないと利用が難しかったため、東京へ行くことにしました。
繋がりの面では、たくさんの方と名刺交換ができました。今後アプリ開発で困ったことがあれば、質問できる関係を築けたのは大きな収穫です。また、アプリについても1〜2回ほど試すことができ、デザインや機能性を参考にしながら今後の開発に活かしていこうと思っています。
ビジネスにする過程の大変さと頑張れる理由
>>>やはり初めての経験がたくさんあったと思います。その中で一番大変だったことはなんですか。
川村:一番大変だったことをひとつに絞るのは難しいですが、ビジネスを形にしていく一連のプロセスには本当に多くの作業が必要で、大変さを実感しています。例えば、市場調査や競合サービスの確認、様々なヒアリングといった段取りが多く、取り組む中で手間がかかる部分が多いと感じました。
そうした流れを経て世の中のビジネスが成り立っているのを考えると、改めてその難しさやすごさを実感します。現在進行中のプロジェクト期間も終わりに近づいているとはいえまだ進捗の方は半分といったところで、残りの作業を考えるとかなりの負担を感じる部分もあります。
とはいえ、一歩ずつ進めていき、最終的にすべてが完成した時には、きっと大きな達成感を感じられるのではないかと思っています。
>>>ありがとうございます。大変なことも多い中で、それでも頑張ってこれたのはなぜですか。
川村:成功するか失敗するかは今の段階ではわかりませんが、参加したからにはとにかくやり切りたいという気持ちが一番強いです。また、先生に紹介していただいたことや、スパークルの方やプロジェクトマネージャーの方など多くの方々の支援を受けているので、しっかりと自分の役割を果たし、期待に応えたいと思っています。支えていただいていることに恥じないよう、最後までやり遂げたいという思いが強くあります。大変ではありますが、ゴールまで全力で頑張りたいです。
現状の課題と今後の展望
>>>プロジェクトを進める中で感じる現状の課題はありますか。
川村:まず時間が意外と足りないなと感じています。プロジェクトが始まったのが7月頃だったと思うのですが、気づけばもう11月が目前で、あっという間に時間が過ぎていく感覚です。
7月、8月、9月は夏休みもあって比較的スムーズに進められていたかなと思いますが、9月の終わり頃から学校が始まって、ほかの学校の活動との兼ね合いが難しくなってきています。そのため、合間を縫って進めていかなければならない状況で、「意外と時間がないな」と焦りを感じています。
最終発表が1月なので、なんとか期待に応えられるように全力を尽くします。
>>>ありがとうございます。次に今後のプロジェクトの展望をお聞きしたいです。
川村:まずアプリ開発に関しては、最後までしっかりと作り上げて、複数の店舗で試験運用を行うことが目標です。最終的には、アプリをある程度使える状態にして、まずは自分の周りの地域から始め、友人や家族以外の一般の方にもアプリを利用してもらい、ある程度のユーザー数が確保できればと思っています。
試験運用中に利用者からのフィードバックをもらい、それを踏まえた上で最終発表に臨む予定です。そして、もし試験運用後に「これからも使いたい」といった好意的な意見が得られたら、その先の展開として、アプリをもっと広い範囲に広げていきたいと考えています。理想は、アプリが全国に広がり、さまざまな人に利用されることです。できる限りその目標に向けて頑張っていきたいと思っています。
インタビュアーによるまとめ
川村健人さんは、アオタケプロジェクトで、全国の小売店の割引情報を提供するアプリを開発中です。自身のコンビニでのアルバイトを通じて大量の食品廃棄を目の当たりにし、現状を変えたいという思いからプロジェクトに参加するという当事者意識がすごいと思いました。
現在はデザイン面を進め、店舗や消費者へのヒアリングを重ねながら、試験運用に向けて準備を進めています。また、東京や名古屋での出張を経て、人脈を広げるなど初めての経験にも積極的に挑戦しています。ビジネスに取り組むのはとても大変なことだと話されていましたが、「やり切る」という気持ちで挑む姿はかっこいいと思いました。地域や全国への展開を目標に、今後も全力で取り組んでいただきたいです。
スパークル株式会社について
地域に本社を構えるベンチャーキャピタル・プロフェッショナルファームとして、新しい世界の経済循環をつくりだすことを目指しています。
所在地 :宮城県仙台市
代表取締役 :福留秀基
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話を聞いた人
佐々木栞
宮城大学事業構想学群2年 宮城県仙台市出身