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アオタケプロジェクト 採択者紹介⑦ 石木颯人さん
アオタケプロジェクトは、青森、秋田、福島地方の若手人材を対象として起業家を発掘・育成しています。採択を終え、現在アイディアを磨き上げている採択者の姿をご紹介します今回ご紹介するのは…
石木颯人さん
岩手県出身
八戸高等専門学校4年生
電気情報工学コース
高齢者見守りシステムの開発
>>事業内容を詳しく教えていただきたいです。
石木:現在、高齢者向け、特に一人暮らしの高齢者を対象とした見守り機器を開発しています。加えて、地域の見守り活動にも簡単に活用できることを意識して設計しています。
例えば、行政が提供している一人暮らし高齢者向けの支援サービスや、災害時の避難先での見守り活動などでの活用を視野に入れています。最終的にはそういった場面でも役立てることを目指しています。
>>現在、どのようなプロダクトを考えていますか?
石木:赤外線センサーを活用し、高齢者の活動頻度などをクラウドに送信し、関係者が閲覧できるシステムを構想しています。基本的には家の中でよく通る場所に設置し、データをLTE回線を通じて送信する形です。高齢者のご自宅ではWi-Fi環境が整っていないことも多いため、その点はLTEモジュールでカバーする予定です。
スプレッセンスやAIの活用についても検討しています。AIについては、現時点ではまだ製品への実装には至っていません。ただし、スプレッセンスというマイコンツールを用いた実験は進行中です。現在は赤外線センサーではなくカメラモジュールを使用し、どのように動作するかテストを重ねています。サンプルプログラムを活用しながら動作検証を行っている段階です。
>>ビジネス面ではどのような進捗でしょうか?
石木:現在、一人暮らしの高齢者の方々を対象にヒアリングを進めています。まだ目標とする件数には達していませんが、1名の方にお話を伺いました。一人暮らしの中で危険な経験をしたことがあるか、現在何らかの見守り機器やサービスを利用しているかなどをお聞きしました。
今のところ、見守り機器やサービスを積極的に利用している方は少ない印象です。どちらかというと、介護福祉のデイサービスのような支援サービスを活用しているケースが多いと感じました。
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地元である東北の高齢化問題に調査したことがきっかけ
>>この事業テーマに決めたきっかけは何でしたか?
石木:学校での探究活動のテーマを決める際に、先生から「高齢者の孤独死を防ぐ仕組み」というテーマを提案され、そこから調査をスタートしました。
私が住んでいる八戸は高齢者が多い地域です。この地域に限らず、東北地方全体でも高齢者人口の割合は高く、いわゆる「田舎」特有の問題が顕著です。
また、単純に人口自体が少ないため、人が直接訪問して見守りを行うことには限界があると感じています。そういった背景から、人の負担を軽減しつつ、効率的に見守りができるような仕組みを作れたらいいなと考えてました。
アオタケプロジェクトで経験した学びと気づき
>>アオタケプロジェクトに参加してみての感想を教えてください。
石木:最初は本当に軽い気持ちで始めたこともあり、あまり活動に本腰を入れられていなかった部分もありました。高専4年生は勉強が忙しく、なかなか時間を確保するのが難しかったんです。
そんな中、秋田で中間発表があり、他の人の発表を見たことで大きな刺激を受けました。製品の完成度やスライドの分かりやすさが素晴らしく、「自分ももっと頑張らなければ」と感じました。冬学期に入り少し時間が取れるようになったので、今はかなり力を入れて進めているところです。この発表会の経験が大きなモチベーションに繋がりました。
また、私たちは2人チームで活動しています。ネットワーク関連の技術はもう1人の小笠原くんが担当してくれていて、技術的なサポートがとても助かっています。また、スライド作成やアイデアの相談など、協力し合えることで作業がスムーズに進みますし、何よりチームで活動する楽しさがあります。
1人でやるよりも考えがまとまりやすく、より良いものが作れている実感がありますね。
>>これまでの活動で大変だったことはありますか?
石木:やはり時間を確保することが一番大変でした。秋学期は特に忙しく、開発を思うように進められませんでした。なかなか進捗が出せないと、モチベーションも下がってしまうので、そこが一番の課題でした。
今は時間を確保できるようになったので、その分しっかりと進めていきたいと思います。
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開発における現状の課題と対策
>>現在感じている事業の課題はありますか?
石木:やはり競合製品が大きな課題です。価格を下げることで差別化できるのではないかと考えていますが、実際にはハードウェアの機能面も重要です。プロトタイプを作成しないことには、正確な評価は難しいと感じています。そのため、機能面や技術的な部分で競合との差をどう埋めるかが課題です。
また、収益化の方法についてもまだ明確にはなっていません。地域の構造や市場特性について、詳しく理解しきれていない部分もあり、今は情報収集や検討を重ねている段階です。
>>価格を下げつつ機能を維持するための工夫はありますか?
石木:そうですね。例えば、カメラモジュールを使用せず、赤外線センサーのみで見守り機能を実現することを考えています。ただ、赤外線センサーだけでは精度の問題が出てくることもあり、そこは技術的な工夫でカバーしていく必要があります。
また、月々の使用料に関しても、可能な限り最低限に抑えることが重要だと考えています。
今後は地域に実装にてフィードバックをもらって改善を重ねていく
>>今後の展望について教えてください。
石木:アオタケプロジェクトでの活動としては、まずハードウェアを作り、ソフトウェアもある程度動作するところまでを目標にしています。今後は、ハードウェアとソフトウェアが完成した段階で、実際に使用してもらえる場を見つけ、調査を行いたいと考えています。たとえば、「こういった使い方はできませんか?」と地域の方々に提案し、フィードバックを受けながら改善を重ねていく予定です。
その後、事業として収益化が可能かどうかを見極めることが重要だと思っています。現段階では、地域の見守り活動に貢献することを当面の目標としています。
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インタビュアーによるまとめ
石木颯人さんは、一人暮らしの高齢者向け見守り機器の開発に取り組んでいます。Wi-Fi環境が整っていない家庭にも対応できる工夫が印象的でした。
事業のきっかけは「高齢者の孤独死を防ぐ仕組みづくり」というテーマでした。人口減少や見守りの負担を効率的に解決したいという思いからスタートし、技術的な挑戦にも前向きに取り組んでいます。
アオタケプロジェクトでは他の参加者の発表から刺激を受け、チームメンバーと協力しながら開発を進めてきたことで得た成長や達成感が伝わってきました。
今後はハードウェアとソフトウェアの完成を目指し、地域の見守り活動に貢献することを当面の目標としています。石木さんのアイデアが地域で形になることを期待しています。
話を聞いた人
佐々木栞
宮城大学事業構想学群2年 宮城県仙台市出身