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immedioがめざす、フロントと開発の垣根を越えた組織づくり
「知の還流」がコンセプトのインキュベーションオフィス・コミュニティ「SPROUND」をご利用の企業、通称SPROUNDERの入居者インタビュー第17弾。今回は、企業向けにインバウンドリードの商談化ツール「immedio」を提供しているSaaSスタートアップ immedio CEO 浜田さんにお話を伺います。
昨年5月にシリーズAの調達を行い、PIVOTや日経など多くのメディアに掲載されているimmedio。そんな同社を起業された浜田さんに起業の経緯や組織づくりへの想いをお聞きしました。
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浜田 英揮
株式会社immedio代表。新卒の三井物産ではIT分野の新規事業を担当。bitFlyerではUS拠点長。2019年にSansanに参画し、Bill One PMM・インサイドセールス副部長。2022年にimmedioを創業。ICC京都2023 SaaS Catapult2位入賞。
起業までの経緯
山岸:こんにちは。浜田さんのこれまでのご経験やimmedioについてお話をお聞きできたらと思っております。どうぞよろしくお願いいたします!
浜田さん:本日はどうぞよろしくお願いします。
山岸:早速ですが、浜田さんのキャリアに踏み込んでいければと思います。起業しようと思ったきっかけは何でしょうか?
浜田さん:起業にはずっと興味があったのですが、家族もいるし、エンジニアの知り合いもいないし、ハードルが高いと思っていました。サーチファンドのような企業買収関連の事業を考えたこともありましたが、日本では儲からなさそう。そんな時にデライト・ベンチャーズの方から声をかけてもらいました。
山岸:ずっと起業に興味があられたとおっしゃっていましたが、そう思ったきっかけは何かありますか?
浜田さん:三井物産在籍時に携わった新規事業が楽しかったことが最初のきっかけでした。当時は起業のイメージが湧かなかったためスタートアップに転職しました。一社目がbitFlyerで二社目がSansan。二人の起業家と近くで働くことができました。そこで感じたことは、「同じ人間であること」。SansanのCEO 寺田さんは超スーパーマンで、超かっこいい。しかし酔っ払ったら部下と絡むこともあるし、水面下ではもがきまくっている。やっぱり同じ人間が人一倍頑張っているだけなのだと、近くで仕事をしているうちに知りました。結局はやるかやらないかの問題であって、できるかできないかの問題ではないと理解することが出来ました。
組織体制
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山岸:SPROUNDに続々と新メンバーが入ってきています。現在組織としてはどのような規模感なのでしょうか。
浜田さん:今は社員が15人。さらに3人入社予定です。エンジニアが半分、フロントが半分くらいです。
山岸:組織が拡大していくにつれて、何か意識して取り組まれていることはありますか。
浜田さん:前職Sansanの影響もあってMVVを大事にしていて、昨年は八丈島に8人で、今年は熱海に20人みんなで行って、自分ごとでValuesを考え議論するということを行っています。こだわっている背景には、開発側とフロント側が分かれた組織にしたくないという私の想いがあります。フロントから声をあげ、開発側もそれに応える。フロントとしても自分の意思が反映されたプロダクトだと、より価値を届けたくなるもの。意思の疎通がより活発になるように意識しています。
また、日常的に意識している組織づくりの工夫として、毎日朝会を全員で開催しています。業務報告以外に、Good & Newをやって、最近やってよかったことを話しています。お互いのなんでもないことを話すことによって「こんな人なんだ」というイメージも湧き、声をかけやすくなる。そういった雰囲気作りを大事にしています。さらに、Happy Hourを社内で開催しています。前のオフィスでも月1回やっていて、今後も2ヶ月に一度やってみたいと思っています。
山岸:社内でのコミュニケーションの機会として、実際に社員一人ひとりの意思疎通ができるような工夫がされていると感じました。それに加えて、何か文面上のやりとりなどで意識していらっしゃることはありますか。
浜田さん:Slackでは2つ意識して取り組んでいることがあります。まず1つはお客さんの声が集まるFeedbackというチャネルを一番大切なチャンネルと位置付けていること。そこでは、CSを中心にみんながお客さんから頂いた声を共有しています。Feedbackチャネルに投稿されたフロントの声は、できるだけ早く開発に反映する。フロントから声をあげ、開発側もそれに応える仕組みをここでも行うことができるようにしました。
2つ目は、Slackでキャンディーを送れる仕組みも用意しています。
具体的には、お互いにあなたのここが素晴らしかったなど、メッセージを送り合える仕組みを作っています。また半期に一度、「Value Star」という3つのValuesを最も体現した人を、マネージャー陣が選定するという施策をやっています。主に価値を出して周りから感謝された人を表彰しています。
山岸:お話を聴いていて、浜田さんは行動力がある方だと感じています。ご自身の中で大切にしている考え方はありますか。
浜田さん:「素早く行動すること」です。早いこと自体に価値があると思っています。
新卒2年目、新規事業を担当していた時に中長期的なアプローチに向き合っていて、そのときには時間が経てばマネタイズできると考えていました。ところがそこで、リーマンショックが来て、事業はうまくいかなくなり、最終的には撤退することになってしまいました。この経験から、今考えている仮説などは最短で当てに行かなければ意味がないと強く思いました。
SPROUNDの出会い・活用方法
山岸:immedioさんは以前Quarterly SPROUNDに参加して頂いてその学びの多さに感動し入居されたとのことですが、SPROUNDを現在どのようにご利用されていますか。
浜田さん:SPROUNDを最初に訪れたのは、DNX Venturesが2020年の春に開催されたSaaS部というイベントでした。SaaS部にはほとんど毎回参加していて、DNXの中野さんに声をかけていただいてSPROUNDが四半期に一度行うイベントであるQuaterly SPROUNDにも来たという経緯です。学びや刺激がありそうだと感じてSPROUNDにジョインしました。
山岸:実際にご利用を開始されてから、浜田さんはさまざまなイベントや勉強会に参加してくださっているイメージです。実際使ってみて、どうですか?
浜田さん:Quarterly SPROUNDなど様々な学びを得られるイベント以外にもランチ会などで横の交流があります。特に、先輩企業や経営者がいるのはとてもよくて、DIGGLEの山本さんなどSPROUNDを利用している他の起業家から苦労話などを伺えるのはとても学びになります。さらに、イベントがたくさんあるので、特許の勉強会や海外VCにAIの活用方法を聞く機会があるなど、特別な機会がもらえるのは非常にありがたいと思っています。
今後の採用ビジョンと意気込み
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山岸:最後に今後のimmedioさんの今後の展望と意気込みをお聞かせください。
浜田さん:現在18人で2025年は月2人程度採用していきたいと考えています。順調にいくとSPROUNDにいられる期間がもう長くないかもしれないと思っています。
プロダクトとしては、初めは商談の獲得機会を逃さないというピンポイントなものでしたが、今は顧客接点を幅広くカバーできるようなツールに変貌してきています。
そのため、プロダクトをどんどん強化してより幅広くお客さんに届けられるようにしていきたいですね。
immedioにはシンプルな3つのValuesがあるのですが、そのうちのひとつに「顧客の成功によりそう」というものがあります。リスクをとってスピード感をもってやっているので、そういったスタートアップ的なカルチャーを求めている方にぜひ来ていただきたいです。
山岸:本日は貴重な機会をいただき、ありがとうございました。
(文・聞き手:山岸りな(SPROUND Community Manager) / 編集:上野 なつみ(DNX Ventures),丸山裕子(SPROUND Community Manager) )