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グローバル経験を活かしたヘルスケアDX - リハサクCEO谷垣氏の挑戦

第16回目である利用者SPROUNDERインタビューはリハサクCEO 谷垣さんです!
谷垣さんがどのような人生を送りリハサクに巡り合ったのか、リハサクのCEOとしてどんな社会を目指しているのか、熱く語っていただきました。彼のように様々なご経験を積んでこられた方が、SPROUNDというコミュニティに参加してくださっていることは、まさにSPROUNDのコンセプト「知の環流」を体現しているのではないかと思います。

ーーー顧客のニーズをつかみ、課題解決する。谷垣さんのキャリアスタート


山岸:谷垣さんはリハサクの創業後、ご縁がありCEOとして参画されたとお聞きしております。ぜひ谷垣さんがリハサクにジョインされるまでのご自身の歩みをお伺いできればありがたいです。

谷垣さん:社会人として仕事をするにあたり、自分がやりたいと思える仕事をしたいと考えていました。そう考えて興味をもったのが、マーケティングの仕事でした。「お客様の悩みをプロダクトやサービスで解決していく、社会に必要なことをしている学問」だと本当に確信できたからです。
マーケティングに関わる仕事をするのであれば、社会に新しい息吹を起こせるような業界がいいと思い、オラクルというIT企業に入社しました。当時、会社員を労働者としてしか捉えず、一日中働かせるような会社が多い印象でした。しかしそんな中で、オラクルは会社の景観や設備にもこだわりがあり、人を人として見てくれる会社だと感じ入社しました。

入社後、自分がしたい「顧客のニーズをつかみ、課題解決する仕事」は、マーケティング部ではなく法人営業部であると気がついたため、そちらに所属して働くことにしました。当時の上司はリクルート出身、IBMを経て、スカウトされてオラクルに入ってきた女性でした。その当時オラクルで、ERPビジネスの売り上げの半分ぐらい売るくらい、社内でダントツの成績を収めていました。彼女の作る資料は細かな所まで完璧でした。移動中、歩いている最中も「普通に歩いているんじゃないわよ、ロゴを見ながら、どの会社が伸びていてどこが衰退していくのかを見ているのよ」と言うような人でした。

そんな彼女に「谷垣さんは将来何をしたいの」と聞かれたことがありました。オラクルの法人営業で「顧客のニーズをつかみ、課題解決する仕事」と話したのですが、返ってきたアドバイスは「営業を本気でやりたいなら、オラクルなんて辞めた方がいいわよ」というものでした。「オラクルは商品力がある会社。そんな商品力があるところで営業力を磨こうと思っても磨けないわよ。あなたが売れてるのか、商品が売れているのかわからないじゃない。私はリクルートにいた時に、何もない中で自分を売っていた。何もない状況に身を置いて営業すべき」と。


ーーー営業力を磨くうち足りないものを見つけた。MBA、そして財務へ


山岸:それで最初の転職を迎えられるわけですね。

谷垣さん:営業力を伸ばすために、webMethodという、日本に進出してまだ3か月の会社に入りました。同社はシステムをつなぐミドルウェアの標準化に先見の明を持って展開し、日本に参入した会社です。私は4人目で入り、7年勤務しました。自分で集客から営業まで全部行い、良好な販売成果を上げることができました。次第に役職が上がり、マネージャーとして組織を束ね、ある時日本の営業トップになりました。トップ就任を機に、グローバルCOOとの対話が増え、自身の役割が変わりました。会社の利益だけでなく、コスト管理や人員計画など、いわゆるマネジメントに必要なスキルが急に求められるようになったんです。また、COOとの週次ミーティングを通じて、自身の英語力が不足していることを痛感しました。カントリーマネージャーのスペックとして求められることを20代で気付けたのは本当にラッキーでした。そうしてこれらのスキルを身につけるべくMBAに留学、2007年のことでした。当時の私は売上を作る「攻め」の営業はできましたが、一方で「守り」の財務が分かりませんでした。そこでアカウント・ファイナンスに専門を置いてMBAの2年間を過ごしました。DNXの倉林さんと出会ったのも、この留学でのことです。

MBA卒業後は、学んだことを現場で使えるかを検証したいと、メドトロニックというヘルスケアテクノロジーの会社で事業のCFO的な役割として4~5年ほど働きました。医療業界は収益性が高く、当時では珍しく非財務データの収集に対して多大な投資を行える業界。財務担当者の貢献如何に関わらず利益を安定的に出せており、スタートアップ転職を考えるようになりました。


ーーースタートアップの世界へ。CEOとしての熱意と予期せぬ試練


谷垣さん:39歳の時でした。ビズリーチ経由でエンプラ系のクラウドサービスを提供する会社から会ったこともないのに5ページくらいの熱いメッセージが来て。COOとしてジョインしてほしいというものでした。Engineer集団の会社だったので、相性はいいと思って、「有名な会社にしてやるぞ」という気概で入りました。しかし、入社早々に期待していたトラクションが得られないことが判明し、120人の従業員を40人まで削減するリストラを行うことになりました。非常に厳しい決断でした。さらに、事業の発展とともに、創業者は当初のビジョンを覆し、グローバルには出ず、国内市場に重きを置くようになり、一方でグローバルの可能性があるので入社した私は裏切られた感があり、対立構造が根深いものになり、辞めることになりました。
スタートアップにジョインすることは、 ある意味自分と会社が一体になるぐらい、ものすごいモチベーション、気合いを入れて、我が者であるかのように振る舞うということじゃないですか。4年半自分事でやってきた中で、退職しなければいけないという決断は非常に難しく、決断するまでに約2か月かかりました。

その後、グローバルに対する思いが強かったため、2018年にH2に参画しました。糖尿病・デジタルヘルスのヘルスケアのテックスタートアップです。


ーーーリハサクとの運命的な出会い、創業者と重なった医療業界の課題感


山岸:谷垣さんは、2022年にリハサクに入社されましたが、どのような経緯だったのでしょうか。

谷垣さん:2022年の5月、GW明けにDNXの倉林さんからメッセージがきました。「リハサクという治療院・整骨院等のDX推進に取り組む会社があるが、シリーズAが調達しきれず、DNXからブリッジをしようと思っている。そこでCEO候補を探しているのですが、谷垣さんいかがでしょうか。」というものでした。
私が在籍していた糖尿病のデジタルヘルスの会社でも一番の課題は、患者さんが医者に指示されたことをどれだけ院外で行えるかということでした。糖尿病の患者さんは月に一度クリニックに行くのですが、それでは不十分。クリニックで指示されたことを日常生活のなかでいかに実施するかが治療効果を決める、ここが医療の本質です。ここでITが使えたら、医療に革命が起こせると思い仕事をしていました。

リハサクの近藤も同じ想いでした。近藤さんは整形外科では日本でもトップ10に入るような大きな病院で理学療法士として8年間働いていました。実際に患者さんが病院に来院する頻度は週に1~2回。たとえそこで指示を出しても、患者さんがそれどおりに行動しているかは分かりませんし、保険対象外のため院外でのサポートはできません。だからこそ、院外での治療をテクノロジーで解決できるのではないかと考え、創業したそうです。ここで、前職で感じていた自分のやりたいことと近藤さんの想いが重なりました。倉林さんとの縁もそうですが、近藤との縁も運命的なものを感じました。それが2022年の9月でした。


ーーー 目指すのは医療業界にとって必要不可欠なサービスの提供


山岸:谷垣さんのこれまでのCEO・CFOのご経験、医療業界およびヘルスケア領域のDXでのご経験、そして人の縁、すべてが繋がって今のリハサクがあられるんですね。リハサクでの挑戦が始まって2年。今後のリハサクの展望をお伺いしたいです。

谷垣さん:リハサクには「運動療法を社会に根付かせる」というミッションがあります。運動療法は症状に効くし再現性があります。しかし、これを知らない人が多いのが現状です。そのギャップを埋めたいというのが我々のDNAです。一方で、スタートアップとして売り上げを上げていく、しかもT2D3の角度で上げていくところが同時にできるかというところは悩んでいるところです。民間でサービスを展開しようと思うと、医療従事者の先の個人が継続的にその費用に見合う経済価値を感じるかどうかが大きな難しさとなります。
運動療法をあきらめるわけではないのですが、ビジネスの観点では、足の長い話になりますので、B2B2Cモデルから、B2Bモデルで、より継続的に経済価値が提供できるようなサービスに軸を移し始めております。例えば、予約フォームなど、それがないとサービスが回らないという深くオペレーションに入り込んだシステムはチャーンしません。我々もそのようなサービスを、運動療法で培った既存顧客とのハイタッチから、生み出していけると信じています。




(文・聞き手:山岸りな(SPROUND Community Manager) / 編集:上野 なつみ(DNX Ventures),丸山裕子(SPROUND Community Manager) )


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