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数学雑感2<確率の問題は難しいが、読み解くのは楽しい?!>

 以前の投稿「数学雑感1」の宿題の1つ「確率の問題の難しさ」について書きます。
 確率の問題にはいくつか特徴があり、それが難しさにつながっていると思います。一方で、それを解読する楽しさ、正解に辿り着いたときの嬉しさも格別です。複数の解き方が見つかるのも興味深いところです。
 以下、3つに分けてコメントします。

1.問題の文章をよ-く読まないと無理
 確率の問題だけでなく、順列や組合せの問題などもそうですが、一読しても「はあ-何これ?」ってなること、ありませんか。
 問題文が数学っぽくない文章だったりします。言わば、小学校の算数の文章題みたいな感じ。あるいは、「頭の体操」などのクイズのような感じ。どういう意味なのか一瞬分からないこともあるし、少しマジメに読むと二択になってどちらに解釈すべきか迷ってしまう場合もあります。正に日本語の読解力が問われます。
 なので、題意の把握に時間がかかるし、次に2.の「場合の数」の検討も必要なので、結構大変です。

 例えば、次のような問題はいかがですか。
[問題A]
 袋の中に赤球6個、白球4個が入っている。この中から同時に3個を取り出すとき、赤球、白球がともに取り出される確率を求めよ。

 「赤球、白球がともに取り出される」とはどういう意味なのか。一瞬不明ですよね。

 では、ちょっと変形した次の問題はいかがでしょうか。
「少なくとも1個の赤球が取り出される確率は?」
 よくある「少なくとも1つが・・・である」問題ですね。これを解く常套手段は「全く・・・でない」確率を求めて、1からその確率を引くというものですよね。従って、全く赤球が出ない(つまり、白球だけが出る)確率を1から引けばいい訳です。

 最初の問題Aに戻りましょう。「同時に3個を取り出すとき、赤球、白球がともに取り出される」確率を噛み砕くと、「3つのうち、少なくとも1つが赤で、かつ、少なくとも1つが白である」確率ということになります。
 そうすると、「全く赤がない」確率(つまり、白だけを取り出す確率)と「全く白がない」確率(つまり、赤だけを取り出す)確率を求めて、1からそれらの確率を引けばよい訳です。すなわち、以下を求めればOKです。

1-白だけの確率-赤だけの確率

 実はもっと単純に考えることもできます。「3個を取り出すとき、赤球、白球がともに取り出される」確率なので、赤1白2の確率と赤2白1の確率を求めて、足してもよいです。ただし、これは「3つ」が小さく、赤白の個数の組合せが少ない(2つである)ことから有効な方法です。従って、やはり「少なくとも」の考え方をマスターした方がよいと思います。

 以下に、計算式で答え(便宜上、分数ではなく%表示、例えば確率が1/2なら50)を書いておきます。すぐには答えが分からないようにするためです。答えを知りたいときに計算してください。

[問題A]の解答
7!(階乗)-4960(%)


2.場合の数が何かを判断しないといけない
 場合の数として、順列か組合せか、あるいは、それ以外の何を使うべきか判断する必要があります。
 教科書やそれに準拠した問題集には単元毎に問題が掲載されています。このような問題は、例えば、順列の単元に掲載されていれば、当然順列の問題だと分かりますよね。
 しかし、学校の実力テストや入学試験の問題だと、その問題の「単元」は記載されないのは当然だし、単元が多岐に亘る複合的な問題もあります。

 確率ではありませんが、例えば、次のような問題があります。
[問題B]
 SUCCESSの7文字を1列に並べる。U、Eがこの順にある並べ方は何通りあるか。

 一見すると順列の問題のようですが、果たしてどうでしょうか。題意は大丈夫ですか。では、問題集にあった解答の一部を示します。
「U、Eを同じ文字○と考え、○2個、S3個、C2個の順列を作り、○にU、Eを順に入れると題意の並べ方になる。」

 このように○を使った解き方を見て、私は感動しました。世の中、頭のいい人がいるもんだなと。
 お分かりだと思いますが、UとEは隣り合っていてもいいし、離れていてもいい訳です。恥ずかしながら、私は隣り合う前提で解いていて、解答を見て勘違いに気付いた次第です。

 ところで、私が思い付いた別の解き方は愚直なものです。S3個、C2個の順列の各隙間にUとEを入れるというやり方になります。
 両端を含めて隙間は6つあります。隙間の1つに“UE”を入れるパターンXと、隙間の2つのうち左側に“U”を入れて右側に”E“を入れるパターンYに場合分けします。

 ここで、隙間にUとEを入れる場合の数は、順列ではなく、組合せになります。認識合っていますか? UとEの順番が決まっているからです。
 パターンXでは、6つの隙間の中から“UE”を入れる1つの隙間を選ぶ方法が何通りあるか。
 パターンYでは、6つの隙間の中から“U”と“E”を入れる2つの隙間を選ぶ方法が何通りあるか。
 ということになります。

[問題B]の解答
√(47961)-9(通り)

 なお、SAPPOROやYOKOHAMAを用いた類似の問題もあります。


3.直感を見事に裏切られる
 高校の教科書や大学入試にはあまり関係ないかも知れませんが、人の直感を裏切る「確率」が高い!問題があるのも確率の難しさだと思います。

 以下の2つは結構有名な問題らしく、ネットで検索すればいろいろ出ますので、詳細な説明は割愛します。なかなか楽しめるので、一度チャレンジしてみてはいかがでしょうか。

 まず、1つめの問題。
【モンティ・ホール問題】
 閉じた3つのドアが並んでいる。そのうち1つのドアの後ろに当たりの「新車」が用意されている。例えば、こんな感じ。
[ドア①][ドア②][ドア③]
 新 車  はずれ  はずれ
 プレイヤーが1つのドアを選択した後、司会が残りのドアのうち「新車」がないドアを1つ開ける。
 このとき、プレイヤーは以下の2つのどちらかを選べる。
(1)最初に選択したドアをそのまま選ぶ
(2)残りの開けられていないドアを選び直す

 さて、(1)と(2)のどちらが有利でしょうか。つまり、どちらの方が「新車」が当たる確率が高いでしょうか。

 では、2つめの問題。
【誕生日のパラドックス】
 「23人いるとき、その中に同じ誕生日の人がいる確率は50%以上となる」は本当でしょうか?

 実は、2つとも、数学のお兄さんこと横山明日希先生がお好きで紹介されています。昨年NHKで放送された「3か月でマスターする数学」の第9回「確率」にも出演されて、説明されていました。横山先生の下記著書にも2つの説明が記載されていますので、参考にしてください。

【参考文献】
「はまると深い!数学クイズ」講談社

最後まで読んでいただき、ありがとうございました♪

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