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はじめての海外ひとり旅⑤〜葡萄畑と黄金のキャベツ〜

ウィーン滞在3日目、まぁまぁ肌寒い。

今日はまずウィーン郊外にあるカーレンベルク山へハイキングへ。カーレンベルク山はChristianさん(Airbnbのホスト)が激推ししていたスポットで、気軽に秋のウィーンの自然を満喫できるらしい。

カーレンベルク山は、ウィーンの中心部から電車で最寄り駅まで行き、そこから歩きorバスor車で山頂まで行くことができる。

私は時間もあるし徒歩で登ることにしたのだが、延々と上り道が続くので結構しんどい。
どんどん登っていくと、閑静な住宅街から広大な葡萄畑に景色が変わった。
葡萄畑は収穫の時期が終わり、黄色に紅葉した葡萄の木があたり一面に広がっていて、気のせいかほんのりワインの香りが漂っていた。

カーレンベルク山の葡萄畑🍇

遠くの丘まで葡萄畑が続いていて、その景色に目を奪われた。葡萄畑の側にはオレンジ色の屋根の住宅が点在していて、その光景はヨーロッパの風景画に出てくる景色そのままだった。

こうやって、絵画で見覚えのある風景を実際に見れるのが何とも嬉しい。絵で見ていた時は、実在しない絵の中の世界として捉えていたけど、実は結構リアルな色彩で描かれていたんだな〜。

あいにく閉まっていたけれど、ホイリゲというワインが飲める飲食店もあるらしい。葡萄畑を見ながら飲むワインは最高だろうなぁと思った。(飲めないけど)

葡萄畑を眺めながら更に30分ほど歩くと、山頂に到着した。展望台からは先ほど見た葡萄畑とドナウ川、遠くにウィーンの旧市街地も望むことができた。観光客もちらほら居て、その多くが車かタクシーで来ているようだった。

曇ってたけど見晴らし良好!左にあるのがドナウ川


休憩のために立ち寄った展望台の隣にあるカフェでメランジェと呼ばれる、生クリームみたいなミルクの泡が乗ったコーヒーをいただいた。
ウィーンでは日常的に飲まれるコーヒーらしい。

カーレンベルク山頂でメランジェ!

カーレンベルク山の紅葉は本っっ当に見事なまでに色づいていて、昨日枝から落ちたばかりみたいなフレッシュな落ち葉をザクザク踏み歩くのがとても楽しかった。Christianさんが激推しする理由もよく分かった。

カーレンベルク山を後にし、続いては有名な「カフェ ザッハー」へ向かう。
ここはチョコレートケーキの一種であるザッハトルテの発祥の店と呼ばれていて、超超超超超大人気店なので、長蛇の列を覚悟していたが、私が行った時は運良く3組ほどしか並んでおらず15分ほど待てばすんなり入店することができた。
メニューはもちろんザッハトルテ、ドリンクはメランジェをオーダーした。

待ちに待ったザッハトルテ

ザッハトルテは、中にアプリコットのジャムが挟み込まれていて、芳醇なチョコレートの味に酸味のきいたアプリコットジャムが食欲をそそる。

横についている生クリームは砂糖を使用していないため甘みはなく、濃厚なザッハトルテのお口直しとしては計算された組み合わせだった。
カーレンベルク山帰りの疲れた身体にとても沁みる甘さで、美味しく完食させていただいた。

メランジェも大変沁みました。


店内は100%観光客といった感じで、みな次の予定があるのか長居せず、ケーキを食べ終えたらすぐに出ていくし、ウェイトレスもきびきびと働くのでラーメン屋くらい回転が速いイメージだった。
クレジットカードは使用可で、ウェイトレスによってはチップをお願いされたり、されなかったりする。オーストリアはチップ文化があるので、良いサービスを受けたら気前よくチップを渡して良いと思う。
(私はクレジットカードでお会計したあと、ウェイトレスさんに、「チップどう?」的なことを言われたので、2ユーロ小銭で手渡したら、喜んでくれました。)

腹も満たされたところで、本日最後にして最も楽しみにしていた目的地「セセッシオン(分離派会館)」に向かう。
セセッシオンは、世紀末の巨匠グスタフ・クリムトの作品「ベートーベン・フリーズ」が展示されている建物で、私が高校生の時にその絵を知ってから一度は訪れてみたいと恋焦がれていた美術館である。
セセッシオンは、ウィーンの主だった美術館に比べるとコンパクトな美術館であるが、国内外から「ベートーベン・フリーズ」を一目見ようと来場者が後を経たない。

ちなみにセセッシオンの建物の最上部には、金色の菩提樹で作られた半円型のドームが設置されており、通称「黄金のキャベツ」と言われている。

てっぺんにあるのが黄金のキャベツ


「ベートーベン・フリーズ」は地下ホールに展示されていて、長さ34メートルの大作は、1902年のベートーヴェン展覧会のため、ベートーヴェンの交響曲第九番を視覚的に解釈・表現したものであり、ウィーン世紀末芸術の頂点をなす作品とみなされている。

どどーんと壁3面。絵巻物みたいに左から右に沿ってストーリーがあります。


それもあって、展示室には第九が流れているヘッドフォンが常備されていて、観覧者はヘッドフォンで第九を聴きながら絵画鑑賞ができるようになっていた。
実際も私も使用したが、この絵画は第九を聴きながら鑑賞することで初めて完成される絵画なのだと感動した。

かなり高い位置に絵があります。


人間は苦悩や欲、悲しみがあったとしても、希望の灯火が決して消えることはなく、向かうべきは喜びや愛に満ち足りた世界なのだ、
とクリムトは34メートル、壁3面にわたる大作をもって私に語ってくれた。

浮遊する精霊たち


この面には、人類が危険と誘惑に立ち向かわなければならないシーンが描かれてます。


余白を意識した構図は繊細に考えられた感じがしたが、近くで見ると意外と大胆な筆のタッチも伺えて、その潔さというか迷いのなさは画家として大成した巨匠がなせる技のように見えた。
うっとりした天使たちの表情、どこか見る人を引き寄せる悪魔の表情、クリムトの観察眼や描写力に圧倒され、しばらくその場から離れることができなかった。

ゴルゴンの三姉妹。目つきが鋭い。


絵の最後は楽園の天使たちの合唱の前で接吻する一組の男女が描かれています


この作品は、金輪際巡回展で他に出回ることはないと思うし、セセッシオンに行かないと見れない作品であると思う。そんな唯一無二の作品に心惹かれたこと、そして自分の目で本物を見ることができたことが心の底から嬉しくて、ウィーンに来て良かったとしみじみと感じられた。いや〜ほんとに良かった!

おまけ:セセッシオン後に見た美しい夕焼け

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