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癒しよりも「エネルギーの発散」:齋藤孝さん『働く気持ちに火をつける』レビュー

早くも梅雨のような気候ですね。私は天気の影響をもろに食らってしまうタイプなので、おひさまが見えないとなかなかテンションが上がりません。(教室の子どもたちもそうですよね。)こういう時は「整える」作業をするようにしています。今朝は子供たちの冬服を整理しました。処分する服、来年も着る服、と分けて日常的に使う引き出しもすっきり。こうした生活に根ざす作業をすると、淀んでいたエネルギーが循環し、意識が外に向かい始めます。

さて、前回リフレッシュの方法を書いたばかりなのですが、今回はそれよりも大事と個人的には思っている「エネルギーの発散の技術」についてです。たまたま図書館で借りた齋藤孝さん著『働く気持ちに火をつける』がとっても良かったので、内容をシェアしながら書いていきます。

私が自分でなんとなく不調だな、「不機嫌」になってるなと思う時は、癒しが足りないというよりはエネルギーがうまく発散できていない、もしくは停滞して淀んでいる時です。こういう時は人間関係のトラブルも引き寄せたりするんですよね。エネルギーがうまく回っている人といえば、私の中の代表は黒柳徹子さんですが、徹子さんはいつでも周りを明るくするし、「人間関係で悩んでいそうなイメージ」はないですよね。(実際のところはわかりませんが・・)エネルギーがうまく回っている人は周りの人の心も浄化するような雰囲気がありますよね。そういう人の所作を真似するのもエネルギーを廻すコツの1つです。

では、1章:「ミッション感覚を呼び覚ます」のレビューいきます。

「人から期待されるということが、自分に火をリレーすることになる。」(p.29)

ということは、そもそも人から期待が来るような場に身を置かないといけないということですね。心身が健康でないとできませんが、心が元気になったら、あまりあれこれ考えず「えいや!」と外に出ないといけないタイミングがあるということです。元気というのは心の状態がマイナスではないということです。もし長い年月出ていないとなかなかハードルが上がりますが、とにかく出られるところに出るという感じです。いきなりフルタイムが難しいと思ったらパートタイムで、など、そこは慎重に見極めます。でも、出る事が大事です。とりあえず出たら次の扉が現れます。

「自分がやりたいことを選ぶだけでは己の枠を越えられない」という記述が印象的でした。人間は外からのきっかけをつかむことで生きる生き物だなという感じがします。

草なぎ剛さんの『ミッドナイトスワン』を見て思ったのですが、草なぎさんはけっして初めから何もかも与えられたパーフェクトの人ではないですよね。でも彼はSMAPとしても個人としても、来た仕事を着実にやりとげていったからこそ今の地位があります。おそらくたくさん葛藤を抱えた時期もあったでしょうが、彼は「降りなかった」。そのおかげで今、彼の人生は咲き誇っている感じがします。憧れと尊敬の念を拭えません。

現象(仕事のオファー、憧れの誰かに会った等)」→「感情(やらなければ!)」→「行動」→「リアクションを受け取る=現象」→「感情」→・・

このサイクルを回すことでエネルギーの循環ルートが出現していきます。なので、斎藤さんも言っていますが最初の「現象」をつかむことが本当に大事です。学校で働きたい私の場合は講師登録や授業セミナーへの参加などです。それをすることで「やりたい!こんな人になりたい!子供たちのために良い授業がしたい!」という気持ちが湧いてきます。なにより目の前に自分の話を聞く子供たちがいるというのがいちばんの着火剤です。授業はライブコンサートですよねえ・・。

以下、好きな箇所の抜粋です。

「才能のかけらに振り回されるより、「これをやっているときの自分が楽しい」という気持ちを軸にすると、クリアに仕事と自分との関係が見えてくる。」(p.50)

「日々一歩一歩向上していく確かな手応えと客観的な評価のあるものこそ一生取り組むに足る天職である。」(p.50)

「本当に必要になってくるのが、いまやっている仕事からどう橋を架けていけば、やりたいほうに近付けるのかというふうに考えていくずらしの技なのだ。」(p.148)

「仕事というものは、自分に向いていることは何か、・・など、適性や才能を問い詰めてやるようなものではない。人に頼まれたり期待されて、それに全力で応えるのが健全なスタイルなのだ」(p.218)

ぐうの音も出ないというか、もうぐさぐさ刺さりました。昨今は「強み診断」「適性診断」も流行ってますし、特にHSPさんは強みを活かすことはとっても大事、だと思うのですが、仕事の基本は期待に応えることなんですよね。これを忘れてしまうと地に足がついていない、という状態になります。斎藤さんも言っている「自己実現に引っ張られる危うさ」です。

本では「ミッション」に加え、「パッション(受難→情熱)」、「ハイテンション(上機嫌)」、この3つの技術を仕事の柱として、とてもわかりやすく説明されています。上に挙げた以外にも名言のオンパレードですので(付箋だらけになりました)、新卒でもベテランでも、「良い仕事をしたい」と思っている人はぜひ一読をおすすめしたい本です。

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