スプリンギン・フェスで経験できた3つの「よかったこと」「はじめてのこと」―スプリンギン・フェス シーズン1を振り返って
3月2日(月)から4月5日(日)までのおよそ1ヶ月の間に渡って開催したSpringin'初の大規模オンラインプログラミングイベント「スプリンギン・フェス シーズン1」が終わりました。ニュースで全国の小中学校などが1ヶ月間閉校になることを知って「Springin'チームでなにかできないだろうか?」と議論し、3日間で立ち上げたイベントでしたが、改めて振り返ってみるとこれまでになく盛り上がったオンラインイベントになりました。コンテストへの有効応募作品数(応募要件を満たしているもの)は364作品。フェスに集まった優秀作品は教科ごとに下記のnoteにまとまっているので、ぜひ見てみてください。
まずは参加してくださったSpringin'クリエイターの皆様、そして家庭やプログラミング教室、そして学校でSpringin'でのプログラミングをはじめるきっかけを子どもたちに与えてくださった保護者や指導者の皆様に感謝を申し上げます。本当にありがとうございました!
テーマを変えて5週間連続で作品コンテストを実施したこと、しかも西日本新聞さん、ANAさん、CANVASさん、そしてポケモンさんという各分野でのエキスパート企業からの協力をいただくことができたこと、そしてYouTube Liveを使ったプログラミング番組を16回も放送したことなど、今回のフェスはSpringin'チームとして初めてのことばかりでした。でもその「はじめて」づくしのなかでチームが勇気づけられた「よかったこと」もありました。今日はSpringin'チームがフェスを通じて経験した「はじめて & よかったこと」を3つ、まとめの記事として書いてみます。
よかった:ユーザー数、ワークのダウンロード数、そしてワークのアップロード数が伸びた
Springin'が今の形になってリリースされたのは2017年1月のこと。そこから何度も機能追加やアップデートを繰り返すなかで、だんだんと使ってくれるユーザーが増えてきました。
上のグラフはこの2ヶ月間、スプリンギン・フェスの前後1ヶ月間のユーザー数の伸びを示したものです。フェスの前後でユーザーの増え方の勢いが増えたことが分かると思います。フェスの期間中におよそ2000人の新しいクリエイターがSpringin'に集まってくれました。
このグラフを最初に見たとき「フェスのスタートがユーザー数増のきっかけだったのかな?」と思いました。ありがたいことにフェスのスタートをお知らせするとすぐにEdTechZineなどのメディアにとりあげていただくこともできたし、経済産業省は一斉休校に対するEdTech企業の取り組みを紹介する「#学びを止めない未来の教室」にフェスのことを掲載してくださったこともあって、これまでより情報が届いている手応えを感じていたからです。
しかしグラフをよく見ると、増加の動きはフェスのスタートをお知らせする数日前、具体的には2月27日くらいから始まっています。そこでその時期の出来事と突き合わせて調べてみると、2月27日は政府が一斉休校を要請した日だったことがわかりました。
政府の要請のニュースを見て、いろいろな人が「自宅でも学びを止めないためにできることはないか?」と調べ始めて、Springin'をダウンロードして、ユーザー登録をしてくださったんだと思います。
つまりこのデータは特別な宣伝をしなくてもプログラミング教育に使えるツールとしてSpringin'のことを思い出してくれる方や周りの人におすすめしてくれる方、そしてネットで検索して「これはよさそうだな」と選んでくれる方が増えた可能性を示してくれています。これはすごく嬉しいことです。
そしてフェス期間中に増えたのはユーザー数だけではありません。Springin'では自分が作ったワークを他のユーザーに見てもらえるようにアップロードしたり、他の人のワークをダウンロードして遊ぶ「マーケット」機能があるのですが、フェス期間中はこのマーケット内で流通するワーク(プログラミング作品のこと)の数も5万件を超えました。
「休校中でも取り組めるプログラミング学習はないだろうか?」とダウンロードしてくださった方に対して、スプリンギン・フェスという形で取り組むきっかけを準備できたことは本当によかったなと感じました。
はじめて その1:YouTube Live
Springin’を使った作品コンテストは「FUKUOKA Creators Award」や年末年始に開催した「ANA x B.LEAGUE Innovation Festa」、そして季節やプログラミングの要素をテーマにしたアプリ内キャンペーンなど、これまでに何度も経験がありました。
ただ今回の休校措置を受けて行う企画としては、単にキャンペーンを行うだけでは物足りないと考えていました。昼間にiPadを片手に楽しくプログラミングを学んでほしい。そんな願いからスタートしたスプリンギン・フェスとしては作品募集をするだけでは「昼間に自宅で過ごす子どもたち」に向けた企画にならないからです。
そこで考えついたのがオンライン生動画配信を使ったプログラミング講座でした。しかも定期配信のスケジュールは午前11時からとしました。より多くの人に見てもらうことだけを考えれば夜に放送するのが一番なのですが、今回の目的は休校中の子どもたちの学びを止めないこと。なのでランチタイム前の時間をあえて選びました。
とはいえSpringin'チームにはとってはインターネット生配信のノウハウは全くないところからのスタート。機材も専用機材はありません。しかしそこからしくみデザインのサウンドエンジニアがオフィスにある機材で配信システムを組み、初日にこぎつけました。回を重ねるごとに配信技術がグレードアップ。BGMをつけたり、マルチカメラに対応してiPadを操作しているところもワイプで配信できるようにしたり、効果音をつけたり……。内容はもちろんですが、技術がどんどん進化しているところを見るのが「中の人」としての一つの楽しみでした。
今回の経験で生配信を使ったプログラミング講座のノウハウを得ることができました。今後もこの経験を活かした新しいプログラミング講座配信を企画して、皆さんに届けられるようにがんばります。
スプリンギン・フェスでの配信アーカイブは下記のnoteで紹介しています。簡単な放送内容のコメントと一緒に掲載していますので、ぜひ見てみてください。
はじめて その2:指導者向けのオンライン講座やコミュニティ
これはスプリンギン・フェスとは直接関係ないのですが、実はフェス期間中に2回、学校の先生を中心としたSpringin'のプログラミング講座をzoomを使って実施しました。
これもしくみデザインとしては初の試みだったのですが、毎回北海道から九州まで全国から20名以上の参加をいただきました。これはリアルイベントではなかなか難しいことです。そして障がいをお持ちの方がベッドの上から参加していただいたことは、オンラインイベントの可能性を肌で感じる機会になりました。
これまでも学校の先生方向けの講演やワークショップなどを通じて指導者のみなさんとの交流を行ってきましたが、どうしても東京と福岡での開催が中心となってしまっていました。しかしこれからはこのようなオンラインミーティングを通じて、指導者の皆さんと交流を深めていければと考えています。
オンラインの可能性はまだまだ深い
ここまで書いてきて思ったことは、改めてオンラインの可能性を感じたということ。「オンラインの可能性」ってもう使い古された言葉のようですが、しかしまだまだ広げるチャンスがあることに気づきました。人と人との物理的な距離を取らなければならない状況の中でも、新しいユーザーと出会い、そしてこのようなかたちで接点を深めることができたことは、Springin'チームの新しい実践の場になりました。
そしてこの実践は、これからもっとSpringin'を広げていくために僕らが開拓していくための羅針盤にもなりました。
残念ながらSpringin'クリエイターや指導者の皆さんと直接お会いすることは当分難しそうな情勢ですが、オンラインをベースとした企画を中心に引き続き実行していきます。コンテストも生配信も、そして指導者の皆さんとのコミュニティも拡大していきますので、ぜひSpringin'でのプログラミングを続けてくださいね。
↑はしくみデザインのInstagramにアップしようと撮っておいた博多駅前の人参公園の桜です。撮った当時は花見についてうかつに話せない雰囲気だったので掲載を見送ったのですが、せっかく撮ったので載せておきます。