親知らずを抜きましたpart2〜下歯槽(オトガイ)神経麻痺を添えて〜
さて、満を持して神経麻痺につきまして語ろうと思います。
抜歯した時や歯列矯正、最近ではインプラントや整形などでも起こることがある下歯槽神経麻痺(おとがい神経麻痺)。
私がまさか神経麻痺になるとは思いませんでした。
と同時に、こんな顔の5×5cm程度の部位が麻痺するだけでこんなにしんどいものなのかと愕然としました。
google検索などしようにも経験者のブログや動画も少なく、不安の強い2週間を過ごしたので、もし同様の方がおられたら力になりたいと思い筆を取った次第です。
ただし、頑張って抜歯して下さった口腔外科の先生には全く恨みなどもないですし、むしろ術後に真摯に対応して下さったことも感謝しております!
抜歯をこれから予定されている方に関してはもしかすると不安の強い内容かもしれないですし、患者さん一人一人歯や神経の状態は異なりますので、あくまでこの文章は私個人の感想として受け取っていただき、主治医の先生との対話でご自身の治療をご検討いただけたらと思います。
なので、基本的には神経麻痺になって今心が路頭に迷っている方がいらっしゃればいいなと思って書いています。
下歯槽神経麻痺(おとがい神経麻痺)
下歯槽神経の支配する領域が麻痺する病態のことです。
基本的に運動神経ではなく感覚神経の麻痺なので、よくある片麻痺のように動かせないというわけではなく感覚がおかしいというのが主症状になります。
私は下の親知らずを抜歯した際に同側の下歯槽神経麻痺になりました。
原因は抜歯時に神経を触れた or 術後の腫れなどで神経が圧迫されたことによる障害だと思われます。
この神経麻痺の一番多い原因は抜歯で、文献により異なるものの0.数〜数%程度の確率で神経麻痺が起こることがあるそうです。
また神経麻痺が治らない確率はさらに低く、90%前後は時間をかけてほぼ完治するというように言われています。
症状の程度なども個人差が大きいと思いますが、私は下唇の抜歯側とその下から顎の骨の部分まで麻痺が出現しました。
麻痺の感じは、歯医者さんで局所麻酔をしっかりかけられた直後の感じ。
唇とその下の顎の部分が分厚く腫れたような痺れたような感じで、私の場合は同じ側の歯茎も全く感覚がなくなっていました。
唇と顎の部分は触らなくてもずっとピリピリジンジンしていて非常に不快でした。
こう書くと、命に関わるわけでもないし、運動麻痺でもないのだから表情が作れないわけでもなく見た目もわからないのだからいいじゃないか。
そう思われると思います。
私もそう思って親知らずの抜歯リスクの神経障害の部分も読み飛ばしましていました。ただ、神経麻痺になってみて分かったこと。
しんどい!!不安!!!
こんなに小さな部位の感覚麻痺だけでここまでメンタルがしんどいとは思いませんでした。
麻酔が切れるはずの抜歯後数時間たった時点で全く痺れが取れない時の焦り。
とりあえず今日は寝ようと思って、しかし翌朝になっても全く歯茎の感覚が戻っていなかった時の絶望感たるや。笑
痺れと唇が大きく腫れている感覚が最も不快で、これ何がきついってまず食べ物を唇に当てても感覚がわからないんです。冷たいコップを唇につけたとき、麻痺していない方は冷たい!と感じるんですが反対側は何かが何となく当たっている?くらいの感覚しかなくて、こぼしまくりでした。同様で歯ブラシも歯茎に当たっている感覚がないので強く磨きすぎたり、気づかない間に唇を噛んでしまっていたり。
ただ、これも1週間で治るとか分かっていればいいんです。
一番しんどかったのは、治るかどうか、それもいつ治るかもわからないというところ。
何かしら心の拠り所を見つけるべく、鬼のようにgoogle検索をかける毎日でした。病気と診断された患者さんが同じ病気の方のブログを検索したり繋がりたくなる気持ちがわかりました・・
そのうちに抜歯した部分の痛みや腫れが改善してくるのに反比例するように痺れが増悪傾向となり、7-10日くらいが最も辛かったかと思います。
特に唇のビリビリする痺れ感がふれていなくても強くて、お食事や飲酒をすると本当に辛かった!
ビタミンB12の内服が神経の修復を助ける(治療薬ではありませんが、栄養ドリンクくらいの効果だと思ってください)効果があるので、神頼みのように毎日欠かさず最大量飲んでいました。ちなみに水溶性なので基本的には取り過ぎても尿で出るだけだから大丈夫ですが、皆さん用法容量を守ってお使いください笑
2週間が経過した頃から、慣れてきたのか改善傾向なのかわかりませんが、ようやく楽になってきました。何も触れていない時の痺れ感が10だったのが4-5くらいまで改善し、心なしか口角に近い部分の顎と唇の感覚が以前より戻ってきた気がしました。
ただ、その頃から親不知で押されていた他の歯が動いているのか、抜歯時に強く押されてひずんだのか、前歯に圧迫されるような痛みが常時走るようになりました。
2週間から3週間経過するまでの症状としては、なので
・おとがい神経麻痺→改善傾向(ただし完治は数ヶ月かかるかなという雰囲気)
・抜歯部位の痛み→改善傾向も、穴の中に何か詰まっているような違和感と痛み
・抜歯した隣の歯から前歯までの圧迫感→10日頃から悪化し、3週間をめどに落ち着いてきました
・開口障害→2週間以上かかりました。16、17日目あたりに開口訓練を頑張り、顎関節症になりかけながらもようやく3週間経過を目前にほぼ全開まで頑張れば開くようになってきました
といった感じでしょうか。
3週間で、見た目も症状としても一旦落ち着いてきたかなといった印象です。
自分の症状をつらつらと書いてしまいましたが、伝えたいことは一つ。
おとがい神経麻痺になってしまってしんどい方!
9割の方が数ヶ月以内に治ります!
私も当初歯茎は全く感覚がなく症状がひどい方だったかなと思いますが、3週間を経過する頃にはだいぶ改善してきました。
数日から1週間あたり、痛みや腫れも相まって本当に辛いと思います。
人からは見た目ではわからないし、手足が動かないわけでもないのにこんなにメンタルがしんどくなるのかという自分の弱さへの憤りもありました。
でも、みんな一緒だと思います。
抜歯前の方は、リスクをしっかり理解した上で抜歯などの処置を行うか決めること。
症状が出てしまった方は、しっかり再診して主治医の先生の指示に従うこと。
ビタミンB12やアデホスなどの内服は治療薬にはなりませんが、私はビタミン製剤がある意味心の支えになりました(保険使うのは忍びなかったので自費です笑)。
ほかに、もし長期的に症状が続くようなら歯科大学病院の麻酔科やペインクリニックの受診、そこでのレーザー治療や神経節ブロックなどの方法も検討はできるようなので、主治医の先生にご相談するなりセカンドオピニオンを紹介してもらうなりしていただくのも良いかと思います。
私のnoteを見て、少しでも安心したり元気になって下さったら嬉しいなと思いつつ私の最後の1本の親不知日記とします。
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