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全国通訳案内士試験合格までの道のり

「全国通訳案内士」という資格試験を2020年から受け始めて、4回目のチャレンジで2023年に合格しました。
受験を決めたのが2019年の夏、合格通知をもらったのが2024年2月。実に4年半。オリンピックかい。
更にこの期間は、コロナ騒動とほぼ重複。世界的に観光客が絶滅していた時期に!観光業の資格試験!我ながらシュール過ぎる。好き。

せっかくなので、長かったこの道のりを記録に残したいと思います。書いてみたら絵巻物のように長くなりましたが、今後の受験を検討されている方の役に立つ内容にはなりませんでした。ごめんなさい。
科目ごとの対策などは別記事に書ければと思います。

「全国通訳案内士試験」とは何かは、ざっくりこちらに記載しました。

2019年10月 初めの一歩 センター試験出願

この試験の受験を決めたときから、戦闘方針は決まっていました。
ずばり「免除頼み」。
だって筆記だけで5科目もあるんですよ。学生時代はまだしも、社会人になってから、そんな多くの科目を並行して勉強したことなんてありません。無理無理無理。
ということで、まずは日本歴史と一般常識の免除を目的に、2020年1月のセンター試験の受験することにしました。
と決めてた割にはしばらく何もせず、出願期間が間もなく終わる、と知ったのが10月。はるか昔に卒業した高校に、慌てて卒業証明書を取りに行きました。なんとなく、2通取得(1通400円。即日発行)。
免除狙いの受験なので、「日本史B」と「現代社会」だけの出願です。
私は大学受験の時にセンター試験を受けていないので、これが人生における初受験でした。そしてセンター試験は、この2020年1月をもってその生涯を終えたので、人生における最後の受験にもなりました。
この時、新型コロナウィルスなんて、まだ影も形もありませんでした。少なくとも日本では。

2020年1月18日 センター試験受験

なんでセンター試験の日って雪が降るんですかね。寒かったです。
年末あたりから、「何やら中国でおかしなことが起きているぞ」という話が出ている程度の時期で、マスクはまだ必須ではなかったような気がします。
自分の子供(いないです)世代の若人と机を並べての受験でしたが、年配者もそれなりに多かった印象です。
自己採点では、日本史Bは免除基準点クリア、現代社会はクリアならず。
とにかく日本歴史免除が欲しかったので、最低ラインはクリアした感じです。

2020年2月26日 3月のTOEIC L&R 試験中止発表

ダイヤモンド・プリンセスの横浜入港が2月3日。新型コロナウィルスの状況はその後も刻々と悪くなり、英語免除を目的に申し込んていた3月のTOEIC  L&Rは中止になりました。
また、自分が完全に在宅勤務になったのもこの時期でした。

2020年3月26日 4月のTOEIC L&R 試験中止発表

初の緊急事態宣言が2020年4月7日からだったので、もう致し方ないですね。緊急事態宣言も最後の方はグダグダでしたが、さすがに初回が出る頃は世の中が緊張してましたし、混乱もしていました。

出願までに結果が出るTOEIC試験はこれで終わりだったので、英語は本試験に挑むしかなくなりました。
そもそも、コロナ元年のこの年は、司法試験や日商簿記試験といった超メジャーな資格試験が、軒並み中止や延期に追い込まれていました。何より、4月のTOEIC中止の連絡が来る2日前の3月24日、東京オリンピックの延期が発表されています。
そんな中、ねぇJNTOさん、全国通訳案内士試験なんていうマイナー試験、実施しますか・・・?
実に疑惑に満ちた毎日でした。実際、ガイドラインや試験要綱の公開も遅かったですし、やっと公開された要項には「状況により中止の可能性あり」という注記がありました。
勉強のモチベーションを保つにはなかなか厳しかったです(などと言っているので取得に4年かかる)。

2020年4月上旬 センター試験結果到着(郵送)

自己採点通りの結果でした。
日本史B:66点。免除は60点以上→クリア。
現代社会:71点。免除は80点以上→NG。
2科目でこの体たらくなので、筆記5科目同日受験なんて夢のまた夢であることを実証した形になりました。

センター試験の結果

2020年6月 出願 (1回目)

この年はまだ、Webで出願申し込み→必要書類を郵送でした。センター試験の結果(コピー)とともにレターパックで送付。
受験票も紙でした(郵送)。

2020年8月16日 筆記試験

中止疑惑は杞憂に終わり、実施された筆記試験。会場は大正大学。
当然、マスク必須です。
受験科目は、英語、日本地理、一般常識、通訳案内の実務の4科目。
地理はわけがわからな過ぎて、教室から一番早く退出した受験者でした。
他の3科目はそこそこできたような、できなかったような・・?
というのも、なぜかこの年だけ、問題用紙の持ち帰りが禁止されていて、自己採点ができなかったのです。
だから、2次の口述に備えるべきかどうか正式な発表までわからなかった。これ、モチベーション保つのになかなか厳しい状況でした(などと言っているので取得に4年もかかる)。

2020年10月上旬 共通テスト出願

筆記試験の結果が出る前に、2021年1月の共通テストの出願期限が来ました。
この年から始まる共通テストが、センター試験と同様に通訳案内士試験の免除対象となるという発表はまだないわけですが、試験の傾向は大きく変わらないと大手予備校(通訳案内士試験の予備校ではなく、大学受験の予備校)が言っているし、何より大学受験生が去年と同じテキストで勉強しているのだから、と一般常識の免除狙いで、現代社会のみ一応出願しました。
去年取得した2枚目の卒業証明書を使いました。

2020年11月10日頃 筆記試験 結果発表

この年まで、結果は郵送でした。いつ着くか、いつ着くか、と待っているのに発送日以降もなかなか届かず、数日経って半ギレしたところで実は届いていたことを知りました(家族がよくわからんところに置いていた)。
結果はこちら。

2020年筆記試験結果

体感として地理はダメダメだったので納得。むしろ他の3つが取れて良かった!さぁ来年は地理だけだ!と元気に思っていたように思います。

2021年1月 共通テスト受験せず

2020年の科目合格で翌年の一般常識の免除が取れてしまい、さらに共通テスト当日にできれば外したくない用事が入ったので、出願はしたものの受験はしませんでした(受けていても免除基準点の80点が取れたか微妙な準備状況だった)。
でも、結果として共通テストは通訳案内士試験の免除対象から外れてしまったので、無駄なことしなくて良かったな、という感じではありました。もちろん受験料は無駄になりましたが、それは受験しなかった時点で諦めたことなので。
むしろ、通訳案内士の筆記免除を狙ってきちんと共通テストに向けた準備をし、免除点を取得した方は、本当にやるせない気分になったと思います。

2021年春 人生暗転

身内が倒れたことをきっかけにファミリーバトルが繰り広げられたり、職場でも諸々問題が起きて、それまで当然と思っていた日常がガタガタと音を立てて崩れた春でした。
毎日生きていくだけで精一杯、自分の体調もボロボロで、試験勉強までとても手が回らない状態に。
そんな中、2021年の試験概要の中で、共通テストが免除対象から外れたことが発表されました。界隈では怨嗟の声が吹き荒れていたようです。そりゃそうよね。

2021年7月末 出願 (2回目)

この年は1年遅れのオリンピックが開催されたため、通常8月に実施される筆記試験が9月実施でした。
7月には少し身の回りの状況が落ち着いていたこともあり、期日間際に出願はしました。なんと言っても今年は筆記が地理の1科目だけという好条件なので、受けられるものなら受けたかった。
幸運なことに、この年から出願が完全にオンライン化されました。外出すらままならない毎日を送っていたので、前年のように免除書類をコピーしてレターバックで送る、という方式だったら、断念していたかもしれません。
ただ、翌8月にはプライベートがさらに転落して人生一番の暗黒状態になったので、試験日が8月だったら確実に受けていなかったです。9月の試験も、受験できるかどうか当日までわかりませんでした。
一寸先は闇、という言葉を実感する毎日でした。

2021年9月26日 筆記試験

「旅に出たくなる地図」をチラ見するくらいしかできていない状況でしたが、この日だけは外出させてくれ、と方々にお願いして結局受けました。
会場は渋谷フォーラム8。今年もマスクは必須。受験科目は日本地理のみ。
準備状況から考えると、あれ?意外とできたのでは?という感触。教室から誰よりも早く退出した去年とはえらい違いでした。
また、問題用紙が持ち帰り可能に戻りました。きっと去年の評判が猛烈に悪かったんでしょう。
問題用紙を入手した通訳案内士試験受験専門予備校が、終了後すぐに正解をネットで発表してくれますので、帰りの電車の中で自己採点をしました。
結果は68点。地理の合格基準点は70点。まさかの1問に泣く結果。
平均点が著しく低い場合は基準点が調整されて下がる、という逆転劇もあるようなのですが、受験者のTwitterを見る限り「今年の地理は簡単だった」という声が多かったので、それはなさそう。
まぁ今年の状況で、ここまでできたのが上出来かな、と自分を納得させ(ようと試み)ました。

毎日ニュースで主要な街の人出が報道されている時期でした。試験会場が渋谷だったもので、行き帰りにスクランブル交差点を渡るとき、テレビカメラに抜かれないことを祈っていた記憶があります。

2021年11月11日 筆記試験 結果発表

今年から結果はWeb(マイページ)で発表。
うん知ってた。

2021年筆記試験結果

2020年の科目合格による免除もなくなり、見事に振り出しに戻りました。

2022年1月から5月 TOEIC鬼受験

もはやよく覚えていないのですが、メール履歴によると、2021年の不合格判明直後の12月上旬に、1月のTOEICの申し込みをしています。2022年筆記の英語免除獲得のためです。
筆記1科目という好条件下での不合格によく心が折れなかったな。すごいぞ自分。
公私ともに少し状況が上向いて、軽くハイになっていたとしか思えません。脳内モルヒネ的な。実際、4年の受験期間の中で、一番英語の勉強したのは2022年でした。
この時期のTOEIC L&Rは、受験者の密を避けるために抽選式でした。
そんな中、1月から5月までに受けた回数、なんと7回。
英語免除に必要な点数は、L&Rなら900点、Speakingなら160点。

1/16 TOEIC Speaking 140 *20点不足
1/30 TOEIC L&R   815  *85点不足
2/20 TOEIC Speaking 140*20点不足
3/20 TOEIC L&R   845  *55点不足
3/27 TOEIC Speaking 140 *20点不足 えー、またぁ?
4/24 TOEIC L&R   870 *30点不足
5/15 TOEIC Speaking 160 *達成!

2022年の出願に間に合わせるには、この回受験が時期的にギリギリでした。が、スコアもギリギリでした。どこまでもギリギリ人生です。

2022年6月 出願 (3回目)

2年前のセンター試験結果と、色々ギリギリだったTOEIC Speaking の公式スコアを添えて出願しました。

2022年8月21日 筆記試験

会場は日本大学神田三崎町キャンパス。まだマスクは必須。
受験科目は、日本地理、一般常識、通訳案内の実務の3科目(日本歴史と英語は免除)。
免除科目がある場合、その試験時間は空き時間です。近くのモスバーガーで試験科目の資料を見ていたのですが、これが大当たり。直前に見たことばかりが試験に現れて、我ながらびっくりでした。これのお陰で全体的に感触はそんなに悪くなかったです(良くもない)。
そしてまた、電車の中で自己採点。

地理: 73 (合格基準点70点)
一般常識: 33(合格基準点30点)
実務: 33(合格基準点30点)

「悪くない」と評するに値する、ギリギリ通過の得点でした。

2022年9月から11月 慌てて2次対策

自己採点で1次の通過が濃厚になったので、慌てて通訳案内士試験専門予備校の口述対策講座の受講を決めました。
通訳案内士試験対応をしているオンライン英会話も何回か受けました。

2022年11月10日 筆記試験 結果発表

自己採点通り。三度目の正直の通過でした。

2022年筆記試験結果

2022年12月10日 口述試験

初の口述試験。会場は大妻女子大学。まだまだマスク必須。
会場に集う人々を見て、受験生の平均年齢が高い試験だと改めて実感しました。もちろん自分を含めて。
終わった時には、五分五分かな?という感触。ただ面接って、時間が経つにつれ、ああ答えれば良かった、という後悔ばかりが浮かんで来るんですよね。

2023年2月3日 口述試験 結果発表

五分五分のダメな方に転びました。がっくり。

2022年口述試験結果

でも、来年は筆記が全科目免除になることだけが救いでした。
日本歴史→2024年まで免除資格あり
英語→2022年5月取得のスコアが来年まで有効
残り3科目→今年合格したので来年免除

つまり、今から口述試験対策できる!
はずだったのですが、そこできちんと対策を始められる人間であったなら、もっと早く合格できていたことでしょう(仮定法過去)。

2023年7月 出願 (4回目)

ほとんど何の対策もせず5か月が過ぎて、また出願期限となりました。
その間に想定外の転職などがあり、仕事が猛烈に忙しかった、などの事情はあります。はい、言い訳ですけども。
ともあれ、筆記全免除という2回目を上回る好条件なので、出願しました。

2023年9月 筆記試験結果発表(全免除だけど)

全科目免除だと結果通知ははこんな感じ。

2023年筆記試験結果

2023年12月10日 口述試験

2回目の口述試験。会場は神田外語学院本館。
5月にコロナが5類になりましたので、ここに来て初めてマスクは任意でした(多分筆記も)。身近に基礎疾患持ちがいる私は、今でもそこそこマスクをつけていますが、試験中は外しました。面接なのでね。試験官もつけていなかったです。
前年と同様、感触は五分五分。やはり昨年と同様、時間が経つにつれてダメだった所ばかりが思い浮かんできました。ただ、試験官との相性は今年の方が良かった気がします(去年も悪くはなかった)。

2024年2月2日 口述試験 結果発表

突然ですが、全国通訳案内士試験の合格者名は官報に載ります。
インターネット官報はAM8:30に公開されるので、受験サイトのマイページより発表が早いです。
ということで見に行ったPDF版官報で、私は自分の名前を見つけることができませんでした。
ああ、今年もダメだったか。と友人にがっかりメッセージなどを送り、仕事を始め(結局今でも在宅)、ランチを食べているところに、「【重要】2023年度全国通訳案内士試験結果を公開」というメールが届きました。
これは受験者全員の届くものなので、「けっ」と思いながら、一応メールのリンクからマイページを見たわけです。

そしたら。
あれ?あれ?あれ?

2023年口述試験結果

受かってる。

改めて官報を確認したら、はい、ちゃんと載ってました。私、自分の名前を見逃す人間だったようです。
いやでもね、官報ってそもそも読みやすい冊子じゃないんです!しかも、インターネット官報って、検索機能がないんですよ。
わかりずらいわ!

インターネット官報FAQ

と、八つ当たりしていた割には、紙の官報も記念に買ってしまいました。近隣に販売店がないので、都内から郵送してもらったのですが、支払い方法は現金書留のみ、と言われてのけぞりました。

4回分の試験結果まとめ

5科目x4年で延べ20回の筆記試験の過半数が免除。言ってみれば、18勝2敗、内12シード勝ち。
「免除頼み」の初志貫徹っぷりを、表にして改めて実感しました。

最後に

同じタイミングでセンター試験を受けた高校3年生が、この3月に大学を卒業します。そんな期間ずっと受験生だったので、合格は素直に嬉しいです。
でも一番嬉しいのは、今年も8月に実施されるだろう、筆記試験のことをもう考えなくていいことかもしれません。
この資格試験の一番の難点は、ガイドラインの発表(4月)から最終合格発表(翌年2月)までの期間が長すぎることだと思っています。ほぼ一年通して試験期間な割に、待ち時間が多いというか(勉強しろって話ですが)。特に、筆記試験の結果はもっと早く出して欲しいとずっと思っていました。マークシートの採点になんで3か月もかけてんのよ。手作業か?(2023年はそれまでより1か月半くらい早く出た模様。全免除のため気にしてなかった)

もし今回合格できなかったら、2024年に受けるかどうか、決めていませんでした。なんだかんだで結局受けた気はしますが、5回目で落ちたらそこで打ち止めたと思います。
一番の理由は、センター試験で取得した歴史の免除期間が終わること(5年間。私の場合は2020年から2024年まで)。
やっぱり筆記5科目って大変です。しかも英語以外の科目の試験時間が、30分と20分。
石器時代から令和までの歴史に30分、北は北海道から南は沖縄までの地理に30分です。20分の試験は、問題文読む、マークシート塗る、の繰り返しでタイムアップです。
一発合格している方が世の中には少なからずいらっしゃいますが、心の底からすごいと思います。

この記事には試験対策や勉強方法を全く書いていないので、これからの受験を検討する方には全然参考にならないわけですが、ひとつアドバイス的なことをするとしたら、「なるべく早く受ける」かと思います。
準備が足りない、とか思わずに、一番早いタイミングでまず受ける。一科目でも受かれば、来年の科目がそれだけ減ります。

筆記は以前は4科目で、「通訳案内の実務」は新規に追加された科目です。TOEIC L&Rによる免除点は、以前は840点でしたが、数年前に900点に上がりました。センター試験では免除が取れたのに、共通テストは対象外で、一般常識の免除取得の方法は現時点ではありません。
そもそも、通訳案内士法の改正により無資格でもガイド報酬が得られるようになった今、この資格そのものの価値のとらえ方、生かし方も人それぞれでしょう。資格に意味を見出せず、受験しないという選択ももっともです。
それでも受験を検討する人は当然合格したい人でしょうから、これ以上条件が厳しくなる前に、まずは受けてみることをお勧めします。
今年のスケジュールは、多分去年とそれほど変わらないはず。
もちろん、短期決戦で決められるに越したことはありません。

とりあえず私は、来月あたりに県に登録をするつもりで、今、健康診断書を書いてくれる病院を探しています。
どこまでも手間のかかる資格だな、おい。。。

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