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ラーメン(映画「素晴らしき世界」)

(かなりネタバレしています。これから見る人は要注意)。

在宅終日缶詰なお仕事の日、休憩時間もあまり避けなくて、食糧棚からまたカロメ取って食べるのかなあ? と思いきや、家族がテイクアウトのラーメンを買ってきてくれました。お店で食べるものと遜色なくて美味しかったという。今どきのテイクアウト文化も侮れません。

カップ麺が登場する映画はいろいろありますが、プライムビデオにありました「すばらしき世界」。第56回シカゴ国際映画祭の観客賞、最優秀演技賞受賞。第47回シアトル国際映画祭の観客賞。第45回トロント国際映画祭正式出品。

名作です。

三上さんという元殺人犯であり、受刑者の主人公が出所して生活保護となりました。居を構えた賃貸住宅で自分でカップ麺を作り、投げやりにぶいん! とカップ麺を投げてしまうシーンが出てきます。実在した人物をモデルにした作品で、この主人公を役所広司さんが演じてます。

役所さん以外にいないでしょう? というくらいのすさまじい名演技でした。保護司夫妻に身元引受人として迎え入れられ、生活保護を申請し、賃貸住宅を借りて一人暮らしを始めます。

さて就労はというと車の免許が切れているので再講習、試験を受けようとするとき、刑務所内での習慣であった歩き方で行い。話し方もどこかぎこちないです。集中力もありません。視線は宙を浮き、人の顔色をうかがい、どこかおどおどしています。

10年服役していて社会に戻ったばかりで、まるで浦島太郎状態。

スーパーの店長さんが同郷のよしみで相談に乗ってくれます。そこでもお調子者っぽさに、どこか危なっかしい雰囲気が抜けません。

さらにルポをやろうとして近づいてきた記者が、取材していくうちに三上さんの粗暴性に恐れをなして逃げ出してしまいます。思っていた以上にハードだったと記者は気づきます。ところがこの記者、三上さんのルーツをたどる旅路をナビするとても大切なお役目。

見ている私たちの目線とは、おそらくこの記者。仕事というよりも、一人の人間として三上さんに向き合おうと決意します。

一方ふてくされた三上さんが元所属していたヤクザの家に戻ったとき、それまでに見せたことのない落ち着きと穏やかさが出てきます。やっと地に足のついたような雰囲気、ここが彼の古巣でした。服役していた頃の受刑者の顔が、過去の自分を取り戻したのです。その古巣の人たちに「堅気になれ」と背中を押され、記者と合流。

素性を調べてきた記者に導かれるまま、自分を捨てた母を知る人に会います。母の行方が分からずとも、当時その児童養護施設に出入りして子どもたちと遊んでいたそのおばあさんの鼻歌を、いつのまにか記憶していた三上さん。さらに今児童養護施設にいる子供たちと遊ぶ三上さん。

ここでカタルシスが起こります。

自分の産みの母はいなくても、育ててくれた人はいたという事実。さらに子どもたちと遊んで、自分にもできることがあるのだという手ごたえ。

自分は根なし草なんかじゃない。

三上さんの人生はここから再生します。まるで膿を出しきったかのように。

いつの間にか保護司夫妻、生活保護ワーカーさん、スーパーの店長さん、ルポ記者という、全員お互い赤の他人なのに気が付くと「三上さん応援団」が結成されていたのでした。

ここから先はネタバレいたしませぬ。ラストシーンはきっと賛否両論あるかと思いますが、ラストシーンの考察もしませんので、どうか見てみて欲しいと思うのです。役所広司さん、歳を重ねました。まだまだいろんな映画でこの先も拝見したいと思います。

(映画)

(原案)

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はるかぜるりい
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