三鷹跨線人道橋撤去決定
三鷹跨線人道橋の撤去が決定しました。文豪太宰治氏ゆかりの地として、三鷹市の名所にもなっています。三鷹駅南口降りて、歩いて10分程のところにあるこの橋。ここは登ると眺めがよく、親子連れや鉄道ファン、散歩の方等、多くの人に利用されてきましたが、長年の利用と風雨にさらされ老朽化が進み、存続の危機にありました。
そして、現在の耐震性能を満たしておらず、安全性の面からこの橋の撤去が決定したと、数日前ニュースで知りました。実は20年以上前、まだ小さな息子を連れて、遠くからやってきてこの橋に登りました。息子は橋の下を行き来する電車を、目を輝かせ、大変喜んで見ていました。そんな思い出深いスポットでもあるのです。
そして私がこの橋に最後に登ったのは今年1月の冬の夕暮れ。その時の写真をご紹介いたします。また、ここでも、モノクロ写真でご紹介しておりました。
上記写真のカラー版がこちら。
この風景は、おそらく私がこの橋を見る最後の機会になるかと思います。こうした景色を見ると、脳内のイマジナリーな部位が刺激され、同じことを繰り返す日常からしばし解放されるような心境になるのです。
もう1枚がこれ。皆様に見て頂きたくて、載せました。
永らく訪れていない場所がいつのまにか変わっている、そんな経験を何度となくしていまして、東京の風景シリーズの写真撮影を始めたのは昨年からでした。
昨年春頃の緊急事態宣言時の人気(ひとけ)のないモダンな都市。あの異様な風景は生まれて初めて見たもので、このまま風化して、この風景もいつか失ってしまうのではないか?という思いを抱いたものです。
時代の流れ、とどまるものはなく、世代交代もあるのだと思います。街の新陳代謝で私たちは何を得て、代償として何を失ってゆくのでしょうか。
それは必然であるがゆえに、進むために思い出と記録を遺す。遺しても、じかに知っていた世代もまたいずれ去ってゆくのでしょう。
橋の取り壊し後は、新しい橋梁の再建もないため、撮影していた写真は私にとって、ひとつの区切りとなる大切な思い出となりました。
ありがとう。陸橋。あなたは世にも素晴らしい景色を見せてくれました。