No.20 ナルコレプシーのある労働者に対する職場での配慮案リスト
前回の記事で、ナルコレプシーのある学生や生徒、児童に対する配慮案についてこちらの本の第29章からご紹介しました。
同じ章の後半に、ナルコレプシーがある労働者に対する職場での配慮についてもアイデアのリストがあったので、こちらも、本の中より一部抜粋してご紹介いたします。
なお、元の本にも書かれていることですが、ナルコレプシーの症状や職場の状況、仕事内容はひとりひとり違うので、このリストの案がナルコレプシーのある人ならだれにでも当てはまるというわけではありません。ひとりひとりに合った配慮を考えるための下敷きにでもしていただければと思います。
以下、配慮例リストです。
職場における配慮の例
仮眠休憩をとる
昼食休憩中の仮眠
薬を服用するための追加休憩
10時半頃と早い時間に昼食と仮眠の休憩をとる
15分の仮眠休憩を3-4時間ごとにとる
仮眠の場所を提供する
仮眠部屋を設ける
急に眠気の発作が来た時のために医務室の鍵を提供する
仕事場に診療所があればそこで仮眠をとることを許可する
柔軟性のあるスケジュール
連続して来客をスケジュールしない
渋滞の時間帯を避けて勤務時間を設定する
起きるのが難しい場合は、5分遅れまでは許してもらう
在宅勤務をする
週1-2回在宅勤務をする
ブレインフォグの強い日に在宅勤務をできるようにする
在宅勤務のできる環境を整える
就業環境
騒音レベルが高い環境だと強い眠気やカタプレキシーが引き起こされる場合があるので避ける
自然光の差し込む窓際に座る
会議中に立ったり休憩したりする許可
出張で2時間以上の移動が必要な場合は、宿泊を許可する
一貫したスケジュール
朝のシフトの勤務に変更する
夜遅くのシフトで勤務した翌朝最初のシフトで勤務することは避ける
朝起きられない場合は、午後のシフトにする
認知機能の問題
音声入力や録音できるデバイスを活用する
ブレインフォグの場合は、上司とタスクを確認し書き留めておく
感想
仮眠をとれる環境づくりがやはり大事で、また、学生と同じで疲れやすく休憩が必要という問題があるようだと感じました。個人的には朝の起きにくさで困るナルコレプシーの人は比較的少ない印象がありましたが、前の記事および今回の記事で紹介したリストを見るとそうでもないのかなと気づかされました。
今回の内容について、今後ナルコレプシーがある患者さんが勤める職場とやりとりする機会が出た場合に参考にしようと思います。
参考文献
Flygare J. Succeeding in School and in the Workplace with Narcolepsy. In: Goswami M, Thorpy MJ, Pandi-Perumal SR, editors. Narcolepsy: A Clinical Guide [Internet]. Cham: Springer International Publishing; 2016. p. 395–405. Available from: https://doi.org/10.1007/978-3-319-23739-8_29