No.3 クービビックvsデエビゴvsベルソムラ、徹底比較
はじめに
2024年12月に新しい睡眠薬が発売されました。商品名がクービビック、一般名がダリドレキサントという薬です。これは、オレキシン受容体拮抗薬としてはスボレキサント(商品名ベルソムラ)、レンボレキサント(商品名デエビゴ)に続く3剤目となります。
とすると、この3つをどう使い分けるべきかを知っておかなければなりません。それぞれのメーカーが出している情報をもとに、比較表を作ってみることにしました。
情報源は主に添付文書で、欲しい情報がそこに見当たらなかった場合はインタビューフォームも参照しています。
なお、今回の記事内容に関連したCOI(利益相反)はありません。
note内に表を作るのはひと手間かかりそうだったので、Excelからの貼り付けです。見にくいと思いますがご容赦ください。
なお、気を付けて転記したつもりではありますが表にミスが存在している可能性はあるので、実際に薬を処方などする際は、添付文書などのより確かな情報源をご参照ください。
比較表
以下のようなことが読み取れます。
価格は横並び(というか面白いほど揃えている)。
クービビックとベルソムラはいずれも通常用量が最大用量。デエビゴは通常用量の5mgから10mgに増やす余地がある。
クービビックとデエビゴは重度の肝機能障害に禁忌。ベルソムラは注意のみ。
半減期はデエビゴだけやたら長い
有効性は、主観的な入眠潜時に関してはそこまで変わらない(他にもいろいろ評価すべきパラメータはありますが)。
クービビックとベルソムラは併用禁忌薬がある。デエビゴにはない。
デエビゴは傾眠が他の2剤よりも出やすいように見える。
副作用の記載はクービビックが控えめ。ただ、まだ市販されて間もないからデータが出そろってないだけかもしれない。
感想
というわけで、公式情報をもとに使い分けるなら以下のような感じかなと。
肝機能障害のある人にはベルソムラ
量の調整を細かくしたいならデエビゴ
クラリスロマイシンや抗真菌薬を服用中の人に敢えて使うならデエビゴ(併用注意ではありますが、他の2剤と違って禁忌ではない)
ただしデエビゴは傾眠が出やすいかもしれない。
クービビックは、デエビゴやベルソムラが合わなかった人に試しに使ってみるというのが当面は一番のニーズになるでしょうか。使っているうちに、他の2剤と比べた時の感触の違いや使いどころが分ってくることでしょう。
参考リンク
「クービビック錠25mg・50mg」(塩野義製薬)https://med.shionogi.co.jp/products/medicine/quviviq.html
「デエビゴ | エーザイ」
https://medical.eisai.jp/products/dvg
「ベルソムラ錠 | 第一三共」
https://www.medicalcommunity.jp/products/brand/belsomra