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ブルーを嗜む


「ブルーな気持ち」

いつかのバラエティ番組でよく聞いたフレーズだった。

バイクでブンブン言いながら、ブルーな気持ちになったエピソードを話していくのだけれど、それがなんとも言えず可笑しかった。

ブルーな気持ちというのは、落ち込むような気持ちや、少し憂鬱な気持ちのことを言う。

生きていれば、ブルーになることは少なくない。

社会は複雑で面倒くさいものだから、嫌になる事もあるだろう。

人間だけでなく、動物達だって同じかもしれない。

ブルーな気持ちはパッと現れてズルズルとしがみついてくる。

お前に時間を割いている暇なんてないんだよ。

そう言ってやりたいけれど、意味はないんだろう。

ブルーが現れたら最後、自然に消えていくまで付き合ってやるしかないのだ。

どうして人はこんなにも感情に左右されてしまうのだろう。

私だけが特別に左右されやすいのかとも思ったが、そうではないと思い直す。

街角で突然大声を出すおじいさんや、レジで喚くおばさん、いじめをする子供やネットリテラシーの無いネット民。

まあ感情的な人が多いこと。

発散すれば済む怒りはまだ良い。

じわじわと染み込んで心を蝕む憂鬱は厄介だ。

背負っていくしかない。

一度出会ってしまったら、それを背負って生きていくしかないのだ。

憂鬱を背負って生きていくということは、簡単なことではない。

強さが必要だし、甘えが必要だし、お金だって必要だ。

どうすれば心健やかに生きていけるだろうか。

きっと、ブルーな気持ちを嗜むくらいの気持ちであるのがちょうど良いのだろう。

出会わない方が良かったと思うのは常だけれど、一度出会ってしまったのならもう仕方がない。

退けるのではなく、嗜もう。

そのブルーはきっと、自分に深みを与えてくれる。

そのブルーはきっと、自分の助けとなってくれる。

そのブルーはきっと、他人の助けにすらなるだろうから。

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知春
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