ひめいち【Vol.10 錦繍号・'24年更新版】
◇ひめいちの極意
ひめいち(姫路検定試験1級)の受験結果は、合格したか学びになったか、のどちらかだと創刊号に書きました。
容易に合格できる検定試験ではもちろんないのですが、合格に近づくことは可能です。努力や工夫次第で可能なはずです。
経験から言えることですが、各回のひめいち試験には波があります。100人受ければ数人は合格できそうな回と1000人受けても「こんな試験、合格するひとおらんやろ」という回です。
たとえば、合格の80点には達しなかったけれど、75点を取り続けられる挑戦者がいたとすれば、この方はいつか合格できます。合格可能な実力を持っています。このひとにとって良い波が来るまで続けるだけです。
以下の七つは、そんな実力を身につけるためのポイントで、すでに前号までにご紹介したものが多いです。ここまでのひめいちの集大成といってもよいかもしれません。
【その一】継続がすべて
ひめいちに実力テストや模擬テストはありません。
自身が今、どれだけの力を持っているか量るのは難しい。
だからこそ、一年間(もしくは数年間?)、コツコツ実力を独りで積み上げていくしかないのです。
学びを習慣にして、自らを信じて、工夫を重ねて、粘り強く続けること。
長い道のりになるかもしれませんが、これしかありません。
【その二】まずは計画から
続けるためには計画が不可欠です。
ひめいちVol.3で、案内人なりのスケジュールを紹介していますが、自分にあった立て方、内容でよいと思います。
年間/月間/週間/・・・、自ら切り拓いて道をつくるイメージを持つことが出来れば、それだけで学びへのモチベーションが湧いてくるはずです。
ただし、どうかすると初めはあれもこれもと欲張って詰め込み気味になります。ほどよい、幾分余裕を持った計画がよろしいです。
がむしゃら勉強は逆効果となり得ます。
案内人の計画には、旅行やライヴなどの遊びもちゃんと?入れてました。
(だから5年もかかったのかと思いたい人は思ってもらって結構ですが)
ま、まあ、自分に合ったベストなスケジュールというのも、そのうち自然に組立てられるはずです。
【その三】経験は宝
・まず実際に勉強をはじめてみること
・実際に現地に行ってみること ・関連するセミナーに参加してみること
・そして、実際に試験を受けてみること
見ること、聞くこと、感じること。
頭で考えることだけが学びではないですよね。
実際に経験することはその何倍も理解が増します。
昨年(第19回)の問題にもありましたが、
山陽道・西国街道のルートや駅(うまや)の名前をただ憶えることだけをひめいちは要求していません。
なぜその道ができ、発達してきたのか。赤松円心が、秀吉が、官兵衛が千姫が、名もない多くの商人が巡礼者が兵たちが、何を思ってこの道を通ったのか。
セミナーに出かけて専門家の話を聞けば、ほんの少しでも自分の足で歩いてみれば何か見えてくるはずです。感じるはずです。理解が深まるはずです。
【その四】常識力を磨け
・第10回[問題6-1]六根清浄 ・・・徒然草の性空上人
・第11回[問題4-4]牧野富太郎 ・・・のじぎくの里
・第13回[問題9]喜多川歌麿 ・・・ビードロを吹く娘
・第14回[問題1-7]十干十二支 ・・・甲子、戊辰(の獄)
・第15回[問題2-2]山陰五国 ・・・因幡、伯耆、出雲 ・・・
毎回毎回、姫路(播磨)と一見無関係な問題が必ずといっていいほど出題されるのがひめいちです。
上にあげたのは一般常識の領域といえる問題の例。(常識とはいえ、結構レベルは高い)
ひとつくらい分からなくても、合否にそう影響は・・・、と思いがちですが、ひめいちの合格は80点以上。75点の実力者は数点で運命が(ちと大げさか)左右されます。
日頃から一般常識は磨いておくべし。人生の幅も広がります。
【その五】オリジナル問造り
ひめいちで何度も紹介しているオリジナル問題。
ここ、ひめいち各号の演習問題は、案内人のつくったオリジナル問題からピックアップしています。
正確に数えたことはないのですが、1万問くらいはあるかと。
驚くことはないです、6年間の総計でいつのまにかこうなっただけです。
これが100問にひとつくらい実際に出題されれば、100点も狙えるはずですがそううまくはいきません。(試験前はいつも100点取るつもりなんですけどね)
どうしても抜け落ちている情報がありますし、忘れることもあります。
でも、”量が質を生む” は真理なのです。反復復習も"量" のうちです。
自作問題はつくるとき、解くとき、両方で学べます。
合格率2.7%のひめいちに太刀打ちできるのはこれしかないと思うのです。
【その六】ひめいちセンサーを駆使せよ
過去問を何度も解いたり見返したり、オリジナル問題をつくったりすることで、ひめいちセンサーの性能は上がっていきます。
出題者側の波長に自分の周波数を合わせていくのも、このセンサーの性能次第です。
ひめいち問題になり得るかそうでないかを書籍や新聞、TV番組などでサーチしていくのですが、これも習慣にしてしまいましょう。
本番の試験後に会場階から降りるエレベーター内でよく聞こえてくるのが、
「よ~あんな問題、考えるわ」
感心してばかりでは出題者側との波長のズレは狭まらないのです。
【その七】本番は全力で、楽しめ
結局、行き着くところはここになります。
受験者のみなさんに「必ず合格せよ!」というようなミッションは課せられていないはずです。
97%の挑戦者が合格できないのですから、過度な緊張は要りません。
仕事にどうしても必要な試験であれば、緊張を和らげるにはとか、集中力をどう保つとかの心構えや準備が必要ですが、ここはもう年に一度の楽しいイベントだと思いましょう。
試験本番での案内人のアドバイスはひとつだけ、
”最初に試験問題全体を見渡す” これだけです。
これだけで、はやる気持ちを落ち着かせることができるし、時間配分や優先順序もなんとなく分かってきます。100分のうちの2分程度でしょうか。
あとは一年間(または数年間)培ってきた自分の実力を信じていれば、自然と試験に集中できるはずです。
以上、ひめいち倶楽部なりの”極意” でしたが、エラそうに書いている案内人も所詮はひめいちの陣、1勝5敗。もっと確率を上げるには「どないしたらええの?」と思っている修行の身なのです。
■過去問を解く(第10~12回)
今号は少しさかのぼって、第10~12回(2013~2015年)姫路検定試験1級問題からのピックアップです。
なお、解答例は各回の(画像の)下に。また、小論文問題はキーワードとなりそうな言葉だけ記しておきました。
なお、過去問の転載は禁止とされています。
■第10回過去問の答
[問題3]
1,問ⅰ.①和銅六年(713年)
②元明天皇 ※天智天皇の第四皇女子(女性天皇)
問ⅱ.①霊亀元年(715年)※成立時期については諸説あります
②楽浪河内 ※播磨大目(国司の一人)
問ⅲ.十四の丘伝説
4,①徳川家康血縁の女子が正室または実母
※池田家:輝政の正室が家康の次女「督姫」、本多家:忠政の正室が家康の孫娘「熊姫」(熊姫は織田信長の孫娘でもある)、奥平松平家:忠明の母が家康の長女「亀姫」
②姫路地域は西国の要衝、信頼できる実力者を藩主とした
7,安志藩、林田藩
8,・近隣市町村との合併 ・大手前通りの建設
・姫路駅の建設 など ※現JR姫路駅は民間資本の投資もあり「民衆駅」とも呼ばれました。
[問題4]
1,①和辻哲郎 「自叙伝の試み」
②椎名麟三 「美しい女」
※燐寸工場や宇治川電鉄(現山陽電車)も登場する自伝的小説は「自由の彼方で」。
他に案内人が読んだその頃の姫路が舞台となる小説は、宮本百合子「播州平野」、吉村昭「遠い日の戦争」など。いずれも戦後の姫路の様子がよく分かります。
[問題5]
1,明珍火箸、姫革(白なめし)革細工、しらさぎ染め、姫路仏壇、姫路独楽、姫路張子玩具 から五つ
※兵庫県の伝統工芸品のひとつ、”和ろうそく” も当初は姫路藩の藩業として製造されていましたが、戦後に西宮に移っているようです。”ろう”の実がとれるハゼノキを市川土手に植えたのも河合寸翁の財政改革戦略の一つとか。
[問題6]
1,①六根清浄
②眼、耳、鼻、舌、身、意の六根が研ぎ澄まされ正常になる状態
※吉田兼好の徒然草(69段)に、書写の上人"六根浄(ろくこんじょう)にかなへる人なりけり" と記されていす。「どっこいしょ」 の語源だというのもこの言葉を調べていくうちに知りました。
ひめいちは世界を広げてくれるのです。
2,宮本武蔵、後藤又兵衛、荒木又右衛門
※「鍵屋辻の決闘」で有名な荒木又右衛門ですが、仕えたのは、池田忠雄、本多政朝、松平忠明と姫路藩主かゆかりの深い殿さまばかり。興味深いですね。
[問題7]小論文
■・姫路藩は、朝敵 罪第三等 ・播磨地域は文化が流入する交通の要衝
・播磨人は(知的)好奇心旺盛な気質
■第11回過去問の答
[問題1]
5,池田照政
※古新(古新丸) → 照政 → 輝政 という変遷のようです。元服以降~姫路入封後まで "照政” ということは、この名が最も長く使われていたんですね。
[問題2]
1,夢幻物語、村田出羽伝
※黒田家といえば貝原益軒の”黒田家譜” が有名ですが、この書に目薬長者伝説が記されていないのも、「目薬で大もうけって、ほんまのことかいな」と疑われる要素のひとつのようです。
[問題4]
2,①ロッククライミング
②弥彦山(新潟県)、英彦山(ひこさん、福岡県~大分県)
4,①牧野富太郎
②自生の北限(東限)
※参考テキスト姫路Bookの42頁に、のじぎくの里は紹介されているのですが、牧野富太郎のことはひと言も触れられていません。
ひめいちへの挑戦にはより深い学びが必要なのです。
[問題5]
2,一県一行主義
※常識力を磨け!の範囲ですね。
[問題6]
2,吉田忠左衛門、不破数右衛門、間瀬久太夫らの妻子、寺坂吉右衛門、その妻ら
※忠臣蔵問題は過去、結構出題されています。
[問題7]小論文
1,・白漆喰総塗籠 ・江戸期の築城当初、昭和の大修理後も
2,・渡来人や移住、来訪の伝承 ・「土の沃えたると塉せたると・・・」
・ヤマト王権との関係性 ・残存風土記(写本)は稿本なのでは!?
■第12回過去問の答
[問題1]
2,(ア)讃岐、(イ)筑紫
①いたりてすむ ②生き返った
※命を継いだから「継の潮」。今に残る地名「継」。
2020年10月、この記述を裏付ける建物跡が「登り田遺跡」から発掘されたと発表がありました。出題されてから5年も後のことです。
全くの余談ですがこのお話、ディズニーの「白雪姫」の日本版か!と思ったのは私だけ?
[問題4]
5,①夢あるまち ②さとう宗幸、島田歌穂
③播磨の里に伝説(つた)え伝えて ♪
6,県立大学人間環境学部の「ゆりの木会館」と「講堂」
[問題6]
3,①尾田龍 ②永井一正 ③丸投三代吉
4,あいさに=時おり、おんまく=力いっぱい、くらわす=一渇して黙らせる、いい格好をする=だてこき、久しぶり=せんどぶり、たくさん=ぎょうさん・ようけ・ごっつう・へらへと(などと、これはぎょうさんあります)
※「丸投三代吉」の生涯、画風を少し調べてみたのですが、凄いひとですね。にしても、このお名前って本名?。
[問題7]
1,※単発ドラマや映画の主人公であれば、たくさんいると思うのですが、大河の主役となれば、やはり「千姫」でしょうか。たぶん「千姫」ですね。いや、絶対「千姫」しかないでしょう!。(個人的見解です)
2,・廃藩置県 ・旧藩から「県」へ ・”姫路”は佐幕派の印象
・飾磨県~兵庫県との合併~分離独立運動も・・・
なお、各回の合格者数は、第10回がゼロ。第11,12回がそれぞれお一人ずつでした。あっぱれ!。
■演習問題
本番直前演習問題、大サービスで100連発!してみました。
実力試し、運試し?で、スケジュールの合間にやってみてください。
分からなくても自信はなくさないでください。実際に出題される確率は低いと思います。(運良く出れば、ラッキーくらいの気持ちで)
EXCEL からの画像としての貼付けなので見難いかもしれませんが、クリック(タップ)することで拡大可能です。右の欄が答です。
なお、各問/解答ついては(確認しているつもりですが)自己責任で取り扱いください。
■第20回姫路検定試験問題について('24年5月追記)
問題用紙をめくってまず目に飛び込んできたのは、
キター! ○×問題
前回の○×問題は第16回(’19年)だったのですが、正誤問題と言いつつ(全5問のうち)正しい文章は無く、しかも一つの問いに最大三つの間違いが隠れているという鬼問題でした。
今回もすべての問いに間違いが、と思ったのですがなんとのっけから正しい文がひとつ。
播磨国風土記誕生の経緯というひめいちとしては常識の範疇?、の問いでした。
ただし、次の問いは難問、六勝寺についての問題でしたがこの六勝寺、案内人は見たことも聞いたこともない。
でもWikipediaにはちゃんと載ってましたね、今は六つとも廃寺というのが辛いですが歴史好き、お寺マニアの方は分かっておられるのでしょう。
他は、小寺家の衰退、池田輝政の正室督姫の晩年などの問題で、注意深く読めば7~8割は正解できそう?。
問題1.はこの正誤問題に関連問題を合せて10問。
元明天皇と持統天皇の関係など、姫路、播磨と一見無関係と思える問いもあり、次に出て来る「平成中村座」の歌舞伎問題もそうですが、あらためてひめいちは幅広い知識が必要と再認識しました。
ちなみに元明天皇と持統天皇は異母姉妹であって持統天皇は元明天皇の姑(持統天皇の息子(草壁皇子)は元明天皇の夫)という複雑なものでした。回答欄には ”姉妹” だけでも正解とは思いますが。
あと、(案内人にとっての)難問は、家島諸島西島のコウナイ石。そのような岩があるらしいとだけは知っていましたが、イザナギ・イザナミにまつわる伝説までは分からない。まして淡路の沼島にも同伝説があるにいたってはさっぱり。
過去問の再登場は、灘のけんかまつりの七村の名前・シデの色(第13回)、ヴィクトリーナ姫路のスポンサー企業名(第15回)、姫路(城)をテーマにした歌(第12回)などいくつもありました。
やはり過去問はきっちり押えておくべきですね。
最後の小論文は姫路にゆかりの3つの「日本遺産」について。
ひめいち挑戦者であれば当然ご存知の内容と思いますが、これを限られた時間で300~400字でまとめるのは結構たいへん。やはりリテラシー能力
(Vol.7 金木犀号参照)を日頃から鍛えておかなくてはいけません。
以上、令和5年第20回ひめいちの問題から感じたことでした。
□ あとがき
姫路文学館 ”ことばの森” で出会った言葉です。
外向きには「姫路検定1級に楽しく挑戦しよう」がコンセプトでしたが、自分自身に対しては、この言葉をひめいちを続ける上で忘れないでおこうと決めたものです。(むずかしいことは、書こうと思っても書けないのですが)
さて、創刊号から今号(Vol.10)まで、長々のご愛読ありがとうございました。半年間のお付き合い?でしたが、ひめいちに挑戦しようとしている方、姫路・播磨が好きでひめいちにも興味があるぞ、という方に対して少しでも参考になったとすれば、案内人として嬉しく思います。
このひめいちシリーズ、閲覧していただいた方は延べ2000を超えました(’24年5月現在)。たくさんの方にご覧頂いています。
でもそれ以上にネットの良いところは残ること。
来年、数年後の挑戦者にもお役に立てるかも知れませんし。
おひとりでも参考にしていただければ、Good Job!なのかなと、自分で納得しています。
最後になりましたが、
姫路商工会議所さんには、発行にあたって過去問の転載や受験者データのご提供など、こころよく了承していただき改めて感謝申し上げます。
にしても、姫路検定試験の歴史は18年!。神戸学検定や赤穂「忠臣蔵」検定、最近では江戸文化歴史検定など、身近な、有名なご当地検定が次々と消えていく中、続いていることは、われわれ姫路・播磨の文化や歴史好きにとって嬉しい限りです。心のよりどころといっても大げさではありません。
主催者さん側に感謝&あっぱれ!です。
最後に、ひめけん受験者の方々のご健闘を心より祈っております。
ありがとうございました!。
□ ひめいち Back Number
・ 【創刊号】 ◇合格率2.6%の姫路検定1級に(楽しく)挑戦しよう!
・【Vol.2 紫陽花号】◇奇跡のご当地検定試験を考える
・【Vol.3 梔子号】 ◇ひめいちに登拝しよう
・【Vol.4 七夕号】 ◇続けることの大切さ
・【Vol.5 向日葵号】◇イマドキのひめいち勉強法
・【Vol.6 鷺草号】 ◇ひめいち 座右の書
・【Vol.7 金木犀号】◇ひめいちリテラシー
・【Vol.8 曼珠沙華号】◇ラスト三ヶ月をどう過ごす
・【Vol.9 秋麗号】 ◇こんなところに教材が
□姫路検定過去(受験者数/合格者数)データ
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