ひめいち 【Vol.4 七夕号】
◇続けることの大切さ 難しさ
■持続可能から持続必然へ
一歩ずつ。それ以外に、何かを達成する方法はない Michael Jordan
「小さなことを積み重ねることが、とんでもないところへ行くただ一つの道」と語ったイチローさんはじめ、世界のトップアスリートたちが同様のことを言っています。
スポーツの世界だけに限らないこの名言は、あらゆる立場の挑戦者たちを勇気づけてくれます。しかし、
例えば、進学を目指しているのであれば、学校や塾などでの定期考査や模試、実力テストなどで自分のその時点のレベルが確かめられ、弱点も否応なく気づかせてくれます。
一般的な資格試験では公式テキストなるものがあり、受験前の対策講座でヤマの張り方や今回の重要ポイントなどを教えてくれたりします。ネットにもたいていの場合、親切な先生方?がおられて懇切丁寧に導いてくれます。
然るにこのひめいちときたら・・・
そう、な~んにもないのです。
でも、自らのペースで好きなことを学んでいる、というのが唯一の救い。
好きなことを高いレベルで修行を、精進を積んでいるのです。
アマチュアであっても、長年ギターを弾いているとか、こどもの頃から趣味で将棋を続けていて、いつのまにか凄いレベルになっている。
周りにもいますよね、そんな人たち。
一歩ずつでも前に進むこと、積み重ね続けること。やはりこの道しかないようです。
小さなことからコツコツと、ですぞ。
前号に続いて、ひめいち勉強方法のご提案、part2からは、実践編です。
■勉強方法のご提案(part2)何もないなら創りましょう
普通の資格試験であれば、勉強の基になるテキストがあり、問題集も多くの場合あるのですが、ないんですねここでは。
道なき道を行かねばならぬなら、つくってしまえば良いであろう。かっこつけすぎでしょうか。
前回の勉強法基本編で道のアウトラインとなる計画をつくりました。
次は舗装です。
テキストがなければ自分でつくる。問題集が必要であれば、自作でつくってしまいましょう。問題づくりはその事柄そのものだけではなく、周辺もある程度理解しないと出来ません。憶えるという効率が増幅します。
問題集の土台となるのは、とりあえず2級までの公式テキスト「姫路Book」でしょうか。このテキストの内容から発想を膨らませ、類推力をフルに発揮し問題になるネタを探します。
例えば、 "世界遺産" というWordがあったとして、
世界遺産>世界遺産条約>正式名は>「世界の文化遺産および自然遺産の保護に関する条約」・・・(実際に第15回で出題された問題です)
他にもネタ元は、参考になる書籍、新聞の地域版の記事や観光パンフレット、セミナーなどで入手した資料、いつか訪ねた名所旧跡神社仏閣の現地で見た案内板等々。
そうそう過去問にしても見方を変えればネタの宝庫となります。
ただ、なんでもかんでもやみ雲に取り込むのは無理ですよね。脳内の海馬がどうにかなってしまいそうです。
で、大事なのは、そのネタがひめいちの問題になりそうかどうか、ということ。
うまく表現できないのですが、察知能力、問題感知のセンスとでも言えば良いのでしょうか。
「そんな能力、どこ行ったら売ってるの?」とか言われそうですが、生まれつきとしか言えません・・・
ではアドバイスになりませんね。
これは経験値を積み重ねるしかないと思います。
ひめいちの過去問をできる限り多く読み込む。他の同様の検定試験を参考にする。自分が出題者だったら、この新聞記事のこの部分を問題にするなど。
そして、実際につくってみる。たくさん。
ひめいちレベルの問題をつくるのは簡単ではありません。
初めのうちは、自作問題を後から読み返して「なんやこのへんてこ問題」って思うかも知れませんが、数をこなしているうちにサマになってきます。なってくるはずです。
問題集とテキスト、自作でどちらかをつくるとすれば、問題の方が効果的でしょうか。
問題をつくるとき、解くとき、両方で学べます。単純な理由ですね。
案内人は Excel でつくっています。Excelは表計算アプリというイメージが強いですが、用語の検索や、セルの並び替えや移動、シートの使い方など便利で強力な使い方がたくさんあります。
(Excelに慣れておられない方には申し訳ありません。なんのことやらわからないですよね。でもこの機会についでにこれも習得されればいかがでしょう。上記くらいであれば決して難しくはありません)
自作問題をつくるかどうかはお任せしますが、
常日頃からアンテナを張り巡らせて、新聞を読むとき、ローカルニュース・番組を見るとき、神社仏閣名所旧跡を訪ねたとき、「これ、問題になるんちゃうかな」と思うことは、チェックしてメモ書きなどをしておく。
そんなときはいつも問題感知センサーをONにしておく。
問題感知能力を鍛えるのは合格へのキーポイントなのです。
道路舗装と行ってもハイウェイは必要ないです。登り坂あり、回り道ありのマイウェイをつくってください。
ただ、目指す最終地点が "合格" なのかどうかは、また別のように思います。
"好き" から始まった学びの道は、尽きない好奇心、向上心を原動力に、持続可能から持続必然な学びへ成長させてくれるのではないでしょうか。
これができれば本物なのでしょうね。
■演習問題
たぶん、おそらく、ここでの演習問題がそのまま本番の試験で出題されることはないと思います。
姫路検定はそれほど範囲が広いです。
この演習問題作成者(案内人)のひめいち問題感知能力にもいささかの不安がありますし。
ただ、この演習問題に関連したり、ここから少し脇道にそれたり、かすったり、蹴飛ばしたり・・・は十分に考えられます。十分参考にはなると思います。
みなさんは、問題文から、解答例から少しでも疑問に思ったり、もっと知りたいと思ったことがあれば、範囲を広げて類推力を駆使して、どんどん調べていって知識を取り込んでください。
もし、ここの問題が気にいらなければ、「こんな問題でるわけないやろ~」と一蹴してもらっても構いません。あくまで自己責任で取り扱いください。
(過去、何度「こんな問題でるわけないやろ」問題が出題されたことか)
ひめいち本番の試験問題はどこから飛び出てくるか分かりません。"狭間" は矢鱈とあるのです。
以上、演習問題に関する前もっての言い訳でした。
では、いざ。
■演習問題の答
<姫路城と世界遺産>
1.・法隆寺地域の仏教建造物群(奈良県)
・白神山地(秋田/青森県)
・屋久島(鹿児島県)
なぜ、日本最初の世界文化遺産が姫路城、法隆寺だったのかと疑問に思ったことはありませんか?。
1992年の登録推薦時には、国内に11の推薦候補文化財があったそうです。
京都の文化財、白川郷・五箇山の合掌造り、厳島神社、日光の社寺・・・。
なのになぜ、姫路城と法隆寺が最初に選ばれたのか。
「最も優れた建造物だから、歴史上最重要だから・・・」だけではないような気がします。そんなことに思いを巡らせるのも興味深いです。
2.・法隆寺地域の仏教建造物群
・厳島神社
・日光の社寺
なお、この3件の他に登録条件(ⅰ)人類の創造的資質を示す遺産 が認められているのは、ル・コルビュジエ建築作品(国立西洋美術館)のみです。
3.①北海道・北東北の縄文遺跡群(2021年)
②百舌鳥・古市古墳群(2019年)
③長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産(2018年)
④「神宿る島」宗像・沖ノ島と関連遺産群(2017年)
⑤ル・コルビュジエの建築作品 (国立西洋美術館) (2016年)
⑥明治日本の産業革命遺産(2015年)
⑦富岡製糸場と絹産業遺産群(2014年)
⑧富士山 ー信仰の対象と芸術の源泉ー(2013年)
※文化遺産という出題条件に注意。昨年登録の ”奄美大島、徳之島、沖縄島北部及び西表島” は自然遺産になるので違います。
世界遺産に関するこの手の問題はよく出されています。
2013年(第10回)試験では、"それまでの国内世界遺産をすべて" との設問もありました。(答としては13件の遺産をすべて書かなければなりません)
どこまで憶えれば良いのかは、神のみぞ知る・・・ではなくて問題作成者のみ知る、でしょうか。
ちなみに今年(2022年)は、”佐渡島の金山” の登録が有望視されています。
世界遺産に立候補したのが2007年。世界遺産センターの暫定リストに掲載されたのが2010年ということですので、長年の念願がかなって、となるのですが、問題は今回の世界遺産委員会の開催地。
ロシア連邦のタタールスタン共和国カザンで予定されていましたが、UNESCOや加盟国が開催を認めるはずもなく延期になっています。(現時点で詳細は未確定)こんなところにも例の侵攻の影響が及んでいるのです。
やっぱり世界は平和でないと。
※2022年8月追記:”佐渡島の金山” の世界文化遺産への登録は、政府がUNESCOに提出した推薦書に不備があったということで、来年以降の推薦書再提出という形になってしまいました。
ここまで順調に来ていた日本の政界遺産登録ですが、ひとつ、つまづくと立ち直るのは、なかなかたいへんです。
<江戸時代の姫路藩>
4. ・本阿弥光悦 俵屋宗達
琳派なんだから尾形光琳と書きたいところですが、違うのです。
創始したのは上二人、大きく発展させたのが光琳。
われらが抱一、鈴木其一は琳派を江戸に定着させたとのことです。
5. ・一橋(徳川)家 夏秋草図屏風(風雨草花図とも)
抱一の最高傑作とされるこの絵は、尾形光琳の金屏風「風神雷神図」の裏面に描いたそうです。
将軍をも輩出した一橋家で、なんという大胆なことを!。
これも、大姫路藩の御曹司のなせるわざ!?。(抱一は藩主酒井忠以の弟です)
風神の裏に秋草、雷神の裏に夏草を描いたというセンスにも脱帽ですね。(現在は表裏別々の装丁で保存されており、どちらも国指定重要文化財)
6. ・享保の改革(1716~)/ 徳川吉宗 / 榊原政邦
・寛政の改革(1787~)/ 松平定信 / 酒井忠以
・天保の改革(1841~)/ 水野忠邦 / 酒井忠学
江戸の三大改革は中学・高校の入試にも出るような常識問題。
それに関連付けてその時の藩主も憶えてしまいましょう。
ついでですが、姫路藩の名家老、河合寸翁が亡くなったのは天保の改革が始まった1841年(天保12年)。姫路の藩政改革はとっくに終わっていました。
時代を先取りしていた河合寸翁という人物、もっともっと評価されても良いですよね。
<姫路あれこれ>
7.①ザクロ 平成25(2013)年11月に植えられています。
②バラ ”KIZUNA” と名付けられたこの薔薇、仏から東日本大震災の被災地にと贈られたものです。銀の馬車道から東北の被災地へ、150年の時の中で感動のストーリーがありました。
8.①【ペリカン】目 かつては "コウノトリ目" という説もあったらしいのですが、現在ではこちらで定着しているようです。
② ダイサギ、チュウサギ、コサギ
言われてみれば簡単!?。要するに白色のサギ科の仲間がシラサギと呼ばれています。アオサギも見方によれば白いのでシラサギと言ってもよいかもしれませんね。
またまた余談をふたつ。
(1) "しらさぎ" という名の特急列車が走っているのをご存じでしょうか。
名古屋~米原~金沢を結ぶ特急ですが、2024年春の北陸新幹線延伸後は敦賀が終点となるようです。代わりに姫路~金沢間での "しらさぎ" 運転とかになりませんかね。直通があれば便利なんですが、やっぱり無理か。
(2)サギの英名は、"Heron" 。山下達郎にズバリ "ヘロン" という名曲があります。今回の全国ホールツアーでもセットリストに入っているようですね~。
姫路城下で歌う”ヘロン”、この秋のアクリエひめじでのライヴが楽しみです!。♪
9. ・アカウミガメ ・アオウミガメ ・タイマイ
水槽の中で大きなウミガメが、ゆったり泳いでいるのをみてると癒やされます。
■MYひめいち物語(その四 も、もどかしいの巻)
を踏まえての今回は第14回姫路検定試験(2017年)。私にとって2回目のひめいち挑戦となります。
解りそうで解らない問題、この頃の姫路検定1級試験はそんな問題のオン・パレードでした。
脳内の海馬にも大脳皮質にも、どこにもない(ようするに憶えていない)のですから解るはずもないのですが。受験者としては打ちのめされたとか、爆沈させられた、とかではなく「再挑戦を待ってるよ~」的な妙な温かさともどかしさを感じたものです。
あの室津で平氏と源氏が交戦!?、そんなん知らんぞ。
けどこの頃、木曾義仲と源氏のなんちゃらがつるんで平氏と戦っていたことは知ってる。けど、大将は源氏のはずだから・・・。例のもどかしさです。
めったに回答欄を空白のままにすることはないのですが、この時は試験の開始当初ということもあり、巻き返しを期して空白のままにしたような気がします。
(答)①室山の合戦 ②源なんちゃら 源行家
源頼朝は河内源氏の六代目当主、源義朝の子。(義朝は播磨守経験者)
対して、この行家は同じ河内源氏の五代目当主、源為義の子。
義朝は為義の長男。回りくどくてすみません、要するに、この源行家は鎌倉幕府初代将軍源頼朝のおじちゃんてことです。
はい、行家は甥っ子(頼朝)に殺されることになるのです。
ひめいちではこんなことは憶えなくてよいと思いますが、”鎌倉殿の13人” を観る上では興味深い。(杉本哲太さんが演じていました)
①の、坂本城は分かるのですが、そこが今どうなってるかって?
自信はなかったのですが、ふつーそんな場所は「史跡公園」でしょ。
(答)①書写坂本城 ②史跡公園 住宅地になっている
住宅地!? も、もっと史跡とかは大事にしないと、ねぇ。
①・甲子の獄(姫路藩の殿さま派(佐幕派)が、尊王攘夷派を弾圧した元治元年(1864年)のできごと)
・戊辰の獄(明治元年(1868年)、逆に佐幕派を処罰したできごと)
は正解率90%以上のサービス問題(たぶん)。
けど、十干十二支の呼び方がもどかしい。"かっし" 、 "ぼしん" ではだめなんですよね。
冷静になれば、"きのえね" "つちのえたつ" が浮かんだのかも知れませんが、何しろ普段使わない言葉、「六十年に一度しか回ってこんのに・・・」などとブツブツ言いながら結局は不正解。
(答)①甲子の獄、戊辰の獄 ②きのえね、つちのえたつ
後から十干十二支を学びなおした次第です。考えてみれば常識問題でした。
千姫カテゴリーは勉強しているので自信ありました。よし、ここは満点目指すぞ。秀頼の子は誰とか、千姫の略系図とかの問1~4までは、まずまずだったと思うのですが、
どこの誰の手で落髪されましたか?。大相撲の断髪式でもあるまいし。
たぶんですが、受験者の99%が、「うへぇ~」って(心の)声をあげたと思います。聞こえましたもん。
しかしこれは、考えれば何か出てくるはず。そうだ、千姫の墓碑のひとつがある天樹院弘経寺(現茨城県常総市 "くぎょうじ" と読みます)に関わりがあるに違いない。
(答)①天樹院弘経寺の僧侶 下総弘経寺の住職 照誉了学 ②天樹院
僧の名前までは分かりませんでしたが、これは何点かもらえているはず(たぶん)。ま、試験の合否には関係なかったですけどね。
他の "もどかしい" 問いとしては、
わざわざ、"原文まま" としたのは、この問におそろしい罠が仕掛けられているからなのです。
観光施設が例としてたくさん書かれているのですが、よく見ると、ランキング上位のはずの ”好古園” が無いのです。ふつう問題文からピックアップして並び替えて1~5位までをと考えませんか?。
(答)1位:姫路城 2位:姫路動物園 3位:姫路セントラルパーク
4位:好古園(!) 5位:こどもの館
ちなみに私は「姫路市観光動向調査」(姫路市HP内)を読み込んでいたので正解でしたけどね。(遠回りに軽く自慢しています)
観光動向調査は毎年夏に公開されています。今年も要チェックですぞ。
またまた長くなってしまいますが、この回からもう一問だけ。
言いたいことがあるのです。
これですね、行ってたんですよ試験前の10月に文学館の司馬遼太郎記念室に。でもね、なかったんですよ掲げられた言葉とか。
ちょうど司馬遼太郎没後20年の記念イベント「21世紀”未来の街角”で」の企画で展示が変えられていたんです。
「ふむふむ、司馬遼太郎のお祖父さんは、英賀の出で、秀吉に滅ぼされた三木氏の家来の末裔かぁ・・・」とか展示を見ながらひめいち感知センサーをフルに働かせていました。
で、肝心の試験本番、"思いがこもった言葉" ってなんなんだ状態、しょうがないのでその辺で記憶のある言葉を書いときました。
(答)①祖父惣八は播磨人である (ホントの答)思無邪 ②心をありのままにあらわして、なんの飾りけもないこと(学研漢和大字典)
ひめいちが終わった後、もう一度確かめに行きましたが、イベントも終わっていて、ちゃんと「思無邪」(しかも結構大きな掛け軸)が掲げられていたのは言うまでもありません。
これ、実話でっせ。
(次回に続きます)
□次号予告
・勉強方法のご提案(part 3)イマドキのひめいち勉強法
・演習問題
・”MYひめいち物語”は、いよいよ佳境!
(その5 三度目の正直か、二度あることは三度あるかの巻(仮題))です
乞うご期待!
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