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新規事業担当者には偉大な経営者の経験談が役立つ。

新規事業では非常に多くの困難に出くわします。この困難への対処法として、新規事業立ち上げに関する書籍は多く出版されているので参考にはなるでしょう。しっかり読み込み、新規事業の経験をしながら、繰り返し読めば深い知見が得られますので自分自身に合った本は手元に置いておくのが良いです。

しかし、このような書籍で書かれていることは、ビジネスとしての原理原則というよりは手法でありテクニックです。残念ながらテクニックだけでは、困難が押し寄せたときや微妙な判断を迫られたときに決断ができません。

そのようなときに非常に参考になるのが偉大な経営者の体験談や古典的な経営学や思想です。

そのような体験談として例えば日経新聞の「私の履歴書」があります。実は私はあまり好きではありませんが、刺さる人には刺さるので、見たことがない人は一度目を通してみてもよいと思います。日経新聞では毎回小出しにエピソードが掲載されますので、まとまった情報として読みたい方は「特別編集ダイジェスト版 「私の履歴書」100人が教えてくれた人生を生き抜くヒント」を購入する手があります。

私が特に最近参考にしているのがファーストリテイリング(ユニクロ)の柳井 正さんの本です。「経営者になるためのノート」や「一勝九敗」など、非常に有益です。

なぜ柳井さんの本が有益に感じるかというと、3つの理由があります。
①アパレルといった日本では衰退とも思われる産業で成功していること
②意外にも若いときは内向的で無気力人間であったこと
③ドラッカーなどの本を経営の参考としていること

ユニクロを作り上げた大経営者であるにもかかわらず、大学時代は典型的な無気力学生だったとのこと。その後も、どちらかというとダメ人間的な道を歩んでいましたが、そこから大きく様変わりし、大経営者となっていきます。

ソフトバンクの孫正義さんや、楽天の三木谷 浩史さんなども大経営者ではありますが、孫さんは、とてつもない向上心があり、カリフォルニア大学(バークレー)に進学したり、三木谷さんはグレていても一橋大学、そしてハーバードといった恐らく凡人とは気力も頭の作りも違う人種だと思いますので、あまり親近感がわきません。

柳井さんも早稲田大学出身で、非常に優秀ではあったとは思いますが、それでも普通の学生と変わらない一面も多々持ち合わせています。良い意味で、「自分とあまり変わらない学生時代であっても、その後の生き方次第では、大きく成長できるんだ。」と思わせてくれるのです。

また、柳井さんはドラッカーを経営の先生であると述べています(参考)。経営者の中には我流で信念と体力で道を切り開いてきた。という方が多くいますが、それが凡人にとって再現性があるのか?と言われると、どうも怪しいように思います。

一方で、柳井さんの場合は、経営の原理原則として読み継がれているドラッカー経営を羅針盤としており、その結果、大きな成功を成し遂げています。天才的嗅覚でビジネスをやって大成功したわけではなく、やるべきことを地道にやって会社を成長させてきた。そういう姿勢は、非常に参考になると思います。

このように、私は柳井さんのキャリアが非常にしっくりきますので、その自伝を読むと「こんな偉大な経営者であっても、こんな失敗をしてきたんだ。」と勇気がもらえるのです。

人によって合う合わないがありますので、自分自身がしっくりくる経営者を見つける必要がありますが、新規事業を進めるうえで、メンターとも呼べる経営者を探してみることをお勧めします。

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