またどこかで
母の行きたかった珈琲店へ出かけた。
2階の窓際のカウンター席で、暑かったので窓は全開になっていた。
目の前には川が流れていて、遊覧船が通りすぎる。
1日中運転していたのでちょっと疲れてて、景色が良いのと涼しい風が入ってくるのとで、寝そうだった。
お客さんは母と私と、1つ席を空けて多分私と同世代の女の人の3人。
のんびりカフェオレを飲んでいたら、1つ席を空けて座っていた女の人に、「すいません、隣良いですか?」と声をかけられた。
全く断る理由なんてないので、「どうぞどうぞ」と席を勧める。
「こっちの方が、外の景色が見られるかなと思って」と女の人が言うので見ると、確かにさっきまで座っていた席は、目の前が壁で「本当ですね」と思わず呟いた。
母なんかは慣れたもので、「こっちの方が風が通りますよね」と私を挟んで世間話を始めた。
聞くと他県から旦那さんの家へ、結婚の挨拶にいらっしゃったようで、帰るまで休憩しているようだ。
わお、すごいタイミングでお会いしましたね。
女の人は、旦那さんの家へ泊まってすごい緊張して、終わってほっとしたとこぼしていた。
母は「大変でしたね~」と力強く共感している。
そんなこと私たちが聞いて良かったのかな。
でも、名前も知らない、今後たぶん会うことがない他人の方が話しやすい事もあるのかなと思う。
おめでたいなとか考えながら、目の前を遊覧船が通っていくのを眺めると、船頭さんとお客さんが手を振っている。
え?何?こっちに振ってるよね?と3人で笑いながら振り返す。
名前も知らないし、今後会うこともないかもしれないけれど、楽しい時間を一緒に過ごさせていただきました。
本当におめでとうございます。