アルカシルカ [実像と虚像] 考察
イントロダクション
はじめに
アルカシルカが創り上げたものには「全てに意味がある」と考えるべきである。アルカシルカのおっちょこちょいで生まれたものもあると思うが、それにも意味があると私は思っている。
全てを信じ、全てを疑わず、全てを確かめる。
それが私のアルカシルカに対するアティチュードである。
VINYLとDIGITAL
本作では明確にVINYLとDIGITALが分けられてリリースされた。DIGITALはローンチ時には音量バラバラ問題が発生していたが、それもアルカシルカらしくて非常に微笑ましかった。
ちなみに1stアルバム「不条理不協和音」はジャンルが「メタル」のまま配信され、リリース直後にはApple Musicの「メタル部門」の上位にランクインするという、本当にメタルが好きな人にとっては何が起こっているのか全く分からない現象が起きた。
まずはVINYLとDIGITALの収録曲を並べて比較検証してみる。
① 収録曲が異なる
VINYLには「実像」が、DIGITALには「虚像」が収録されている。もちろん内容は異なる。
この「フィジカルとデジタルの内容が異なる」という手法は、ストリーミング配信サービスがより一層台頭していくであろう現代社会において、一つの答えになり得るのではないかと、私は思っている。
② 同じ曲名でも内容が異なる
「とある話」がVINYLとDIGITALでは全く内容が異なる。VINYLに至っては同じタイトルの曲が2曲収録されており、内容も異なる。
ちなみにDIGITALでは「コマーシャル1」「コマーシャル2」と表記されているが、これは配信サービスでは同一リリース内で同タイトルの曲を配信することが出来ないため、便宜的にナンバリングしただけであって、大きな意味はないと思われる。
さらにちなみに、本作の配信ディストリビューターはBIG UP!を利用しているが、これは配信先を自分で選ぶためであると思われる。Spotifyで配信をしない理由はアルカシルカがステートメントを発表しているので確認していただきたい。
③ 告知映像にヒントが?
本作リリース前に公開された告知映像がある。
この告知映像内でサンプリングされている曲が
VINYLでは「とある話」と「とある話」
DIGITALでは「とある話」
となっており、この「とある話」が何かしらの重要な意味を持っているのではないかと推測される。
ジャケット・アートワーク
VINYLとDIGITALのジャケットに何か相違点があると思ったが、私には見つけられなかった。
ちなみに壁に飾られている絵は1stアルバム「不条理不協和音」である。
VINYLのパッケージはオモテ面とウラ面では配置が反転している。しかしただ反転しているわけではなく、オモテ面では部屋の真ん中にある焚火がウラ面ではなくなっている。窓から差し込む光から推測するに、オモテ面は夜、ウラ面は昼、ということだと思われる。
だから何だと言われても、今のところ私にはわからない。しかし冒頭に記載の通り、これにも意味があるはずだ。
こめられた(であろう)思い
1stアルバム「不条理不協和音」では、ジャケット・アートワーク・曲構成から無限・エンドレス・終わらないもののような意図があったが、本作はどうだろうか。
まずはタイトル。「実像と虚像」
英語タイトルは「Non-Fiction & Fiction」
先ほど重要な意味を持っているのではないかと推測した「とある話」
英語タイトルは「Him & Her」
曲タイトルを安易に英語にしたわけではないことは明確である。
また配信サイトのまとめページにもヒントがあった。
また本作ではVINYLのブックレットには、意図などが前作よりも明記されている。そこではブックレットの白い鳥と黒い鳥のアートワークに言及している。鳥が2匹並んでいる。ブックレットのオモテとウラ、またレコードのレーベル面も反転している。そもそもブックレットがオモテからとウラからで読むような作りになっている。
そしてそもそもが、レコードというものは裏と表があるものである。
本作では「対」というものがアルカシルカの何かしらの大きなメッセージではないかと推測される。
2つで1つということなのか、1つのものでも2面性があるということなのか、同じものでも見方によって異なる、ということなのだろうか。明確な意図は現在の私にはわかっていない。
Just drop the needles.
VINYLのパッケージに大きく記載されているこの文言。
レコードのマトリクスにも刻まれているこの文言。
もうおわかりであろう。
「意味がないわけがない」
これはブックレットの「雑感」でも言及されている。
「針を落とす」というのは比喩であり、非常に人生においての刺さる言葉が記載されているので、VINYLを手にした人はぜひ目を通して欲しい。
この言葉は、今現時点ではあなたの胸に刺さらなかったとしても、いつか必ず刺さる日が来るはずだと私は思う。
アルカシルカの2ndアルバム「実像と虚像」
たくさんの人が聴いて、見て、実際に手に取って、思う存分楽しんで、考えて欲しいと心から思う。
アルカシルカは、もう次のことを考えているだろう。
また私をワクワクさせてくれることに違いない。