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デジタル時代のアーティストを応援する方法を考える! (DSP,SNS,YOUTUBEなど)
2009年に設立したSWEET SOUL RECORDSを運営する日々の中で、ここ数年の日本の音楽業界におけるデジタル化の加速をひしひしと感じています!アーティスト・レーベル側も音楽・情報の届け方が変化しているので、ファンの皆さんにもそれに合わせた新しいアーティストサポート方法が生まれています。
デジタルネイティブの人には当たり前のことばかりかもしれないのですが、フィジカル世代の皆さんも視野に入れて、2020年代のデジタル時代のアーティストのサポート方法を私なりに初級〜中級として提案してみようと思います。何気なくアクションしていることがどうアーティストに貢献してるかという部分にも着目してみてください!
デジタル時代の音楽の楽しみ方
デジタル時代の音楽の楽しみ方とは何なのか、以前と何が違うのか。
圧倒的に違うのは、アーティストから発信されるインターネット上におけるコンテンツ・情報量だといえます。
また各アーティストがそれぞれのSNSを実際に見ている場合もあり、コメントをくれたり、いいね!をしてくれたりとアーティストとのコミュニケーションもできるようになりました。
例として現在Nao Yoshiokaが使っている様々なプラットフォームを確認してみましょう。彼女は音楽アーティストですが、楽曲に関する情報、曲のストーリー、ライブの様子など多岐にわたって本人及びレーベルチームが制作しています。
Spotify・Apple Music・Amazon Musicなどのストリーミングプラットフォーム
楽曲だけではなくプレイリストなどもアーティストから発信されています。
https://open.spotify.com/playlist/2VFKjt0Vr7uE5wtM6Ql61K?si=fb247216214d4c62
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Instagram・Facebook・TwitterなどのSNSサービス
画像より動画中心のコンテンツ。ストーリーズ・リールなどでの投稿も増えています。
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YouTubeなどの動画配信サービス
ショーツ・コミュニティ投稿などで週に何回か情報を発信。月に1本は新しい動画を公開。
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ニュースレター
ライブやリリースなどのタイミングで、世に出ていない情報をいち早くファンの皆さんに伝えます。
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Patreon メンバーシップサービス
未公開・製作中の楽曲の情報、BTS(Behind the Scene)、ファン限定ライブストリーミングなど、会員先行・限定公開コンテンツを週に1回更新。
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各プラットフォームに特化したこれだけのコンテンツが楽しめます。それではこのデジタル時代において、どのようにアーティストをファンがサポートしていくとよいのかご提案していきたいと思います。
デジタル時代の音楽アーティストをサポートする方法とは
従来のCDやバイナル、ツアーマーチ、アーティストグッズを直接的に購入することや、ライブに行くことなどに加えて、スマートフォンで簡単にできるアーティストサポート方法があります。各サポートがどのようにアーティストに貢献しているかを踏まえ、それぞれのサービスをご説明します。
Spotify・Apple Music・Amazon Musicなどのストリーミングプラットフォーム
SpotifyでPre-SaveまたはAppleでPre-Addする(貢献度★★)
リリース後にたくさん楽曲を聴く(難易度★★★★★)
アーティストをフォローまたは楽曲をお気に入りに入れる(難易度★)
アーティスト・楽曲をシェアする(難易度★★★★)
プレイリストを作る(難易度:★★★★)
ストリーミングサービスでのアーティストサポート方法はいくつかあります。
1. SpotifyでPre-SaveまたはAppleでPre-Addする(難易度★★)
配信前のアルバムやシングルを事前に予約できる機能で、リリース前にしておくと配信開始後にライブラリー・プレイリストに自動で追加され、いち早く楽曲をチェックすることができます。
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このアクションをファンの皆さんがすると、アーティストはリリース時に着実に再生をされることが約束されます。各プラットフォームでの楽曲の反応がいいと評価され、アルゴリズムがいい方向に働いたり、プレイリストに追加される確率が高まると言われています。自分の応援しているアーティストが、皆さんのワンクリックで世界中のプレイリストに追加されるチャンスを得られるのです!
実際に私達がキャンペーンで使ったのはこのリンク。
ぜひプリアド・プリセーブをしてみてください。
https://naoyoshioka.lnk.to/TYO2020
*リリース後はそれぞれのプラットフォームリンクに変更されます。
2.リリース後にたくさん楽曲を聴く(貢献度:★★★★★)
当たり前すぎるのですが、分かりやすいサポート方法です。とにかくリリース後はたくさん楽曲を聴く。Spotifyのようなストリーミングサービスでは、各プラットフォームで1再生ごとにアーティストに支払われる単価が決まっており、再生回数に応じてアーティストに還元される仕組みになっています。ジャスティン・ビーバーが聴いていなくてもかけておいてね!とつぶやいて話題になったほどです(苦笑)。
Spotifyの再生単価は0.17円程度、100回再生されて17円、1日10回再生されたら1ヶ月で300再生→51円。なかなかシビアな数字で、これならグッズ買った方がよくない?と思う方もいらっしゃると思いますが、リリース時に再生回数が増えれば増えるほど、大きなプレイリストへの追加の可能性が高まるので、アーティストの認知度がより高まる可能性があります。リリース時以外も定期的に聴いているリスナーがいることは、後のアーティストのプラットフォーム上での評価に繋がっていきます。
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アーティストが提供しているプレイリストを聴くこともサポートに繋がります。アーティストが好んでい聴いているアーティストとの関連性が生まれやすくなります。
3.アーティストをフォローまたは楽曲をお気に入りに入れる(貢献度:★★★★)
各プラットフォームでアーティストをフォローしたり、楽曲をお気に入りに入れましょう。新曲がリリースされた際に、着実にアーティストは、新曲を届けられるようになります。また各プラットフォームでのアーティスト・楽曲の評価があがることで、より多くの人々にアーティストの楽曲がレコメンドされ、再生回数が伸びることに繋がります。
4.アーティスト・楽曲をシェアする(貢献度:★★★★)
前述しましたが、アーティストとコミュニケーションができるデジタル時代において、楽曲をシェアすることは言わば従来のファンレターのようなもの。こちらの機能は各プラットフォームで充実しているので、感想とともにInstagramやFacebook、TiktokなどのSNSでシェアしましょう。Spotifyのような音楽ストリーミングサービスはこうしたシェアの数や外部からの流入数を計測し、アーティストの評価にも使っているという話もありますので、みなさんのシェアがアーティストのプラットフォーム上での評価に貢献することになります。
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5.プレイリストを作る(貢献度:★★★)
応援しているアーティストの楽曲が含まれているプレイリストを作ってみましょう。ご自身の好きなアーティストと組み合わせるも楽しいと思いますが、アーティストが喜ぶプレイリストは、アーティスト自身が好き、または影響を受けているアーティストたちとのプレイリストをつくることがサポートに繋がります。
Instagram・Facebook・TwitterなどのSNS
いいね!する(貢献度:★)
コメントする(貢献度:★★)
保存する(貢献度:★★★)
シェアする(サポート貢献度:★★★★)
Q&Aに参加する(貢献度:★★★)
ストリーミングライブに参加する(貢献度:★★★)
バッジやスターで投げ銭する(貢献度:★★★★★)
SNSでのアーティストのサポートの仕方に、基本行動と各プラットフォームの機能を使ったものがあります。ここではInstagramを中心に展開していきます。
まず最初のステップは、好きなアーティストをフォローするところから。このフォローを前提として、できることやそれに対して効果をお伝えしてきます。
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1.いいね!する(貢献度:★)
いいねが多い投稿はより表示が多くなり、多くの人々に見てもらえるチャンスに繋がります。アーティストも単純にいいね!が多いとうれしいですよね。
2.コメントする(貢献度:★★)
投稿にコメントが多いことで、プラットフォームにおける表示優先度がさらに高くなります。
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3.保存する(貢献度:★★★)
自分が好きなコンテンツを保存しましょう。
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4.シェアする(サポート貢献度:★★★★)
ストーリーズ機能などを使って、アーティストの楽曲や投稿をシェアしましょう。他の人が投稿された楽曲を聴いたり、ライブを見に来てファンになる可能性を秘めています。
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1−4はSNSでの基本行動です。皆さんも見たらいいね!だけでもいいのでアクションしてみてさい!
5.Q&Aに参加する(貢献度:★★★)
Instagramのストーリーズなどの機能を使ってアーティストが皆さんに質問を投げかけることがあります。皆さんからの質問への返信にアーティストがさらに返信をすることによって、新たなコンテンツを作る機会を提供することができます。
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6.ストリーミングライブに参加する(貢献度:★★★)
ストリーミングライブに参加してアーティストとの交流を深めましょう。
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7.バッジやスターで投げ銭する(貢献度:★★★★★)
ストリーミングライブや投稿に対して、プラットフォームによっては投げ銭機能があります。分かりやすくアーティストに対価を送れる機能です。
5-7は各プラットフォームの機能を利用してサポートする方法ですので、それぞれの機能をぜひ使ってみてください!
YouTubeなどの動画サービスについて
動画を何度も再生する・長時間見る(貢献度:★★★★★)
チャンネル登録する(貢献度:★★★★)
プレミア公開に参加する(貢献度:★★★★)
Super Chatで投げ銭する(貢献度:★★★★★)
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YouTubeもSNSサービスに含まれるのですが、課金という意味では音楽ストリーミングサービスと同様に、アーティストにとって重要なプラットフォームといえます。
前述した基本行動の1-4、いいね!、コメント、保存、シェアのルールは一緒ですので、下記の通りサポートしてみましょう。
1.動画を何度も再生する・長時間見る(貢献度:★★★★★)
音楽ストリーミングサービスと同様、再生される回数によってアーティストに支払いが行われるプラットフォームです。YouTubeは質の高いコンテンツを評価し、各ユーザーへの表示の優先度を決定します。中でも関連性の高い動画を見ている不特定多数の人に表示する「おすすめ」は、動画が高く評価されている場合に起こりやすく、その指標として再生時間、回数は大きな指標となります。この動画はその「おすすめ」が働いた事例です。
2.チャンネル登録する(貢献度:★★★★)
新しい動画が公開されると通知がいくためチャンネル登録者が再生をしやすくなることもあり、一度に多くの人々に動画を見てもらえる可能性が高くなり、より「おすすめ」に表示される確度が高まったり、再生回数が伸びていきやすくなります。
3.プレミア公開に参加する(貢献度:★★★★)
YouTubeは動画公開時の「初速」が重要視されるプラットフォームと言われ、視聴者が動画公開のタイミングをリアルタイムでチャットをしながら同時に楽しむことができるプレミア公開に参加することで、動画公開時の初速が早まってより表示の優先度が高まり、上述の「おすすめ」に表示される可能性も高まります。
4.Super Chatで投げ銭する(貢献度:★★★★★)
プレミア公開やライブストリーミングでのコンテンツへの評価を課金という形で表すことができます。一生懸命作ったコンテンツから収入を得られることはアーティストにとっての励みになります。
いかがでしたでしょうか?皆さんの何気ないいいね!やコメントなどのアクションのひとつひとつが、アーティストに貢献していることを感じていただければうれしい限りです。
このデジタル時代におけるファンからのサポートについてNao Yoshiokaに聞いてみると、
「本当に支えられている感じがする、昔よりファンの皆さんとの距離が近くなったような気がする」
ととてもポジティブな意見を持っていました。
デジタル時代のアーティストで感じること(あとがき)
私の学生時代(2000年代初頭〜)にD'Angeloの『Voodoo』がリリースされ、当時の私はその作品に衝撃を受けてCDを買い、iTunesでもダウンロードし、それをiPodに入れて聴くだけでなく、ライナーノーツを見て参加アーティストなどをチェックしてMyspaceで繋がってみたり、YouTubeでアーティスト関連の動画を何度も見ていました。
またこのころはWinMXやNapsterなどの違法アップロード系のソフトが流行し、YouTubeもまだGoogleに買収されてない時代。アーティストたちが自身のコンテンツから収入を得られるような環境も整っていませんでした。
2010年以降はストリーミングサービスやYouTubeの課金サービスなどが確立されたことでアーティストたちが漸く、自分の権利を持つコンテンツから収入が得られるようになりました。これによってアーティスト・レーベル側でのデジタル化が一気に加速し、ファンとのコミュニケーションも劇的に進化しました。
2010年代後半、私自身がアメリカでアーティストのマネージメントやマーケティングを経験したことで、日本でのシステムの遅れなどを感じたことから、音楽におけるデジタルマーケティングサービスを開始し、2020年代というデジタル時代におけるアーティストの発信はどうあるべきかを追求しています。今回は発信する側として、アーティストにとっての理想的なファンの皆さんからのサポート方法について書くことにしました。
書き終えてみて、アーティストをサポート方法はたくさんあると感じつつ、デジタル時代はコンテンツを提供する側のアーティスト・レーベルも、それに反応するファンも大変だと感じたことも事実です。
IT業界出身ということで最新のデジタルに関する情報は率先的に取り入れている私は、こういったデジタルアクションがアーティストとの接点の基本となるのは理解できるのですが、アーティストは本業であるアートを磨く時間をSNSなどに取られすぎないでほしいという想いと、音楽においてはデジタルという数値化された世界では計り知れない指標があることをアーティストもファンの皆さんも忘れないでほしいということです。
再生回数を稼ぐために何かを作るのではなく、いい曲を作ったら再生回数が伸びた!が好ましい。再生回数が低くても人を信じられないほど感動させられる名曲があります。何千万という楽曲が溢れる中で、もちろん資本のあるアーティストたちは再生回数が多い傾向にあるのは、どの時代も一緒でオリコン上位にメジャー勢が集まっていることと一緒です。再生が低い=よくない曲ではなく、何千万曲ある曲から、まだ誰にも聞かれてないけど最高の曲を是非見つけて、シェアできることがデジタル時代における真の魅力なのではないかと私は思います。そういうアーティストも是非応援してください。
また音楽が本来持っている力は、デバイスではまだフルに表現されません。人生を変えてしまうようなライブ体験はデジタルの数値では計り知れません。なので端末上で音楽を完結せず、これからも直接アーティストに会いに、ライブにも足を運んでくださいね!
参考になったことを願っております!ぜひ皆さんなりのアーティストサポートを模索してみてください!