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【8/11開催】「VCに聞く、出資を受けたいと思ったら?」オンラインイベントレポート!

「北海道でスタートアップカルチャーが生まれる場所」をテーマに発信をするSpreadにとって「地方」は切り離せないキーワードです。

8月11日(水)、Spreadでは創業期のスタートアップから投資・インキュベーションを行う株式会社サムライインキュベート 平田拓己さんをゲストにむかえ、オンラインイベントを開催しました。

株式会社サムライインキュベートは、東京を拠点に創業期からシリーズAのスタートアップを中心に出資・成長支援を行っており、昨年からは中四国エリアの起業家支援を行うVCと連携した「地方」の創業者支援を推進する取り組みも進められています。

都市と地方の両方を知る平田さん、大久保さんのお二人に「VCから出資を受けるにはどうしたら良いか?」というシンプルな疑問を軸に、お話をうかがいました。

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平田 拓己さん:株式会社サムライインキュベート Investment Manager Investment Group

東京出身。甲南大学在学中からサムライインキュベートにインターンとして参画し、卒業後入社。新規投資や6号ファンドのファンドレイズをメインに従事。その後、キャピタリストとしてスタートアップへの新規・追加投資と投資先企業の成長支援に軸足をおきながら、ファンド出資大手企業とスタートアップのシナジーを生む支援活動も行う。 2020年には中四国エリアにて、起業家・シードスタートアップ支援を加速するため、中四国エリアの地銀系や独立系VCと協力しスタートアップ支援を行う「中四国 Startup Runway」を共同で立ち上げ。本プラットフォームを活用した中四国エリアスタートアップへの協調出資も実現させる。

大久保 徳彦さん:株式会社POLAR SHORTCUT 代表取締役 CEO

北海道帯広市出身。慶應義塾大学を卒業後、新卒でソフトバンクモバイル株式会社(現ソフトバンク株式会社)に入社し、プロジェクトリーダーとして多くの新商品企画や新規事業推進プロジェクトに従事。その後、動画制作のスタートアップ企業 Crevo株式会社にて、経営企画・人事・財務・新規事業開発領域をNo.2として統括。2020年4月に札幌へ拠点を移し、北海道の成長産業・ベンチャー支援をテーマとして株式会社POLAR SHORTCUTを創業。2021年4月にベンチャーキャピタルファンドを組成。

長 幸絵子さん(モデレーター):北海道札幌市出身。札幌学院大学在学中。アルバイトスタッフとして札幌市内コワーキングスペースで働きながら、社会教育事業やコミュニティ関連など複数のプロジェクトに広報・コミュニティ運営で関わっている。

アーカイブはこちらから▼
https://twitter.com/spread_hs/status/1425396526012981250

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VCに会う時に必要な初期装備って?

出資を得るために、とにかく足を動かそう!と意気込むも束の間、まずどこからコンタクトを取るのがスタンダードで、ディスカッションには何を用意しておく必要があるのでしょうか?無難にHPのお問い合わせフォームや、先輩起業家がいればその紹介など。約束を取り付ける方法は一通りではないのですが、最近ではtwitterのDMからコンタクトをいただくことも多いと言います。

〇まずどこに連絡すればいいの?

平田さん(以下、平田):(DMでは)失礼なんじゃないかと思う方もいそうですが、twitterのDMをきっかけに投資実行に至ったケースもあります。結構有効な手段なんじゃないかと思っていますね。

大久保さん(以下、大久保):確かに、少しずつDMからの相談も増えてくるようになりました。基本的に知り合いがいればそこから連絡を取るのが無難だと思うのですが、VCとの関係値が無い場合でも、僕個人としてはDMからの連絡で全く問題ないと思っています。

平田:わりとWelcomeな方比較的多いんじゃないかなぁ。

〇資料はどんなものを用意する?

平田:一番多いのはプレゼンテーションのピッチ資料みたいなやつですよね。なぜやるのか、誰がターゲットなのか、というサービスを立ち上げる「理由」みたいなところを詰め込んで、あとは市場規模も挙げたりして。基本的に必須の項目は無いですし、足りない所があっても構わないんです。話の中心になる所がしっかりまとまっていれば十分だと思いますね。

大久保:ピッチ資料って、ターゲット・課題・ソリューション・市場規模・事業計画をひと続きにまとめるのが主だと思うのですが、最後の二つはもっと話が具体的に詰まってからで良いと思っています。資料は、一番最初に自分に興味をもってもらうためのツールですから。これが無いとダメだ、というものもありません。

平田:相談に来る人の中には、まだアイデアレベルでピッチ資料も何も無い人もいます。その状態でも全然構わなくて、事業の進め方から一緒に相談させてほしい!という頼み方も有りだと思いますね。

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どんな事業にどう出資する?

VCにコンタクトをとり資金調達を目指すのなら、実際に投資実行に至ることになった具体例も気になりますよね。はじめまして!のファーストコンタクトから、投資検討に入る事業の特徴って?投資額の決定方法や、何度もディスカッションを重ねた後、最後の決め手になるものは一体何なのでしょうか?

〇投資検討に入る事業の特徴って?

平田:これはそれぞれのVCやキャピタリストにもよるのですが、僕の場合ターゲットが誰なのか、そしてターゲットがどういう行動をして、どんな課題があって、それを自社のサービスでどう改善するのか。その仮説が明確で、すでにヒアリングを進めている事業は、具体的な投資検討にもスムーズに進んでいる気がしますね。

大久保:見るポイントとしては全く一緒です。シード期であれば実績もプロダクトもまだ無い場合が多いですし、ターゲットの解像度がどれだけ高いかというのが重要になってくると思います。下手すれば資料とかなくてもいいんです。スラスラ言える、というかしっかり言語化ができていてディスカッションが出来ることの方が大切です。

〇最初の面談から出資が決定するまで

平田:サムライインキュベートは多分長い方かもしれません。大体2か月くらいですね。ただ、金額やステージによっては、キャピタリストが即決できるような枠組みも用意しています。

大久保:ポーラーショートカットでは投資実行の実績はまだありませんが、今お話させていただいている所をみたりするとやっぱり大体2か月くらいなのかな。ただ、初めて会った段階で必要な情報が揃っていたら1週間くらいでも可能だとは思います。なかなかそこまで固まっている人もいないと思うんですけど(笑)。

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平田:そうですよね(笑)。シード期に出資するVCに来る起業家さんって、そもそも出資を受けるのも初めてなケースも多いので、そこまで揃えるのは中々難しいですよね。

〇最後の決め手って?

平田:「その人がなぜやるか」「その人がなぜ勝てるか」という起業家自身にフィーチャーした理由付けは特に大事にしたいと思っています。最初の計画そのままに事業がスケールしていくことの方が稀で、その時でも起業家さんにブレない軸があったり、モチベーションの源泉になるものがあると、それだけで一つの強みなんですよね。

大久保:僕の場合、いかに起業家側が顧客の解像度を高く持てているか、というのが一つ。僕らはそのサービスの専門家ではないですし、良いサービスを作るために一番深い理解を得ていないといけないのは起業家さんの方ですよね。もう一つは、気持ちの話になってしまうのですが「もし僕らがここで投資しなくても、この人はこのサービスを何とかスタートさせるんだろうな。」という熱意を感じられるかが、最後に大事になってくるのかなと思います。

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出資後のアフターケア

起業家とVCは「出資を受けたら終わり」という関係性ではありません。むしろ、その後にVCが入る価値が詰まっていて、どちらかと言えばそこがスタートなのかも。出資後の起業家とVCの関わり方についてうかがいました。

〇出資後のお金の運用について。VCはどこまで関わるの?

平田:出資させていただく前に、出資後のお金の使い道をディスカッションするので、ある程度投資実施後の齟齬は無いようにしています。シードだからほぼ人件費に、というケースが多いけれど、そんな中でいきなりマーケティングにお金使います!と言われたら、ちょっと待って!って止めたりも(笑)。起業家さんと一緒に少しずつ擦り合わせていく感じですね。

大久保:キャピタリストによっても違うと思うのですが、僕は前職でCFO(最高財務責任者)的なバックグラウンドもあるので、お金の運用に関しては完全に並走した方が良いんじゃないかと考えています。例えばマネーフォワード(=会計ソフト)の権限を付けてもらって、かなり細かいところまで会計状況を確認したりとか。

平田:そうですね。実際、僕もいくつかの投資先で会計ソフトを共有してもらっていますし、そうでない所でも、毎月お金がどのくらい消えているのかは何らかの形で追わせてもらっています。手元にあるお金と事業の仮説検証の状況を見ながら、ブレーキやアクセルの踏みどころを起業家の方と一緒に検討させていただいている形です。

大久保:実際スタートアップの経営を見ていると、お金ってすぐなくなるんですよね(笑)。報告を待つのもリスクだと考えていて、ある程度余裕がある時期に動いていきたいです。

平田:事業タイプによってはお金の変動がすごく大きかったりするから、そこでまたヒヤヒヤしたり。

大久保キャッシュマネジメントの経験がない起業家さんもいると思いますが、そこのフォローアップもできるのがVCが初期から入るメリットの一つだと思います。

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〇お金以外で、出資後のサポートって?

平田:出資前は、ターゲットとサービスの提供価値について仮説の状態だったと思うのですが、そこが合っていたのかどうかを一緒に確認していきます。合っていないのならば、どう擦り合わせていくか、というディスカッションのサポートを定期的にさせてもらっています。

大久保:今後頑張っていきたいと思っている所なのですが、何らかの方法で直接売り上げに繋がるような支援ができれば、と考えています。マーケティングについての知識面でのサポートもそうですし、普通にお客さんを紹介するだとか。そういうシンプルな所も、初期のスタートアップでは必要になってくるのかな、と思いますね。

「地方」×「起業」

北海道と中四国。どちらも1次産業2次産業が栄える東京から離れた地方都市であり、「地方」と「起業」をキーワードにその強みや、二つの街の比較にまで話が進んだのが個人的には興味深いポイントでした。お二人の考える「地方でいま熱い業界」とは。

〇地方で起業するメリット

大久保:北海道で言えば農業、みたいに地方で強いビジネスってありますよね。そういうものをやるなら、当たり前だけど東京より北海道で、という考え方が一つ。もう一つは地方で活動する中で思ったことなのですが、同じ起業をするにも東京より地方でする方が、投資家の目について支援をしてもらいやすいんじゃないかと思います。東京だと大勢の中で生き残っていかなければいけないのものが、地方では母数が少なくて目立つのはメリットですよね。

平田:僕は中四国に行かせていただく機会が多いのですが、あのエリアは水産や製造業など北海道と同じく1次,2次産業が強いという特徴があります。東京にメーカーの本社があっても、実際に作業をするラインは地方にあることが多いですよね。東京では見えにくい課題も、地方なら気づけたり。現場に寄り添うからこそ新しいチャンスを掴めたりすることが、地方の強みだと感じています。

〇地方でいま熱い業界って?

大久保:僕の場合は北海道の特性を踏まえた話になるのですが、一つは農業や水産業などの1次産業。昔ながらのやり方で、大きな市場規模を持つものをどうデジタル化していくか、という所に注目しています。後はD2Cのブランドビジネスです。北海道は「素材は良いけど売り方が下手」と何十年も言われ続けているので、新しいマーケティングの売り方ができるスタートアップが増えていくと、もっと地方が盛り上がっていくんじゃないか、と思っています。

平田:中四国で特に力を入れたいと思っているのが、「製造業」と「建設業」です。やはり現場が無いとどうしようもない以上、東京から見えていないことも多いと思うんですよね。1次産業も2次産業も、最終的には手に取って買ったり、実際に住んだりしているけれど、その過程がどうなっているのかって僕らはあまり知らないじゃないですか。そこが壁になって、ビジネスを始めるには敬遠されるテーマだと思うし、実際その傾向もあります。長年課題が解決されず蓄積している状況で、まだまだチャンスが沢山眠っているんじゃないか、と思うんです。もちろん課題を探すのは泥臭く大変な作業になると思うのですが、そこを粘れる人にとっては面白い領域なんじゃないかと思います。

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最後に

平田:「これぐらいの考えでVCに会いに行ったら、門前払いされるんじゃないか」と思われる方もいるかと思うのですが、そこは臆せず色々な人にアタックして良いと思います。

「このサービスどうですかね?」という聞き方をしても投資家は顧客ではないので正確な答えを得るのが難しいかもしれません。でも、似たケースを教えてもらえたり、今まで狭く見ていた視野を広げるアドバイスを得ることができたりします。

自分だけで事業の壁打ちをしても、どうしても視野が狭くなってしまいがちですが、VCとのディスカッションの中で、新しく知ることも多いと思うんです。どんどんコンタクトをとって、サービスを深めていってほしいと思います!

大久保:VCのスタンスにもよると思うのですが、実際に資金調達をする段階でなく「今こういう事業を考えている」という状態で一度お話出来た方が結果として良いと考えているんです。

投資は一大イベントなので昨日会った人に今日投資する、というのが難しい。それよりは1年前から相談をくれていた人が、事業をつくってようやく投資できる!という状況の方が、人と人との信頼関係構築みたいな意味合いでも理想的ですよね。

VCやキャピタリストが遠い存在ではなくて、知り合いの中に何人かいる、という状況を作っていくのが良いんじゃないかな。「会いに行けるVC」じゃないですけど、地方ではそういうスタンスでいるキャピタリストの方は多いと思うので、あまりハードルを設けずに気軽にコンタクトしていただければ、お待ちしています!

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この他にも「顧客解像度を高く持つ起業家の特徴」「出資が決定するまでのディスカッションの内容」「実際に株式を何%所有することが多いのか?」という具体的なお話など。参加者からいただいた質問も交えながら、1時間のトークセッションはあっと言う間に終わってしまいました。

どうしても大きなお金の動く「出資」という一大イベントでありながら、最後にその決め手になるのは定量化できない「顧客解像度」や「想い」の世界。良い意味で、正攻法が存在しないからこそ、まずは色々なVCに当たり、何度もディスカッションを繰り返し、サービスと想いを深めていくのが良いのではないでしょうか。次回のイベントもお楽しみに。

文・いけだみほ

会いに行けるVC お二人のtwitterアカウントはこちら▼

平田 拓己さん
https://twitter.com/internet_boy53

大久保 徳彦さん
https://twitter.com/OkbNori


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こんなことを聞きたい!Spreadの運営に関わりたい!感想等々、ご意見をお待ちしています。 
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