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まっすぐ進み続ける新星スリーピース・DUCK POT 「大きい会場で大きい音を鳴らしたい」:sprayer Interview

2023年9月に結成されたスリーピースロックバンド・DUCK POT。歌心あふれるストレートなロックンロールサウンドと、近藤颯(Vo,Gt)の静かに熱情をたぎらせるような歌声を武器に、東京・神奈川を拠点とした活動を展開している。

2024年2月26日に初のEP『PROTO』をリリース。さらに9月7日に「ロックンロール」、10月5日に「LOSER’S HIGH」と2か月連続でシングルを配信するなど、結成以来足踏みせずに突き進み続けてきた彼ら。来年1月5日には、東京・下北沢ERAにて初のワンマンライブ『PROOF』を開催し、バンドの成長を証明してみせるという。メンバー3人に話を聞いた。


誰も欠けないスリーピースをやりたかった

[L→R] 高橋響平(Dr)| 近藤颯(Vo,Gt)| 秋井晴翔(Ba,Cho)

-結成の経緯を教えてください。

近藤颯(Vo,Gt):高校時代からバンドをやっていたんですけど、コロナ禍や大学受験で活動できなくなってしまって。大学に入って改めて、やっぱりバンドをやりたいと思って、同じ軽音部にいた晴翔を誘いました。その後半年くらい、ドラムが見つからなかったんですけど、母校である高校の軽音部のライブを観に行ったら、響平が叩いてて。あのドラマー良くない?ということでその日の内にご飯を食べに行って「やらない?」と。

高橋響平(Dr):僕は高校の軽音部で組んだバンドでライブハウスにも出たりしていて。その時はまだコピーバンドで、Adoさんとか椎名林檎さんとか、ちょっとオルタナ的なポップスやロックをやっていました。

-近藤さんと秋井さんはそれ以前から軽音部でともにコピーバンドをやったり?

秋井晴翔(Ba,Cho):いつも組んでました。ジャンルを問わず色んな曲をやってましたね。

-結成時はどのようなバンド像を目指していたのでしょうか?

近藤:スリーピースバンドがやりたくて。どのパートが欠けても足りなくなっちゃうような。そして、ちょっと男臭いというか、真っ直ぐなロック。元々、僕は飾った歌詞を書くのが得意じゃなかったので。

近藤颯(Vo,Gt)

-具体的にイメージしていたアーティストはいますか?

近藤:音で言うとSIX LOUNGEとa flood of circle。あと、こういうスタンスのバンドが良いよねとよく話してたのはSUPER BEAVERでした。

-ライブでは、UNISON SQUARE GARDENのカバーも披露していますよね。

近藤:高校2年生ぐらいから大好きで、(秋井と)二人で最初に話したきっかけも、僕がLINEのプロフィール音楽にユニゾンの楽曲を設定してたことでした。で、響平と初めてスタジオに入ったら……

高橋:僕がユニゾンのツアーTシャツを着てて(笑)。そういう繋がりです。いまやってる音楽とは全然違うんだけど。

-それぞれの個人的な音楽遍歴も教えてください。秋井さんはどのような音楽にハマってきましたか?

秋井:初めてハマったバンドはBUMP OF CHICKENでした。「ラフ・メイカー」を聴いて、そこからどんどん掘っていく感じで。すごい影響を受けましたね。ライブ映像を見ているうちに、裏でバンド全体を支えているドラムとベースの存在って凄いんだなって気付いて、高校1年生からベースを始めました。

-高橋さんはいかがですか?

高橋:音楽体験の第一歩は、幼稚園の頃に習っていたピアノでした。最初に好きになったアーティストは大瀧詠一さんや、山下達郎さん。そこから掘り下げて、中学の頃は国内外問わずR&Bやオールディーズに熱狂してて、Stevie Wonder、The Beach Boys、The Four Seasonsとかを聴いて。それからだんだん、ロックにもハマっていきました。THE BLUE HEARTSとかユニコーンとか、90年代前半くらいのロックが好きで、ギターにも触れるようになって。高校の軽音部でもギターをやろうかなと思ってたんですけど、めちゃくちゃ上手いメタラーのギタリストがいたので(笑)、これは無理だなと思って、ドラムを始めました。

-近藤さんは?

近藤:一番最初にハマったのは福山雅治さん。母がずっと好きで、車とか家で流れてたので。中学生の時からライブを観に行ってました。で、俺もギターを弾いてみようと思って、父が屋根裏に隠してたアコギを引っ張ってきて、弾き語りをやり始めました。高校1年生ぐらいから、知り合いがライブのオープニングアクトに誘ってくれたので、作詞作曲を始めて。

-ちなみに、DUCK POTというバンド名の由来は?

秋井:僕が付けたんですけど、(近藤と)二人で「鳥の名前を付けたいよね」って話になって。その中で、アヒルってあんまり気取ってなくて可愛いなと。で、語感が良くて、一発で耳に残る感じの名前がないかなって思った時に……「ジャックポット」って言葉があるなあ、「DUCK POT」にするかっつって。

-完全に語感で(笑)。

秋井:語感ですね(笑)。

-「TikTok」みたいな。

秋井:あと、「ほっともっと」とか。

秋井晴翔(Ba,Cho)


やっぱり曲が土台にある

-みなさん自身は、DUCK POTならではの魅力や強みは何だと思いますか?

近藤:ギターボーカルという立場から言うと、キーをあえて低く設定しているのが他と違うところかな。高音が綺麗なシンガーが多い中で、低音の魅力を出したいと思って曲を作ってます。

高橋:安心感がある、イージーリスニング的に聴きやすいような楽曲は特徴だと思います。

-仰る通り、ハイトーンでハイエナジーな音楽は依然として日本の音楽シーンの中心にあると思います。そういった流行へのカウンター意識はありますか?

近藤:いや、それは特に。やっぱり福山さんの、艶やかで大人っぽい声に憧れていたので。

高橋:結果的にカウンターになってるんだと思います。

高橋響平(Dr)

-楽曲制作はどのような流れで行っていますか?

近藤:基本的には、すべての楽器がある程度入った状態のデモを自分が作って、二人に送ります。各パートをそれぞれいじってもらって、スタジオで合わせて調整するみたいな感じですかね。

-秋井さん、高橋さんのお二人は、アレンジにあたってどのような点に気を付けていますか?

高橋:作曲者の意図は大切にした上で、楽曲に対して必然性があるフレーズかどうかを考えて。むやみやたらに増やしたり減らしたり、フィルイン単体がカッコいいから入れるっていうよりは、編曲的にこうでないといけない理由があるかどうかを見極めるようにしています。

秋井:そもそも彼(近藤)が作る音楽が大好きなので、あまり派手にやりすぎないというか、基本は送られたまんま演奏してはいます。ただ、ここでオクターブ上に行った方が気持ちいいとか、僕がやりたいと思ったことを入れたり。

-近藤さんは、作詞の面で大切にしていることはありますか?

近藤:一番は語感というか、歌ってて、聴いてて、耳馴染みが良い言葉をチョイスしたい。その上で、トラックを全部作り切ってから歌詞とメロディを付けていくので、曲の雰囲気に合った歌詞を入れていく。そこから自分の感情が乗ってきたら意味合いを足していく感じです。

-なるほど。ボーカルのキーの高さ、アレンジ、そして言葉選びと、音がスッと耳に入ってくることを重視しているんですね

高橋:やっぱり、曲が土台にある。それに、近藤さんがプロデューサー的な目線を持って作業できる人だなっていうのはすごく感じますね。

-というと?

高橋:曲として良くなればいい、バンドとしてカッコよくなればいいっていうのを常に考えて作ってくれてる。ベースやドラムのアレンジに対する提案はもちろんですし、ギターや歌についても、「自分が作ったから絶対コレ」とかじゃなくて、バンドとしてどういう風に曲を広げていくかを考えてくれてますね。

-バンドとしての在り方をすごく重視しているんですね。このメンバーでの活動には強い思いがあるのでしょうか。

近藤:もちろん僕が鳴らしたい音楽はあるんですけど、1年くらいこのメンバーでやってきて、響平のドラムはこの誠実さが強みなのかなとか、晴翔にはやっぱりライブでの見栄えを担ってほしいなとか、そういうことを考えながら曲を作るようにはなってますね。

-ライブや制作を重ねる中で、それぞれの輝けるポイントが見えてきた?

近藤:そうですね。まだまだ掴めていないところもいっぱいあるんですけど。

-ちなみに、3人が特に手応えを感じていたり、気に入っているDUCK POTの楽曲は?

秋井:新曲になっちゃうんですけれど、「LOSER’S HIGH」は今までで一番ベースが動いてて。一番悩んだし、レコーディングもめちゃくちゃ時間がかかったけど、だからこそ良いものが出来たと思います。ライブ映えする曲だし、音源でもライブと同じくらいの熱量が感じられる攻撃力の高い曲なので、気に入っています。

高橋:僕は1st EP『PROTO』に入ってる「カーテンコール」がすごく好きで。ボーカルの低くて温かい音域とギターの音が好きで。それから、8分の6のリズムが叩いててすごく楽しかったり。ポップス的な要素が出てるし、編曲とメロディ、作詞ががっちり噛み合った作品としてすごく好きですね。

近藤:このバンドらしさをちゃんと出そうと思って書いた曲が好きですね。いま選ぶなら、1st EP『PROTO』の「タイムマシーン」と、9月にリリースした「ロックンロール」の2曲ですかね。


新たなライブの勝負曲「LOSER’S HIGH」

-先ほど話題にも上がった10月5日リリースの新曲「LOSER’S HIGH」についても聞かせてください。まず、制作のきっかけは?

近藤:ちょうど曲を作るタイミングで、バンドを組む前から知っていた仲間との対バンがあって。ちょっとここは負けてらんないわということで、一つ強い曲を持っていきたいなと思って。2時間くらいで全部作り終わった気がします。

-衝動のままに作り切ったと。一方で、先ほど秋井さんはレコーディングで色々と悩んだと語ってらっしゃいましたが。

秋井:デモの段階では大体がルート弾きで、ライブでもそうだったんですけど、レコーディング前に「ベース変えない?」っていう話になって。(近藤と高橋が)二人でニタニタしながらパソコンで作った音源が、「なんじゃこりゃ」みたいな(笑)。そこから一週間猛練習したんですけど、自分が考えたフレーズをバッサリカットされたりして。最終的にはすごく良いものになったんですけど、ベースのレコーディングは時間がかかっちゃいました。

-秋井さんにとっても、成長のきっかけになったのでは?

秋井:これ弾けるんだなって、気付けましたね。

-歌詞についてはどのような内容になっていますか?

近藤:これも最初は語感で作っていって。僕も何もかもダメだなって気持ちになる時はあるんですけど。そういう時に励ます曲じゃなくて、一緒にとことん落ち込んでみようという気持ちで歌詞を書きました。最後まで救いがないし、ずっと暗いままで終わるので、これで大丈夫かなって思ったんですけど、晴翔が「カッコいいし俺は好きだよ」って言ってくれて。彼が「LOSER’S HIGH」というタイトルを付けてくれました。


バンドの現在地を示す初ワンマン『PROOF』へ

-来年1月5日には、東京・下北沢ERAにて初のワンマンライブ『PROOF』を開催します。開催を決めた経緯は?

近藤:結成当初から、1年後くらいには少し無理をしてでも大きいイベントを成功させたいって話してて。その上で、2年目、3年目と続けていきたいなって。ワンマンをやるには結構早いタイミングだと思うし、ワンマンの尺分の曲も集まってないけど、1年目でどこまでできるのかチャレンジしたい。バンドとしての力がどこまで付いたのか、証明したい。

-当日に向けての意気込みを教えてください。

秋井:無茶なことをしてるっていう自覚はあるんですけど、逆にここをやってのけられたらこの先も大丈夫だろうっていう気持ちがあって。だからこそ全力でやろうと思ってます。集客然り、練習然り。今持ってる力のすべてを出し切るつもりでやりたいなと思ってます。

高橋:高いハードルではありますけれど、やるからにはしっかり準備をして、絶対後悔のないようなライブにしたいと思ってます。ここまでの1年で積み上げたものをしっかり見せて、自分自身も成長できる一日にしたいです。

近藤:セットリストにこういう曲も欲しいよなみたいなことも考えて曲作りをしつつ、技術的な面はもちろん、見せ方も、ライブやスタジオで伸ばしていきたい。いつも、しっかりみんなで反省するんですよね。

高橋:LINEのノートに長文を書いて(笑)。

近藤:それを一回一回ちゃんと改善していく。DUCK POTのそのやり方はすごく良いなと思ってるので、残り3か月くらい、同じようにやっていきたいなと思います。

-では最後に、バンドとしての目標を教えてください。

高橋:もっと多くの人に聴いてほしいし、そのためにもっと聴きたいと思われる曲を作らなきゃいけない。バンドとして、もっと僕らの音楽を聴いてもらえると嬉しいなって思います。

秋井:さっきも話したけど、僕はやっぱり彼(近藤)の作る曲が好きなので、それをもっと世の中に知らしめていきたい。ウチらのバンドすげえだろっていうのをもっと広めていきたいと思ってます。

近藤:今まで自分が好きになってきたバンドが大きい会場で大きい音を鳴らして多くの人が拳を上げてるのを見てきてるので、僕たちもZeppぐらいの会場を埋められるようになりたいです。

Text:サイトウマサヒロ(@masasa1to
Edit:sprayer note編集部


Profile:DUCK POT

東京・神奈川、ロックンロール。 2023年9月2日結成。 東京・神奈川を拠点にストレートなロックンロールサウンドをかき鳴らす3ピースバンド。 骨太なサウンドに体の奥まで響くような声を乗せる。
▼公式サイト
https://duckpot.ryzm.jp/
▼X
https://x.com/DUCKPOT7
▼Instagram
https://www.instagram.com/duck_pot
▼YouTube
https://www.youtube.com/@DUCKPOT
▼TikTok
https://www.tiktok.com/@duck_pot


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