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Cycling In Marmalade 瑞々しさと泥臭さの狭間で煌めくネオ・アコースティック:Artist Pick Up

音楽ディストリビューションサービス・sprayerを利用している注目のアーティストをピックアップ。今回はCycling In Marmaladeをご紹介!


純正ネオ・アコースティックを時代を超え継承

Watashi(Vo, 12stGt)のソロプロジェクトとして2022年に発足したネオ・アコースティックバンド・Cycling In Marmalade。80年代から90年代にかけ、イギリスを中心にここ日本でも「渋谷系」ムーブメントと連結し大きな盛り上がりを見せた同ジャンルのサウンドを継承し、J-POPのエッセンスを交えた楽曲を武器に活動している。

これまでに1枚のデモCDと2枚のアルバムを宅録にて製作し、ソフト・ロック〜ネオアコの発信地としてリスナーに愛されるレコードショップ・ディスクブルーベリー(現在は鎌倉にて営業)で販売してきた。2022年10月にリリースした1stアルバム『行こうよ』は、日本国内のみならずアメリカ発の音楽コミュニティサイト『Rate Your Music』でも高い評価を獲得している。

2023年4月からはサポートメンバーを迎えたバンドセットでの演奏活動も展開しており、Kei Watanabe(E.Gt)、Mikio Morisaki(Ba / Muddy Days)、Keisuke Sugaya(Dr)が参加。スリリングなライブも彼らの大きな魅力のひとつだ。


最新作『Who's He?』が描く唯一無二のネオアコ・ロックオペラ

目下の最新作であり、2023年9月21日にリリースされた2ndフルアルバム『Who's He?』は、ネオアコによるロックオペラを作るというビジョンを持って制作された野心に富むコンセプトアルバム。他人との関わりを恐れる「僕」とその前に現れた「影」が繰り広げるストーリーを、ショートサイズが主流の音楽シーンに逆行するような12曲53分のボリュームで描いている。

ネオアコでのコンセプト作という試み自体が挑戦的であり、ポエトリーリーディングを交えハッとさせられるエンディングまでリスナーを引き込み続けるストーリーテリングも実に巧みだ。そして何より、登場人物の感情の振れ幅とシンクロするような楽曲バリエーションの豊かさが本作を唯一無二の傑作たらしめている。

12弦ギターをフィーチャーした煌びやかなサウンドが通奏しつつ、BUMP OF CHICKEN、syrup16g、THE NOVEMBERSをも彷彿とさせるオルタナティブ・ロック影響下の扇情的なメロディーが、時に悲痛なほどに響く。その光と影の強烈なコントラストこそが、懐古にも停滞にも陥らずにジャンルを前進させるCycling In Marmaladeによる表現の強度を物語っている。


『Who's He?』各配信サービス


Text :サイトウマサヒロ
Edit :sprayer note 編集部


Cycling In Marmalade

X(Twitter):https://x.com/cycling_in_marm
YouTube:https://youtube.com/@cyclinginmarmalade2094


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