卒業の時。先生からの言葉。
2021年度卒業生の皆さん、ご卒業おめでとうございます。それぞれの思いを胸に、新たに進む先で活躍してください。
今回は、卒業に際して色々な言葉がかけられると思いますが、私が12年間の教員生活で印象的だったものをいくつかご紹介します。あくまでも主観です。
「学校に戻ってくるなよ」
これは、最初に赴任した学校で始めて卒業生を出す時に学年主任の先生が子どもたちに伝えていらした言葉です。「中学校に戻ってくるな」と。驚きました。そのあとに続く言葉で真意を理解しました。「中学校のことなんか忘れちゃうぐらい、進んだ先での生活を充実させてくれよ。仲間もたくさん作って、新たな場所で新たな自分に出会ってほしい。昔はよかった、なんて言っていないで、新しい今を充実させてくれ!」というものでした。
「人見るもよし 人見ざるもよし 我は咲くなり」
誰か見られていようが、いまいが、自分は自身の喜びとして花を咲かせようという、武者小路実篤の言葉です。この言葉の前には「天与の花を咲かす喜び 共に咲く喜び…」ともあります。「この世に生を受けた、ただ一人のかけがえのない存在としての尊い命を自身の力で咲かせ、誇れ。」そんな気持ちを受け取りました。実はこの言葉は私の父が、高校の卒業式のあとに入った公衆トイレにあった落書きだったそうです。卒業式の帰り道のトイレで出会った言葉が忘れられず、一生自分の心に残ったと話してくれて、私自身も生徒にはこの言葉を伝えてきました。
「今日からはこの学校は皆にとっての母校になる。誇りをもって歩め。」
母校という言葉。一番上の言葉とは逆に、一生、君にとっての母校となる。いつでも戻っておいで、というあたたかいメッセージを送る先生もいました。先生によるスタンスもあるのでしょうが、母校となって、卒業後もみなさんを励まし続けるというメッセージは素敵でした。
「さよならは別れの言葉じゃなくて 再び会うまでの遠い約束」
来生たかおさんの名曲『夢の途中』にある歌詞ですが、これは生徒の卒業というよりも、同僚の先生の異動の際に送り出す時に贈られていた言葉です。その先生はさらに歌まで送っていました。なぜかずっと前のことながら、卒業シーズンになるといつも思い出す言葉です。
きっと先生方にはそれぞれ、卒業のときに児童・生徒に贈る渾身のメッセージがあると思います。それはきっと小手先で調べたりしたものではなく、これまで過ごしてきた時間から紡ぎだされた愛情あふれるメッセージだと思います。児童・生徒の皆さんは受け取った言葉を胸に、新天地で活躍されますことを祈っています。これから先生になられる方は、言葉は自然と生まれてくるものと思って、毎日の子どもとのかかわりを大切にしてください。きっとどうしても伝えたくなる言葉に出会えるはずです。そしてそれは教師としての成長でもあると思います。
いいですね、卒業シーズン。
Supportia学長 瀧澤 哲郎