「無常」 写真を組む349
そもそも組写真って?
組写真とは、何枚かの写真を組み合わせることです。組むことでドラマを表現するものであって、一枚のなかにドラマを詰め込む単写真とは撮り方も違ってきます。テキストをつけないとストーリーと呼べるほど複雑な状況を説明しづらいですが、写真を組むことで状況の「流れ」は創れます。
作例を御覧ください
私なりの流儀ですけれども、紙媒体になぞらえ、横長の一段分を本の左右見開き2頁に見立てたうえで、マンガの様なコマ割をします。横書きの本をめくる感覚で左上から右下へ順番に御覧ください。
*画像をクリックすると大きくなります。
組まずに表現できるとしても
堅い蕾が、花開いて、咲き誇り、萎み、散る。
ただ、それだけのことを組写真として表現していることは、順番に従って見てくださった方には御理解いただけるでしょう。
幼児にはストーリーマンガを読んで、内容を理解することが出来ません。それはコマ割された順番を意識せず、まず目を惹かれたコマに視点が行ってしまうからみたいです。
それは、組写真を順番どおりに見ない人と似ています。まず単写真として優れた写真に目が行ってしまうのでしょう。紙媒体の写真集は、頁をめくることで順番に見せるように工夫してあることが多いけれど、見る人によって後ろから見てしまうような場合もあったりします。どのみち組写真の展示は読み手が「順番に見る」だけの品格を備えていることを期待せざるを得ないところがツライところです。
この組写真の中心に据えた一枚は、一つの枝に、蕾も、咲いている花も、咲き終えて花弁が散った残骸も、同時に存在しています。この情景であれば一枚で無常観を表現できるでしょう。ただし、たった一枚で無常観を伝えるほどのセンスが、私には備わっていません。
だから私は写真を組む。
組むことで伝わることが必ずあるからです。