国の目指す先と事業をアラインさせるために(ヘルスケアにおいて)
ヘルスケア領域の行動変容に取り組むエーテンラボ株式会社のだいちです。
事業の規模を最大化させる方法の一つに、国が描いている理想の姿と、我々が営む事業をアラインさせることが挙げられるでしょう。国の方針にアラインさせることで、制度が事業の推進を後押ししてくれたり、関係各所の協力が得やすくなったりするので、最終的に大きく勝つことに繋がります。
このページでは、主にヘルスケア領域において、国の目指す先はどのようなものかを抜粋してお伝えし、加えて、我々はどのようなスタンスでいるべきかをまとめました。
国の目指す先は?
首相官邸の成長戦略ポータルサイトにある「次世代ヘルスケア」によると、我が国のヘルスケアのスーパーゴールは下記のように記載されています。
同ページには、このスーパーゴールを達成するための取り組みが5つ紹介されていて、そのうち弊社ともっとも関連がある「1. 人生100年時代を見据えた健康づくり、疾病・介護予防の推進」(下記画像)について詳しく見ていきます。
「1. 人生100年時代を見据えた健康づくり、疾病・介護予防の推進」の中でも下記に取り上げたものは、我々が営む「みんチャレ禁煙」「みんチャレダイエット」と親和性が高そうでした。
保険者インセンティブ
個人の行動変容
コラボヘルス、健康経営
保険者インセンティブ:
保険者インセンティブとは、健康保険組合(以下、健保)等に対して、加入者の健康推進を後押しするとプラスのインセンティブ、加入者の健康状態が悪いとマイナスのインセンティブを設計するものです。
保険者インセンティブの一角を担っているものとして、特定健診・特定保健指導が挙げられるでしょう。保険者は、40歳~74歳の被保険者に対して、特定健診を実施することが法律で定められています。そして、生活習慣病の発症リスクが高いと認められた場合は、その人に対して特定保健指導を実施しなければなりません。この特定保健指導の実施率によっては、国からペナルティが課され、余計な支出が増えてしまうことになります。
特定健診・特定保健指導が始まったのが2008年。そして同年より、「後期高齢者支援金」を健保からも徴収するようになりました。国は健保に対して、この徴収額を軸にインセンティブを設計しています。たとえば、特定健診の実施率が70%未満の場合はペナルティを課したり、逆に実施率が良好だったり、健康の成果が出ていたりすれば、負担を減らしてくれます。[^1]
直近の話で言うと、2024年4月以降、特定健診に関するインセンティブ設計が大きく変更されることが発表されました。その中の一例としては、特定健診で取得した5つの生活習慣(運動 / 食事 / 睡眠 / 飲酒 / 喫煙)の点数が、保険者全体の平均点よりも優れていると、後期高齢者支援金の一部が免除されるようになる、といったものです。[^1]
そんな状況の中で弊社が価値提供できるのは、健保の健康事業を手助けし、加入者の健康レベルを引き上げることです。その事業が、今まさに運営している健保・企業向けの「みんチャレ禁煙」「みんチャレダイエット」です。
今後、特定健診・特定保健指導の評価指標や配点の見直しは常に起こり得ます。それに応じて健保のニーズは変化するので、プロダクトの継続的なブラッシュアップは必要不可欠です。もしかしたら評価指標や配点の見直しに対して、プロアクティブに関わっていくべきかもしれません。
個人の行動変容:
上記では「健診」ではなく、「検診」と表現されています。「健診」は健康診断や健康診査の略語で、自身の健康状態を確認するために行われるもの。一方「検診」は、特定の病気を発見するために行う検査のことであり、病気の早期発見・早期治療につなげることを目的としています。
国としては、病気の早期発見のためにナッジ理論等を活用して、リスクある個人に「検診」を受けてもらう等の行動変容を促したい。しかし、健康領域において、個人の行動変容はもっとも難しい課題の一つです。
健康は重症化するまでは自覚症状が少なく、課題が顕在化しづらいので、個人では健康への投資が進みにくい性質があります。自覚症状がない段階で「検診」を受けてもらうためにはそれ相応の工夫が必要でしょう。
たとえば、個人へアプローチするだけでなく、保険者へ働きかけたり、企業へ働きかけたり、さまざまな角度からのアプローチが必要です。
弊社エーテンラボは「行動変容システムを作る会社」です。「検診」に直接かかわる事業を行っているわけではありませんが、病気を早期発見するよりも前段階の"病気を予防する事業"を行っているので、関わりがまったくないわけではありません。
弊社で行っているBtoBtoEモデルの「みんチャレ禁煙」では、行動変容を大きく2種類に分けて設計しています。それは「始める行動変容」と「続ける行動変容」です。
前者の「始める行動変容」には、対象者へのインセンティブ設計やきっかけづくり、自信度・重要度の底上げなどが該当します。具体的には、参加料の免除だったり、補助薬の無料配布だったり、説明会の開催や架電などの人力サポートもここに含まれています。
後者の「続ける行動変容」は、ピアサポートやコミットメント、自身の行動の振り返り、If-Thenプランニングなどが該当します。具体的には、デジタルピアサポートを提供するみんチャレアプリや、定期的な振り返りの機会などを提供しています。
行動変容システムを作る会社として、定性・定量どちらのデータも参照しながら、これからも個人の行動変容を促せるようにがんばります💪
コラボヘルス・健康経営:
コラボヘルスとは、保険者(健保等)と企業が連携して、加入者の健康づくりを促進していく取り組みのことです。また、健康経営とは、従業員の健康づくりは収益性を高める投資であるとの考えの下、健康管理を戦略的に実践することを指します。
そして「健康投資管理会計ガイドライン」とは、健康経営の活動を行う費用対効果がどのくらいなのかを数値ベースで客観的に把握するような仕組みです。[^2]
上記、引用部分で述べられていることを翻訳すると、健康投資、すなわち従業員の健康の保持・増進を目的とした支出(外注費、人件費など)にインセンティブを付与することを検討していますよ。その投資によって実際どのくらい健康効果が出たのか、従業員のヘルスリテラシーはどのくらい変わったのか、企業価値はどのくらい向上したのか等を見える化・公表し、お互いに参照し、切磋琢磨していきましょうね。ということを言っているのだと解釈しています。
これからの人生100年時代において、真っ先に挙げられる課題の一つに社会保障の問題があります。現在の社会保障制度は、働き世代の人たちが高齢者を支える構図になっています。ただ、団塊の世代が2045年で65歳を迎えるように、今後は支える側と支えられる側の割合がこれまで以上にアンバランスになっていきます。
高齢者の年齢の定義を65歳から引き上げることも検討されているようですが、国はみんなが長く元気に働けるようにすることで、支える側が減るのを防ごうとしています。その文脈を汲み取ると、健康経営や働き方改革が注目を集めているのも納得がいきますね。
弊社では健康経営を促進するためのサービスを提供しているので、今後もこの分野には深く関わっていくことになります。なので、健康投資のインセンティブ設計についてはウォッチし続け、投資対効果の観点から、クライアントに最適な健康経営戦略を提案できるようになっていきたいです。
アクションまとめ
国の視点をいくつか見てきましたが、我々が取れそうなアクションをまとめてみます。
特定健診・特定保健指導の評価指標や配点の見直しに応じて、プロダクトをブラッシュアップし続ける
特定健診・特定保健指導の評価指標や配点の見直しに関わるロビイング活動を行う
始める行動変容、続ける行動変容を突き詰め続ける
投資対効果の観点から、最適な健康経営戦略を提案できるように、国の動き・企業健保のニーズや課題をウォッチし続ける
我々だけで解決しようとせず、効果的なリレーションを築いていく
既存の「みんチャレ禁煙」「みんチャレダイエット」事業をブラッシュアップし続けるだけでも精一杯の中、上記のように今後に向けて取り組みたいことが多すぎるのが現状です。
なので、一緒に駆け抜けてくれる仲間を募集しています。(宣伝!)
弊社は2023年中に4.4億円の資金調達を実施しました。
CEOとCOOが資金調達について語った音声もあります。
調達した資金の使い道は、主に採用です。今はPMF目前のフェーズで、事業の成長にあたっていろいろな機会が転がっています。もはや拾いきれていません。
営業、BtoBのハイタッチを担うカスタマーサクセス、BtoCのテックタッチやオペレーションを担うカスタマーサクセスなど、幅広く募集しています。
「ヘルスケア」「行動変容」「習慣化」などのようなテーマに興味のある方は、ぜひ一度採用ページを覗いてみてください。
参考:
[^1]: 厚生労働省 第4期後期高齢者支援金の加算・減算制度に向けた見直し
[^2]: 経済産業省 健康投資管理会計ガイドライン 概要説明資料