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はじめてのプロジェクトマネジメント(スタートアップ)

ヘルスケア領域の行動変容に取り組むエーテンラボ株式会社にて、プロダクト企画をしているだいちです。

最近は小さなものから大きなものまで、さまざまなプロジェクトマネジメントの機会に恵まれています。新規事業の立ち上げプロジェクト、既存事業の申し込みまわりの改善プロジェクト、既存事業へのAI導入プロジェクトなどなど。

本ページは、これまでのプロジェクトマネジメントに関する学びをまとめて、今後の活動時に見返すために作成した資料です。これからプロジェクトマネジメントを始める方の参考になれば幸いです。

本ページの前提

PMBOKガイドによると、プロジェクトマネジメントの定義は「独自の製品やサービスを創造するために実施される有機的な業務(= プロジェクト)の要求事項を満足させるために行われる活動」とされています。

つまり、「ユニーク」で「終わりのある」業務をうまいこと進行させる仕事です。

直近、私が担当している業務は、新規事業の立ち上げや既存事業の申し込みまわりの改善など、「新たな企画が必要なこと」が多いので、本ページではそこに焦点を当てた内容をご紹介します。

スタートアップのプロジェクトマネジメントの特徴

スタートアップならではのプロジェクトマネジメントの特徴は何があるでしょうか。私は以下の2点が特筆すべき点かなと考えています。

  1. よりスピード感が求められる(時間をかけられない)

  2. 不確実性が大きい

1点目について、我々にはランウェイがあるので、スピード感を持ちながら成果を出すことが求められます。なので、最初から精緻な計画を立てようとして、時間をかけすぎることは避けなければなりません。とはいえ、計画が必要でないかというとそうではない。このバランス感が難しいポイントです。

また、2点目を不確実性が大きいと表現しましたが、「自分たちで影響を与えられる範囲が大きい」と言ったほうが適切かもしれません。自由が効くがゆえに計画が変更になっていく可能性が高いです。

このあたりを踏まえてどのようにプロジェクトマネジメントを進めていくかを紹介したいと思います。

プロジェクトマネジメントの全体像

プロジェクトマネジメントの全体像は上記の図のように考えています。必ずしも時系列ごとにフェーズがキレイに分かれているわけではなく、フェーズを行ったり来たりします。各フェーズで行うことを下記にまとめました。

▼プロジェクト概要の整理

  • 1/ プロジェクトを行う目的やゴールについて合意する

  • 2/ プロジェクトの概要をドキュメント化し、合意する

  • 3/ キックオフを開催する

▼プロジェクト計画の策定

  • 4/ プロジェクトの全体像を描き、論点を分解する

  • 5/ 論点に紐付くステークホルダーとのコミュニケーション・スケジュールを決定する

▼プロジェクト進行(実装)

  • 6/ 大きな論点や、クリティカル・パスを先に片付ける

  • 7/ 残った論点は主担当を決めて分担し、主担当を中心に片付けていく

  • 8/ 定期的な進捗確認、成果物のレビューを行う

ここからは、それぞれのフェーズの詳細について紹介します。

プロジェクト概要の整理

1. プロジェクトを行う目的やゴール(Why)について合意する

まず、プロジェクトの主要メンバーで集まり、プロジェクトを行う目的やゴールについて合意しましょう。

弊社の新規事業立ち上げプロジェクトのケースだと、目的やゴールに関して下記のようなことを合意しました。

  • 新規事業の ver1.0 が完成し、今後の拡販に向けてブラッシュアップできる土台ができていること

  • 歩数データが改善されたり、健康データが改善されたりする"効果の出る"事業を作ること

また、目的やゴールだけでなく、プロジェクトを進める上での前提や、"今回は"やらないことも合わせて洗い出しておくとよいでしょう。我々が合意した例として、下記のようなものが挙げられます。

  • (前提)「効果の出る事業でマネタイズする」方針からはブラさないこと

  • (前提)効果の出る対象者を特定するために、初回は対象者を広く募ること

  • (前提)今後の改善のしやすさを担保するために、初回はシンプルな実装にすること

  • (やらないこと)対象者ごとにパーソナライズされた介入を"今回は"実装しない(今後実装する)

上記で決めたことは、今後の意思決定をする際の判断基準になります。

プロジェクトは時間が経過するに連れて、新たな論点が出てきたり、新たな着想が生まれたりするもの。それらのすべてを検討していると時間がいくらあっても足りません。合意した判断軸があることで、意思決定は早くなります。

2. プロジェクトの概要をドキュメント化し、合意する

目的や前提を揃えられたら、次はプロジェクトの概要をまとめましょう。主に下記のような観点をドキュメント化していくといいと思います。

  • リリース時期(When)の決定

  • ステークホルダー(Who)の洗い出し

    • 各ステークホルダーとのコミュニケーション方法(会議体)の決定

  • ざっくりといつ(When)何を(What)実施するかのスケジュールを引き、可視化する

上記のなかでも「スケジュール引き」について考える補助線として、「動かせないイベント」を軸に考えていくと、ピースが埋まりやすいかなと思います。

3. キックオフを開催する

全体像を可視化できたら、各ステークホルダーとキックオフを開催します。キックオフの役割は「議論」というよりかは「お知らせ」なので、アジェンダは下記のようなものになるでしょう。

  • 2.で作成したプロジェクト概要の認識合わせ

  • 役割分担の依頼

  • 質疑応答

プロジェクト計画の策定

プロジェクト概要の整理ができたら、実行に移すための計画を立てていきます。

4. プロジェクトの全体像を描き、論点を分解する

2.のプロジェクト概要のところでざっくりとドキュメントに落とし込まれているかと思いますが、あらためてmiro などを使って全体像を描きます。

この段階は「何に答えを出せばいいかが出揃っていなくて、なんとなく不安……」「論点が洗い出せてなくて気持ち悪い……」みたいなフェーズかと思います。

気持ちを落ち着ける意味でも、一度「気になることをぜんぶ洗い出す会」を開催するのがおすすめです。ここでは論点の粒度は気にせず、抽象的でも具体的でもいいので、とにかく気になることをみんなで洗い出しましょう。

最終的には似た論点をグループ化したり、具体的な論点を一段抽象化して考えてみたりすることで、解くべき論点やリスクの洗い出しはかなり進みます。

解くべき論点が明確できたら、それをWBSっぽく分解することで、あとは担当者ごとに各論点を宿題として持ち帰ればいい状態にできます。

5. 論点に紐付くステークホルダーとのコミュニケーション・スケジュールを決定する

ここからはかなり具体的になってきます。

各論点に答えを出す過程で、プロジェクトメンバー以外のステークホルダーとコミュニケーションが必要な場合、マイルストーンから逆算してコミュニケーション・スケジュールを決めておきましょう。

会議体をベースにスケジュールを引いていくとやりやすいかもしれません。最終報告や中間報告をマイルストーンとして、その間を埋めるように定例などを入れていくと良いコミュニケーション・マネジメントができると思います。

また、特に外部との連携が必要な事項は早めにコミュニケーションを取りましょう。

たとえば、中間報告までには専門家チェックを終わらせたい場合、専門家チェックのためにはある程度プログラムの全体像が固まっていないといけない。プログラムの全体像を固めるためには、諸々の前提をみんなと合意しないといけない……のように、あらかじめスケジュールを引いておかないと、後々タイトになりかねないので要注意です。

この過程で各ステークホルダーの要求事項の収集、整理も進むと思います。論点が進むと新たな論点が出てくることは避けられないので、新たな論点は4.で描いた全体像に追記しつつ、答えを出せる粒度の論点に分解していきましょう。

プロジェクト進行(実装)

プロジェクト計画の策定フェーズでは、主に論点(What)を洗い出すことと、どのように解いていくか(When&Who)を描きました。ここからは、それらの論点を実際に解いていくフェーズです。

6.大きな論点や、クリティカル・パスを先に片付ける

まず、いろんな論点の前提となりうる大きな論点や、クリティカル・パスは、優先的に片付ける必要があります。

これらは決めの問題であることも多いので、弊社では少人数でギュッと集まって、ガッと片付ける会を開きました。我々の場合、その場にCEOがいてくれたので、サクサク答えを出していくことができました。簡単に捕まえられるわけではないかもしれませんが、その場で意思決定できる人を巻き込むのはおすすめです。

7. 残った論点は主担当を決めて分担し、主担当を中心に片付けていく

細かい論点が残ると思うので、それらに関しては主担当を決めて分担し、主担当が中心になってそのタスクを片付けていくスタイルが良いと思います。こうすると非同期でプロジェクトを進めることができます。

タスク間の調整・相談は、定例やチーム会などの定期的なコミュニケーションで解決しましょう。

8. 定期的な進捗確認、成果物のレビューを行う

定例等で 7.で主担当が答えを出した論点に対して、意見を出したり合意したりして、プロジェクトを進めていきます。このフェーズまで来ると 7.と8.を繰り返していくことになるでしょう。

個人的にはMTGドリブンの進め方が好きです。「今週のあなたの宿題はこれね。来週の定例までにやってきてね」という進め方なんですが、毎週の定例をマイルストーンにすることで、最終日ギリギリの"最後の追い込み"をやりがちな自分のお尻に火をつけてくれます。。

まとめ

  1. (概要の整理)プロジェクトを行う目的やゴールについて合意する

  2. (概要の整理)プロジェクトの概要をドキュメント化し、合意する

  3. (概要の整理)キックオフを開催する

  4. (計画の策定)プロジェクトの全体像を描き、論点を分解する

  5. (計画の策定)論点に紐付くステークホルダーとのコミュニケーション・スケジュールを決定する

  6. (進行)大きな論点や、クリティカル・パスを先に片付ける

  7. (進行)残った論点は主担当を決めて分担し、主担当を中心に片付けていく

  8. (進行)定期的な進捗確認、成果物のレビューを行う

プロジェクトマネジメントは、本ページで書いた技術的スキルの側面もありますが、対人関係をなんとか調整していく人間的スキルの側面もあるので、奥が深いですね。。

半年後には、また新しい視点を手に入れられていると思うので、そのときはまたnoteにまとめたいなと思います。

採用については引き続き募集しているので、ご興味のある方はぜひ採用ページをご覧ください。

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