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「ヘルスケアスタートアップの振興・支援に関するホワイトペーパー」とエーテンラボ

ヘルスケア領域の行動変容に取り組むエーテンラボ株式会社で、toCのカスタマーサクセスやプロダクト企画をしているだいちです。

2024年6月、厚生労働省より「ヘルスケアスタートアップの振興・支援に関する ホワイトペーパー」が公表されました。「今後、国としてこういう活動に注力していきますよ」ということがまとめられたものです。

構成としては、日本のヘルスケアスタートアップに関する課題が述べられたのちに、下記25の提言が掲げられています。

  • 総論(10)

    • 提言8:保健事業を担う保険者によるヘルスケアスタートアップの製品・サ ービス等の積極活用を推進する新たなインセンティブを創設する

  • バイオ・再生(3)

  • 医療機器・SaMD(4)

  • 医療DX・AI(4)

    • 提言18:マイナポータル等の医療データの民間事業者との持続的なAPI連携 を実現すると共に、連携項目を拡充する

  • 介護テック(4)

本ページでは、予防医療領域に取り組むエーテンラボの事業と特に関連の強そうな「提言8」と「提言18」について自分の言葉でまとめ直しました。合わせて、我々が今後どう振る舞うべきかを考えてみたいと思います。

提言8:保健事業を担う保険者によるヘルスケアスタートアップの製品・サービス等の積極活用を推進する新たなインセンティブを創設する

問題の所在:

  • 米国やドイツでは、ヘルスケアに関する規制整備が市場のドライバーとなった事例がある

  • 日本では健康保険組合における保健事業の予算が確保されていないため、予防ソリューション市場が育っていない側面がある

  • とりわけ、健康保険組合の財政は、後期高齢者支援金の加算・減算制度の影響を強く受けていると考えられる

  • この加算・減算制度に対して、デジタル技術を活用することによるインセンティブをつけることで、サービス導入促進につながることが期待でき、ヘルスケア市場のドライバーとなるのではないか

提言:

  • デジタル技術を活用することによる、後期高齢者支援金の加算・減算制度の評価項目や配点の見直しを行う

  • 時期としては、可能であれば第4期(2024年度~2026年度)中、遅くとも第5期(2027年度)からの開始を目処とする

  • それだけでなく、補助金事業の採択の際に、デジタル技術の活用を評価に盛り込むことの検討を進める

  • これらの効果を踏まえ、全国健康保険協会におけるインセンティブ制度や国民健康保険の保険者努力支援交付金制度における対応についても検討する

事業者(エーテンラボ)としての振る舞い:

2024年7月2日に公表された第4期(2025年度以降)における総合評価指標の見直しでは、大項目にデジタル活用の体制整備が新設され、小項目にデジタル活用推進が追加されていました。

後期高齢者支援金の加算・減算制度の見直しについて p.8

ホワイトペーパーだけでは「デジタル化」が何を指すのかが分かっていなかったのですが、「ICTやデジタル技術等(健康に関するアプリケーションなど)を活用した事業」への取り組みだと捉えてよさそうです。

弊社はみんチャレ禁煙や健康サポート事業を展開しているので、上記項目の新設は追い風になりそうです。振る舞いとして特段変えることはなく、テクノロジーを使ったアウトカム重視のサービスを提供していく方針で進めていくことになるでしょう。

提言18:マイナポータル等の医療データの民間事業者との持続的なAPI連携を実現すると共に、連携項目を拡充する

問題の所在:

  • 政府が運営するマイナポータルやオンライン資格確認等の公的システムにおいては、API連携によって、民間事業者もそのデータを扱うことができる

  • しかし、データ取得のたびに認証が必要であるため、リアルタイムデータを取得しづらい

  • また、取得できる項目自体も限定的である

提言:

  • データ連携の都度認証を要求するのではなく、一度認証すれば一定期間は自動連携を維持できるようにする

  • オンライン資格確認(本人確認)についても、一度の受診プロセスの中で、必要以上に認証が求められることがないよう対応を検討する

  • マイナポータルで情報連携できる項目を拡充し、処方・調剤情報や健診情報等の既存の情報連携項目に加え、受診した医療機関の名称や診療年月日、診療行為名等といった情報も API 連携できるようにする

事業者(エーテンラボ)としての振る舞い:

今後、マイナポータルとのAPI連携が充実してくるに従って、リアルタイムに医療データや健診データを取得できる未来がやってくるでしょう。

みんチャレは健康行動の習慣化を促進できるアプリです。これは通院と通院のあいだをつなぐ役割を担います。

みんチャレの行動データ(日常生活のデータ)と、医療データや健診データが組み合わされば、相互にフィードバックが可能になります。その結果、より良い習慣や、より効果の出る行動を習慣にしていくことができるようになるはず。

このあたりに関しては、データの持ち方から緻密に設計する必要があるでしょうし、最適な行動をレコメンドするAIエンジンを開発する必要もあるかもしれません。私もまだこの粒度でしか考えられないので、もっと知見を深めていきたいです。

さいごに

提言8の中で言及した第4期(2025年度以降)における総合評価指標の見直しでは、よりアウトカムを重視する考え方に移りつつあります。

大項目7の「加入者に向けた予防・健康づくりの働きかけ」が全体的に配点が上がったことも、その証拠だと思います。

後期高齢者支援金の加算・減算制度の見直しについて p.14

昔書いたnoteで、下記のようなことを述べました。

事業の規模を最大化させる方法の一つに、国が描いている理想の姿と、我々が営む事業をアラインさせることが挙げられるでしょう。国の方針にアラインさせることで、制度が事業の推進を後押ししてくれたり、関係各所の協力が得やすくなったりするので、最終的に大きく勝つことに繋がります。

国の目指す先と事業をアラインさせるために(ヘルスケアにおいて)

最近は、エーテンラボが目指す方向に厚生労働省が合わせてくれているのかと思うくらい、進む方向がアラインしているような気がしています。

そんなヘルスケア領域ど真ん中にご興味があれば、下記採用ページを覗いてみてください。


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