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ニューヨーク聖地巡礼旅(終章)/ 『LEON』
こんにちは。
本日もまた、アメリカの友人もパリの恋人もびっくりしてしまうような暑さに見舞われておりますが、皆さまいかがお過ごしでしょうか。
私はと言いますと、遅ればせながらお陰様でキアロスタミの「コケール・トリロジー」、またの名を「ジグザグ道三部作」を無事完走した今日この頃です。
そんな中、3つの記事に渡ってつらつらと綴ってきた「ニューヨーク聖地巡礼旅」も、今回が終章。いよいよクライマックスを迎えます。
この旅のハイライトは、やはりこちらになりました。
参りましょうか。
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『LEON』です。
もう既に何度か、私にとっての『LEON』という作品の存在を綴っておりますのでそれについてはここでは割愛したいと思います。しかしながら、この作品に出会って早7年。いつかニューヨークに所在するこの聖なる場所場所を訪れたいと切に願い続けてきただけあって、遂にその瞬間に遭遇したときの感情には、甚だ形容し難い何者かがありました。
という身の上話はさて置き、ご紹介いたしますね。
まずはこちらから。
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物語のキーとなる、リトル・イタリーです。
レオンの雇い主であるトニーが営むイタリアンレストランがあるのがこちらですね。本作のオープニングは、そのラストにカメラ・アイがこの店へ吸い込まれるようにして入っていくというものですが、その途中には以下のような"WELCOME TO LITTLE ITALY"の文字が見えます。
私はこれが見たかった。
重厚な調べと共に海を舐めて始まり、それが滑らかなディゾルブで街を誘うことに特長される(この光景は『グラン・ブルー』に始まります)オープニングに何度舌鼓をしたことでしょう。
サインボード自体は違えど、同じ場所に同じ言葉が掲げられており、やっとこの目に見ることができた私の胸は打ち抜かれてしましました…
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続いてこちら。
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射撃の練習をするレオンとマチルダが、その練習台として選んだ人物がランニングをしていたセントラルパークのとある橋の下。
小春日和のセントラルパークで、側から見たら意味不明の場所で直立不動になっているひとりのアジア人がいたという話をもしお聞きになったら、それは他でもなく私です。
次に訪れる際には、「誰かペイント弾で撃ってくれないかな〜」なんてうつつを抜かしながらランニングでもするとしましょう。
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そして最後。
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レオンと別れ、葉っぱを抱えて悲しみに暮れるマチルダが乗るトラムウェイです。この画像は、クイーンズボロ・ブリッジの上から撮影しました。
アッパー・イースト・サイドとルーズベルト島を繋ぐこのトラムウェイですが、映画の中に登場するそれと、姿形そのままに存在していました。これがマチルダの悲しみを運んだ乗り物か、と早朝から傷心してしまいましたが、念願叶って拝むことができ、一生牛乳しか飲めなくても良いと思ったほど嬉しかったです。
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話は遡ります。
今年1月、『LEON』を初めて劇場鑑賞してきました。
![](https://assets.st-note.com/img/1660467986495-OKja8vH0gn.jpg?width=1200)
同じくリュック・ベッソン監督作『ダニー・ザ・ドッグ』との2本立て上映で、目黒シネマでの鑑賞でした。
「ポーン、ポーン、ポーン、ポーーーーーン」
というあの音を聞いた瞬間、自分でも驚くほどに涙が流れ出てきました。それは、ようやく本作を劇場でを観ること出来たという感動に所以するものでは無く、私がこの作品に出会ったという偶然の創造(という運命論に帰結します)にとめどない感謝の念が溢れたからです。
私は生まれて此の方、他に類を見ないほどの厭世観と共に生きてきました。先輩方からすればたかが20年足らずの人生かもしれませんが、私にとってこの20年とは、「きっとこれは、一生分が間違えて一気に押し寄せてしまったのだ」と思いたくなるほど苦しかった。
その中で唯一、厭世世界から私を救い出してくれるのが映画でした。
私はこの「映画」というものに出会っていなかったら果たしてどうなってしまっていたのか、少しばかり想像しただけで怖くて仕方がありません。
しかし、私は出会った。
これは紛れもない事実で、万事は初めから定められていると考える運命論者の私は、なるほどこれが我が人生かと納得しています。
私には映画があります。そのことを、すごくすごく大切にしていきたいです。
これにて、私のニューヨーク聖地巡礼旅は全行程終了とさせていただきます。長々、つらつらと、ときに感情的になりながら綴ってきましたが、私の文章を全編読んでくれた方がいらっしゃいましたら、いや、一編でも読んでくれた方がいらっしゃいましたら、あなたの家の観葉植物に代わりに水をやりたいぐらい嬉しいです。
ありがとうございました。