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パリ、眠る偉人を目の前にして

おはようございます。
こちら、イースター休暇に突入したマルタです(とは言っても3連休)。

皆さま、いかがお過ごしでしょうか。


前回の記事から綴り始めた、私のパリ旅行記。
パリ滞在の前半は、人並みに観光をしていたのですが、やはり自身の性(さが)には逆らえず、徐々にフランス映画没中旅へとシフトしてしまいました。

その中でも最も長い時間を割いたのが、お墓参りです。
私は滞在中、眠る偉人を追って、パリ市内に所在する3ヶ所のお墓へと足を運びました。

今回はこれについて綴りたいと思います。




まず私が訪れたのは、「ペール・ラシェーズ墓地(Cimetière du Père-Lachaise)」です。

2023年3月 マチルダ撮影


ペール・ラシェーズ墓地は、パリ東部に位置する市内最大の規模の墓地です。ここは、ショパンやバルザック、オスカー・ワイルドなどが眠っていることで有名なのですが、私にとっての最大の目的は、ブレッソンでした。


ロベール・ブレッソンの1977年の作品、『たぶん悪魔が』において、主人公の青年が自死する場所が、この、ペール・ラシェーズ墓地なのです。

こちらのシーンですね。


ブレッソン映画の中でも、私は特に本作を好んでおり、以前、このnoteでも記事を執筆しておりますので、よかったらそちらも合わせて呼んでいただけると嬉しく思います。


パリの墓地とは、我々日本人のイメージする陰気な様子はなく、パリ市民のお散歩コースの定番であるように、公園のような感覚の場所でした。

さて、ブレッソンがカメラを構えた場所を求めてテクテク。
どんなに調べても、正確な位置情報を獲得できなかったので、そうなれば足で探す他ないと、懸命にうろうろしてみたのですが、決定打は打てず…。

似通った匂いの場所には幾つか遭遇したので、カメラに収めてみました。
こんなところでしょうか…。

2023年3月 マチルダ撮影
2023年3月 マチルダ撮影



最後に、イヴ・モンタンのお墓の前で手を合わせて…。

私にとってイヴ・モンタンとは、ロミー・シュナイダーをいじめた敵ではあるのですが(『夕なぎ』1972年)、数年後にドヌーヴが復讐してくれているので(『うず潮』1975年)良しとしましょう。
なんて冗談は置いておいて、
イヴ・モンタン、安らかにお眠り下さい。

2023年3月 マチルダ撮影




続いて訪れたのは、パリ中央部からやや南よりのセーヌ川左岸にある「モンパルナス墓地(Cimetière du Montparnasse)」です。

個人的には、このモンパルナス墓地が旅のハイライトであったかな、と思っています。

まずは、最愛の夫婦、ジャック・ドゥミとアニエス・ヴァルダの眠るお墓へ。
彼らが、彼らの作品が、どれほど人々に愛されているかが伝わりますよね。
あぁ、二人の作品をどれもこれも、このキスの数より愛しています…。
安らかにお眠り下さい。

2023年3月 マチルダ撮影




続いて、ジーン・セバーグのお墓へ。

2023年3月 マチルダ撮影

なんて可愛らしいお墓なのでしょうか。
あなたが、「ニューヨーク・ヘラルド・トリビューン」を売ってくれたから、私たちは、ヌーヴェル・ヴァーグという波にいつまでも心酔することが出来ます。

彼女の生涯を考えると、「ジーン・セバーグよ、永遠に。」と言っていいのか分かりません。しかし、ベルモンドの隣を歩くピクシーカットのセバーグは、永遠に私たちの心に生き続けるでしょう。
今、彼女が天上で穏やかにあることを祈っています。


こちらは、小説家・脚本家・映画監督であるマルグリット・デュラスのお墓。

ここに着いたとき私は思わず、「あっ」と声をあげてしまいました。
彼女のお墓には、多くのペンが供えられていたのです。

2023年3月 マチルダ撮影

いつまでもいつまでも、人々は彼女に文章を紡いで欲しい、誰もがそう思っているのですね。

私にとって、デュラスとは遠い遠い存在です。
しゃがんで手を合わせながら、長いこと彼女に話しかけてしまいました。
いつか彼女の心を、少しでも掴める日が来ますように。


そして、モンパルナス墓地で最後に訪れたのが、アンリ・ラングロワのお墓でした。

2023年3月 マチルダ撮影


これを目にした瞬間、溢れる涙が止まりませんでした。
写真では分かりづらいかもしれませんが、ラングロワのお墓には、私の愛する映画の数多くが共にありました。

2023年3月 マチルダ撮影

私から映画を取ったら何も残りません。
そして私は今、ヌーヴェル・ヴァーグやネオレアリズモといった領域の映画を何よりも愛しています。

彼がいなかったら、私も世界も、これらの映画を知ることはなかったかもしれません。彼がその身に変えてでも、価値ある映画を世界に与えてくれたことへの感謝の気持ちでいっぱいになりました。
世界中のシネフィルの愛が、いつまでも彼の元へと届き続きますように。




そして、最後に訪れたのが「モンマルトル墓地(Cimetière de Montmartre)」です。その名の通り、パリ北部に位置するモンマルトルにあるお墓です。

2023年3月 マチルダ撮影


この墓地を訪れた理由は、他でも無く、トリュフォーに会いたかったからです。
フランソワ・トリュフォーの紡ぐ、愛の映画には、安らぎを感じます。

昨年の夏、母と共に、彼の生誕90周年上映を鑑賞するため、群馬県高崎市まで泊まりがけで出向いた日が懐かしいです。

2023年3月 マチルダ撮影

トリュフォーに愛を込めた、モンパルナスの朝でした。




以上が、私の愛すべき偉人たち訪問記です。
シネフィルの皆さん、パリを訪れる際には是非、足を運んでみて下さい。

最後まで読んでくださった方がいらっしゃいましたら、恋のエチュードを奏でたいほど嬉しいです。

ありがとうございました。

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