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照明入門

みなさん、照明はお好きでしょうか。あ、好きなのは知ってるので、言わなくて大丈夫です。私と同類ですね。こんな変態入門みたいなタイトルのnoteを開いたということは、椅子入門も読んでいることでしょう。

ありがたいことに「椅子を特定する話」「椅子入門」の記事は大変好評で、「変態だ」とか「ヤベェ奴がいる」といった嬉しい声が続々と届いています。そしてなんと、記事をきっかけにとあるコミュニティの方から「椅子の話をしてほしい」という依頼も来ました。好き放題楽しく話させていただきましたが、その後お変わりありませんか?被害届とか出てませんか?

私は椅子好きですが、照明好きでもあります。そんな照明大好きな私が、照明の魅力をお伝えしたいと思います。今回もまずは照明の種類から説明していきたいと思います。


照明の種類

照明の種類

・シーリングライト
天井に直接くっ付いている照明のことです。ドーム状のものが多く、部屋全体を照らせるため、非常に明るいです。

・ダウンライト
天井に埋め込んで設置する照明です。ホテルの天井などで丸い穴が空いていて、中に電球が入っているものを見かけるかと思います。天井がフラットになるため、シンプルな印象を受けます。

・スポットライト
美術館などでもよくみられる、ピンポイントを照らすことを目的とした照明です。ダクトレール(ライティングレール)についていて、角度を調整できるものが多いです。

・ペンダントライト
天井からロープやコードやチェーンによって吊り下げられた照明のことです。目線に近くなるため、部屋の印象に大きく影響を与えます。光源が下がり、上側に遮光性のシェードのあるもの多いため、空間に暗い部分が生まれて雰囲気のある部屋にできます。

・シャンデリア
ペンダントと同じ吊り下げ式ではありますが、吊り下げられた照明であるペンダントライトに対し、シャンデリアは「灯火を支持するための2本以上の腕木を有しているもの」を指します。構造上、重いものが多いです。

・ブラケットライト
壁に取り付ける照明です。間接照明として補助的に用いられることが多いです。

・デスクライト
卓上、主に机で作業用として用いられるの照明で、手元を照らすことに特化しています。アームが動かせるものが多く、物によってはクランプが付いている場合もあります。

・テーブルライト
ダイニングや食卓で使用する照明で、デスクライトとは異なりアームのものは少ないです。デスクライトに一緒に分類することもあります。

・フロアライト
床置きの照明で、高さのあるものが多いです。比較的大型なため、インテリアに大きく影響します。

・フットライト
主に廊下や階段に設置して使用する、暗い時に足元の安全を確保するための照明です。壁に埋め込んで間接照明として用いることもあります。照度センサーや人感センサーを搭載しているものもあります。

屋外のものを含めるともう少しありますが、今回はインテリアの話だけで止めておきます。

照明の魅力

照明の魅力とは何でしょうか。照明は椅子とは違って電源を必要とします。また現代において、照明なくして生活は成り立ちません。椅子以上に生活必需品と言えます。

その上、椅子は場所をとりますが、照明は一つの部屋にいくつも置くことができます。ちなみに私の8畳ほどの部屋の中に照明が5つあります。詳細は、
・アングルポイズ「1227」
・コンスタンティン・グルチッチ「MAYDAY」
・ハッリ・コスキネン「BLOCK LAMP」
・BALMUDA「The Lantern」
・無印良品「ペンダントライト丸・S」

の5つです。興味ある方は調べてみてください。

「1227」と「BLOCK LAMP」と「The Lantern」

名作照明に「PH5」というものがあります。1958年にポール・ヘニングセンがデザインした照明です。照明の機能は「照らすこと」ですよね。でも光源を直接見ると眩しい。直接光源を見ないように研究・デザインしたのが照明デザイナーの巨匠ポール・ヘニングセンです。ポール・ヘニングセンの照明の多くが、直接光源が見えないように計算されてデザインされています。すべての光がシェードに反射して和らげられて広がります。そんな中でもその機能性と美しさが融合した最高傑作が「PH5」です。

louis poulsen「PH5」

ポール・ヘニングセンの例でもわかるように、照明のデザインとは製品の形状を考えるだけではありません。光そのものをデザインする行為なのです。

照明の選択はインテリアにも大きく影響を与えます。私は引っ越しをした際にシーリングライトが設置してあると、最初に持ち込んだペンダントライトに付け替えます。それは、照明が与える印象の影響は非常に大きいからです。部屋をおしゃれにしてみたいなーと思ったら、まず照明を変えてみましょう。困った時は、裸電球を吊るしてもおしゃれに見えます。照明マジック。

照らす以外の目的

照明の主な役割は照らすことだと説明しましたが、それ以外にも役割があります。焚き火をしたことがある方はいますか。暖炉でもいいです。火を見つめてお酒を飲む、コーヒーを飲む。火を見ているだけでとてもリラックスできますよね。昼間であれば暖かい太陽のもとでひなたぼっこをする。「あかり」には照らすという機能を超えた魅力とパワーがあります。

 私も学生時代に照明をデザインしたことがあります。当時、一番好きだったデザイナーはフィリップ・スタルクとインゴ・マウラーということからも分かるように、コンセプチュアルで哲学的なデザインを好んでいました。そんな私がデザインした照明がこちら「Confront」です。

見ていると自分と向き合える照明「confront」

心理学において影は、その人の意識が抑圧したり十分に発達していない領域を代表する存在。本来暗いはずの部分が光り、壁を想像させるこの照明は自分の未来の発展の可能性を示唆している。

まぁ、本当に自分と向き合えるかはわかりませんが、当時の私は照明に照らす以上の意味を含めたかったのです。

椅子入門で「名作椅子をドットで作成するというプロジェクト」を紹介しましたが、名作照明は作っていませんでした。ですが、このnoteの表紙に同じように「名作ドット」を使いたかったので頑張って18個作成しました。皆さんはどのくらい作者や名前が分かりますか??

今回のnoteの表紙のために作成した「名作照明ドット」シリーズ

知っておきたいデザイナー10人

入門シリーズおなじみの人物10人紹介。今回のデザイナーは、前回の椅子入門とデザイナーが被らないように選びました。椅子入門で紹介したデザイナーの中で照明をデザインしている人もいますし、紹介していない素晴らしいデザイナーも沢山います。調べてみてください。(敬称略/誕生順)

フランク・ロイドライト(1867-1959/USA)
・タリアセン1(1911)
・タリアセン2(1952)
(・タリアセン4)

FRANK LLOYD WRIGHT「TALIESIN(タリアセン) 2」

ベルナール・アルバングラス(1886-1943/フランス)
・ランぺグラス No.215(1921-)
・ランぺグラス No.304(1921-)
・ランぺグラス No.411(1921-)

DCW「LAMPE GRAS(ランぺグラス) N°411」

ジョージ・カワーダイン(1887-1947/UK)
・1227(1934)

Anglepoise「Original 1227」

ポール・ヘニングセン(1894-1967/デンマーク)
・PH3/2(1927)
・PH5(1958)
・PHアーティチョーク(1958)

louis poulsen「PH Artichoke(アーティチョーク)」

イサム・ノグチ(1904-1988/USA)
・AKARIシリーズ(1951-)

オゼキ「AKARIシリーズ」

アッキレ・カスティリオーニ(1918-2002/イタリア)
・アルコ(1962)
・トイオ(1962)
・スヌーピー(1967)

FLOS「Arco(アルコ)」

セルジュ・ムーユ(1922-1988/フランス)
・ランパデール1ルミエール(1952)
・ランパデール3ルミエーレ(1952)
・アグラフェ(1958)

「LAMPADAIRE 3 LUMIERES(ランパデール3ルミエーレ)」

インゴ・マウラー(1932-2019/ドイツ)
・イリオス(1983)
・ルーチェリーノ(1992)
・ツェッツルA5(1998)

INGO MAURER「Lucellino Table(ルーチェリーノ)」

フィリップ・スタルク(1949- /フランス)
・ロズィ・アンジェリス(1994)
・ガンランプ(2005)
・Miss K(2003)

FLOS「Rosy Angelis(ロズィ・アンジェリス)」

マイケル・アナスタシアデス(1967- /キプロス)
・TIP OF THE TONGUE
・IC LIGHTS S2(2014)
・IC LIGHTS F2(2014)

Flos「IC LIGHTS F2」

知っておきたいメーカー10社

椅子入門でも説明しましたが、照明もリプロダクト品が存在します。オリジナルやデザイナーの許可を得てデザインしているメーカーを10社と代表的な照明3つを紹介します。メーカーも紹介している以外にもたくさんあるので調べてみてください。

Louis Poulsen(ルイスポールセン/デンマーク)
1874年に創立し、1925年に発表されたポールヘニングセンの照明PHがきっかけとなり世界的に有名になりました。
・PH5(ポール・ヘニングセン)
・モザー(モザー)
・AJ テーブル(アルネ・ヤコブセン)

FRITZ HANSEN(フリッツハンセン/デンマーク)
1872年にデンマークで創業し時代に左右されることなく、クラシックラインからコンテンポラリーラインまで、家具、照明、アクセサリー小物をひとつの世界観をもって表現しています。
・カイザー・イデル(クリスチャン・デル)
・カラヴァッジオ(セシリエ・マンツ)
・ナイト・オウル(ニコライ・ウィグ・ハンセン)

LE KLINT(レ・クリント/デンマーク)
1901年、デンマークの建築家イェンセン・クリントが日本の折り紙をヒントに、オイルランプのあかりを調節するためのプリーツのシェードを作ったことが原点となっています。
・サイナスライン(ポール・クリスチャンセン)
・スノードロップ(ハリット-ソーレンセン+サムソン)
・プリーツ(アンドレアス・ハンセン)

Artek(アルテック/フィンランド)
1935年、アルヴァ・アアルトを含む4人によって「家具を販売するだけではなく、展示会や啓蒙活動によってモダニズム文化を促進すること」を目的に、フィンランドで設立されたブランドです。
・A330S/ゴールデンベル(アルヴァ・アアルト)
・A110/グレネード(アルヴァ・アアルト)
・A331/ビーハイヴ(アルヴァ・アアルト)

FLOS(フロス/イタリア)
1962年、カスティリオーニ兄弟を中心に創設されました。
・パレンテシ(アッキーレ・カスティリオーニ)
・MAYDAY(コンスタンティン・グルチッチ)
・グロー・ボール(ジャスパー・モリソン)

FOSCARINI(フォスカリーニ/イタリア)
1981年に設立されたブランドです。ベネチアの伝統的なムラーノガラスをはじめ、ポリエチレンや木材、アルミ等の材料から最先端の繊維素材まで幅広く使用した照明を製造しています。
・カボシェ(パトリシア・ウルキオラ & エリアナ・ジェロットライト)
・スポークス(ガルシア・クミーニ)
・サテライト(ユージェニー・キトレ)

Artemide(アルテミデ/イタリア)
1960年にアーネスト・ギスモンデとセルジオ・マッツァによって創業されました。
・トロメオ(ミケーレ・デ・ルッキ)
・Tizio/ティチオ(リチャード・サパー)
・デメトラ(深澤直人)

INGO MAURER(インゴ・マウラー/ドイツ)
その名の通り、デザイナーのインゴ・マウラーによって設立されました。手作業での生産を主要な企業理念とし、ミュンヘンで製造を行っています。
・ツェッツル(インゴ・マウラー)
・バルブ テーブルランプ(インゴ・マウラー)
・カンパリライト(インゴ・マウラー)

Tom Dixon.(トム・ディクソン/イギリス)
2002にスタートしたトム・ディクソンが主宰するインテリアブランドです。素材そのものの特徴を生かした、独創的なデザインが特徴です。
・ビートトール(トム・ディクソン)
・メルトペンダントライト(トム・ディクソン)
・エッチペンダントライト(トム・ディクソン)

yamagiwa(ヤマギワ/日本)
1923年に創業、秋葉原に店を構えて全国に照明器具を主力とした家電量販店を展開していましたが、業績が悪化したため、デザイン性に優れた高級照明・家具の販売に特化しました。
・K-series(倉俣史朗)
・ToFU(吉岡徳仁)
・MAYUHANA(伊東豊雄)

いかがでしたでしょうか。椅子の世界とは違った深さがあって照明も楽しいですね。ここに記載した内容は、ほーんの一部。他にも色々と調べてみてください。

これでデザイン探偵事務所の照明分野への事業拡大(?)も可能になそうですね。ではー。

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SPOT DESIGN 坪田将知

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つぼた
最後まで読んでいただきありがとうございます。コメントもすべて読ませていただいています……!