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#3 子どもの身長を伸ばす方法とは? 〜推定身長を活用する〜

 お子さんの身長について、出来るだけ伸びてほしい!と願っているのが親御さんの心情ではないでしょうか。また、保護者の方々からうちの子小さいですけど、どうしたら身長は伸びますか?といった質問を受ける監督やコーチの方々もいらっしゃるのでは。
そこで、今回は少しでも身長を伸ばす為に今からでも取り組めることについて数回に分けて情報を整理していこうと思います。

遺伝で身長が決まる?

 そもそも、身長は遺伝で決まっているのか?という議論になりますが、答えはイエス & ノーといったところでしょうか。最終身長が決まる要素は大きく分けて2つあり、遺伝的要因と環境的要因にわけれらます。遺伝的要因とはご存知の通り、親から受け継いだ遺伝子レベルのことで、これに関しては残念ながら変えることができません。環境的要因とは、食事・運動・休養・睡眠などを指し、日常の生活習慣によって変化させることができます。
日本人の平均身長は、1950年には男性が160.3cm、女性が148.9cmであったのに対し、2020年後には、男性が171cm前後、女性が158cm前後とそれぞれ10cm程度伸びています。*国民・栄養調査(厚生労働省参考)
1950年から現在まで約70年程度の期間で遺伝子が劇的に変化することは考えづらく、これだけの短い期間で10cm程度の身長が伸びたのは環境的な影響が大きいと考えるのが妥当ではないでしょうか。
その他にも、兄弟や姉妹間でも身長が異なることから、生後の生活週間や環境の変化が最終身長に何らかの影響を与えているという可能性は否定できません。

身長は予測できる?

 最近は、ネットやアプリでいつかの情報を入力することで、その子の身長(推定)を算出できるといったサービスがあります。推定身長算出の式はいくつかあるようですが、ここでは2つ程ご紹介させて頂こうと思います。

計算式①
 男子:【父親の身長+(母親の身長+13)】/2+2  (誤差±9cm) 
 女子:【(父親の身長-13)+母親の身長】/2+2  (誤差±8cm)
計算式②
 男子: 25.13-2.594×暦年齢+0.656×身長-0.174×体重+0.545×両親の平均身長
   女子: 72.73-3.618×暦年齢+0.580×身長-0.192×体重+0.309×両親の平均身長
参考文献
H J Khamis et al. Pediatrics.1994 Oct. : Predicting adults stature without using skeletal age: the Khamis-Roche method
Tsutomu Ogata, Toshiaki Tanak, Nasayo Kagami. : Target height and Target Range for Japanese Children: Revisited. The Japanese Society for Pediatric Endocrinology, 2007;16(4), 85-87.

計算式①に関しては、現在の年齢と身長を考慮していない為、兄弟、姉妹であればそれぞれ身長が一緒になってしまいますね^^;。(それを考慮して±8〜9cmとなっている)
計算式②に関しては、現在の年齢と身長を考慮している為、それぞれの成長スピードの違いが将来の推定身長に反映されることとなります。

どちらにしても、上記2つの式はあくまでも推定ということがポイントで、重要なことは、これらの式をどう活用する方法があるのか?という点になります。

推定身長を活用する

 算出された結果を活用する方法はいくつかあるかと思われますが、ここでは発育発達と育成・強化の2つの視点でアイディアをシェアさせて頂こうと思います。

①子どもの成長を観察する(日常生活を振返るきっかけとする)
 定期的に推定式を活用することで、毎回算出される結果が異なることが予想されます(推定式②を活用した場合は成長変化により結果が異なる為)。前回、算出した結果より今回算出した結果が下がっていた場合には、もしかしたら生活習慣が影響を及ぼしているのでは?といった子どもの生活の変化(最近、睡眠や栄養が減ったなど)に目を向けてみるきっかけになるかもしれません。

②育成・強化に活用する
 様々な競技スポーツや各ポジションにおいて、トップレベルで活躍する為に必要な身体形態【身長・体重・体格など】があります。サッカーのディフェンダーやバスケットボール選手、野球のピッチャーなどの平均身長はトップレベルにおいて高い傾向であると前もって知っていると、推定身長の結果を参考に逆算して育成・強化を行うことができ、結果的に効率の良い育成・強化の環境をつくることができます。(身長が伸びる可能性がある選手に強度やボリュームの高い練習課題を長期間課す。必要以上の過度なカロリー摂取を促すなど。)

まとめ
 今回は、最終身長に影響を及ぼす要因と推定身長についてご紹介させて頂きました。次回は、環境的要因について具体的に情報を整理していこうと考えているので気になる親御さんや監督・コーチの方は是非ご参考ください。

プロフィール
大城英稔(おおしろ ひでとし)

学歴
東京都 玉川大学文学部教育学科健康教育コース卒業
米国 マーシャル大学大学院 運動生理学専攻 卒業

略歴
スポーツおきなわ 代表理事
沖縄国際大学 非常勤講師
沖縄県スポーツ協会 医科学スタッフ
沖縄県テニス協会 医科学委員長
元国立スポーツ科学センター常勤トレーニング指導員
元Bリーグ琉球ゴールデンキングスストレングス&コンディショニングコーチ


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