スポーツロボットの先にあるもの
スポーツロボットを実現し、実現の過程で生まれる技術を還元して、人間を完全に理解するロボットを実現し、人間同士が理解し合う世界を作る話について書きます。
スポーツロボットの実現
30 年で、私はスポーツロボットを実現します。スポーツロボットが実現されることで起こることを具体的に書きます。
人間以上の能力をもつスポーツロボットを実現します。
ロボカップという名のロボット大会があります。
ロボカップ(ロボカップジュニア)(RoboCup)は、ロボットと人工知能の新しい標準問題として「2050年、人型ロボットでワールドカップ・チャンピオンに勝つ」ことを設定し、その研究過程で生まれる科学技術を世界に還元することを目標としている国際的ロボット競技大会である。
(以下より引用)
30 年後の 2049 年までに、人間に勝つために必要な技術は出揃うと考えます。つまり、人間のように走り、蹴り、跳ぶヒト型ロボットが出来ていて、ロボットは状況を認識し、戦略と戦術に応じて行動を選択出来るようになります。
サッカーに限らず、あらゆる種目で人間以上の性能を発揮するヒト型ロボットを実現します。
スポーツロボットは人間のスポーツ練習を助けます。コーチとして指導したり、練習相手になったり、人間にスポーツを習うことで指導力を養ったり理解を深めたりします。
スポーツロボットはスポーツアスリートを代替します。スポーツロボットを対戦させる大会が開催され、ロボットのトップアスリートは広告に使われます。専門技術を持たない個人も独自のスポーツロボットを開発し、地区大会から世界大会までを戦い、大会は放映されて観戦を楽しめるようになります。
スポーツロボットはスポーツ科学を深めます。効果的な練習方法や、ケガの予防、リハビリの仕方、あがり症の予防など、様々な課題の解決を助けます。
確立する技術
人間に勝ち、人間を助けるスポーツロボットを実現する過程で、様々な技術が確立され、社会に役立ち、30 年後の世界を構成します。
人間を超える運動性能を備えたヒト型人工身体の構成法を確立します。人間程度のサイズと重量に収まるエネルギー源とアクチュエータ、熱の制御、大きな加速度と速度を生み、しなやかさを持つ駆動系、不確かな環境下で確実に動く制御系、膨大な計算を実時間で完了する情報処理系、摩耗や変形に即時適応する調整、多数の関節を搭載する設計、複雑な身体と環境を十全に知り、予測する知覚系と認識系、行動を通じて世界を知覚する、知覚のための行動を生む動作系、接触状態が動的に切り替わる中での適応的な制御など、様々な課題を解決します。
現在の技術的限界を遥かに超えた推論と決定の技術を構築します。多数の他者や未知の環境を含む膨大な状態空間、不確実で複雑な変化を含む長期間の系列の予測、短時間で妥当な解を出す実時間性の担保、多数のエージェントが逐次行動した結果として生じる集団の状態変化の予測などを実現します。
超人的な人間理解能力を備えた人工物を構成します。対面する相手や集団の行動予測、自身の行動が相手の意思決定に与える効果の理解、気分や感情の推定、意図の推定や制御、集団や個人の行動傾向の推定とその推移の予測、嗜好の推定などから構成されます。
30 年後の世界
スポーツロボットを実現し、実現の過程で生まれる技術を還元して、人間を完全に理解するロボットを実現し、人間同士が理解し合う世界を作ります。
人間を完全に理解するロボットを実現します。人間は、「このロボットは自分の気持ちを完全に理解している」と感じることができます。人間同士は原理的に互いを完全に理解することはできませんが、他者の脳を接続して情報処理を介して理解し合う他の、完全に理解する他者を創造する解決策です。
人間各自が生まれてこれまでのあらゆる情報の記録と他人の記録を算出し、ロボットは人間の神経発火やそれによって生じる分泌系の変化、情動の変化、主観的意識経験、行動の全てを予測し、予測に基づく発話を持って理解を表現します。
ロボットは人間同士の理解を助けます。これまでに記録した全ての情報を利用して文脈を理解し、自然言語にとどまらない表現によって、相手が理解する言葉や映像に翻訳し、順序を整理して、伝え合います。相互理解の結果として生じる目標を見据えながら、両者が目標地点に近づくように、人間に働きかけていきます。
スポーツロボットを実現する過程で生まれる技術は、被完全理解感の創出と相互理解支援の方法を確立するための基盤を作ります。これに加えて、「人間が理解されていると感じるために必要なことは何か」、「機械が人間集団を導く時にどのようにすべきか」を明らかにする必要がありそうです。
まとめ
スポーツロボットを実現し、実現の過程で生まれる技術を還元して、人間を完全に理解するロボットを実現し、人間同士が理解し合う世界を作る話について書きました。