私の作るスポーツロボット
柔軟ロボットによる部品組立研究を紹介した記事でも書いたように、ディアボロ(ジャグリング)ロボットの研究をしています。研究を進めていくなかで、ジャグリングするロボットはスポーツするロボットと似た部分が多いことに気づきました。運動技能の優れるロボットのうち、スポーツロボットはどういう位置づけにあるのか、スポーツロボットの中で、私が作るロボットはどういう種類になるのかを整理しました。
ジャグリングロボット
ジャグリングは、ロボットの優れた運動性能を示すデモンストレーションとして、古くから使われてきました。Devil-stick と呼ばれるジャグリングをロボットが試行錯誤で学ぶ手法が提案されました。同様に、けん玉や、お手玉をロボットが学習する手法も提案されています。
ロボットがボールを投げたり、打ったり、掴むのは、人気のあるタスクで、ヒト型のロボットやアームロボットの他に、飛行ドローンや、車輪ロボットによるボールジャグリングの手法も開発されています。
はやいロボット
ジャグリングでは、ロボットが身体を加速させて速く動かし、物体を宙に浮かせ、その動きを予測しながら巧みに操ります。速い動きは予測も計画も修正も難しいため、挑戦的なロボットの運動タスクと言えます。ボールを投げたり、取ったり、打ったりする種類のロボットと共通する技術要素で動きます。
ジャグリングやスポーツ動作のような、はやい、勢いのついた動きは、役に立ちます。例えば、フライパンのパンケーキを返す、モノを投げ入れる、掴んだモノを放り投げたり、振り上げて持ち直すなどです。
作業するロボットが決められた動作を繰り返し行う場合、速く動くことはできます。その場合でも、ロボットが専用機でない場合、モノをしっかり握りこんで掴み、ゆっくり動かします。
いきおいを活かした速い動きは、まだまだ未解決の課題です。特に、扱うモノがひんぱんに変わり、ロボットがモノの扱いを自ら学ぶ場合には、さらに挑戦的な課題になります。
私はどんなスポーツロボットを作るのか
アームをワイヤで動かし、モータを根本に配置することで、アームを軽くして速いロボットアームを実現した例もあります。
画像の情報処理を高速化することで、高速なフィードバックを可能にして、速いロボットの動きを可能にした例もあります。
跳躍に特化した身体を設計することで、飛び跳ねる小型ロボットを作った例もあります。
私は、人間のトップ運動選手と同等にスポーツするヒト型ロボットを作った先に、人間を理解し、人間が理解し合うのを助けるロボットを作りたいと考えています。私の開発するスポーツロボットの技術は、人間の理解につながる知的な機械の技術であるべきです。
ロボットは人間と同型の身体、複雑で多数の筋と関節を有しなくてはならず、複雑な身体を協調させ、自身の欲求に整合した運動を生成し、人間環境と同等に複雑な環境の中で知能を発達させる必要があると考えました。
多様な運動を行える身体、柔軟性を備えた多くの筋と関節を有する複雑な身体を駆使して、複雑な現実世界で経験を積み重ね、記号を創発し、言語を獲得し、自他の行為遂行可能性に根ざして欲求と意図を推定し、伝え合うロボットを作ります。
これから
私が作るスポーツロボットは、柔軟性を備えた多くの筋と関節を有する複雑な身体をもつロボットであることを整理しました。
筋や関節を多くすると、製造と維持のコストが大きくなってしまいます。なので、これからそれを解決したいと思います。
加えて、すばやいロボットの動きが役立つ事例を作ります。